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松重豊が「空洞のなかみ」執筆経緯を明かす、菊地信義の装丁に「鳥肌が立ちました」

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「空洞のなかみ」発売記念オンライン配信イベントで、あべみちこのイラストを紹介する松重豊。

松重豊の書き下ろし小説とエッセイを収めた書籍「空洞のなかみ」の発売記念オンライン配信イベントが10月24日に東京・本屋 B&Bで開催され、松重が出席した。

「空洞のなかみ」には12本の連作短編小説「愚者譫言(ぐしゃのうわごと)」と、サンデー毎日での連載エッセイ「演者戯言(えんじゃのざれごと)」を収録。現在東京のBONUS TRACKで行われている関連展では、イラストレーター・あべみちこによるイラスト25点のパネルと書籍カバーイラストの原画、装丁家・菊地信義によるカバー、帯、表紙の色校正などが展示されている。

まず松重は「2年半ぐらい前に『エッセイを書きませんか』と、毎日新聞出版の五十嵐(麻子)さんからお誘いいただいたのが最初です」と言って、五十嵐からの手紙を見せる。「字のきれいな人の文章は心を動かしますね」と言って依頼文を読み上げつつ、「わかりましたと言いました。聞き書きも提案されましたが、一応大学は文学部だったので書けるんじゃないか思いまして」と自身が筆を持つことにしたと話す。

本数が溜まってきた際、対談などのトピックを盛り込んだ書籍化の提案を受けた松重。出版は来年を考えていたというが、新型コロナウイルスの感染拡大により自粛期間が生まれたことでフィクションの短編執筆に乗り出した。「つらつら書いていくうちに、これは1つの物語にまとまるなと思いました。それでこれをメインに本にできないかと連絡したんです」と話す。

菊地にはダメ元で装丁依頼をしたという松重は、「『つつんで、ひらいて』(菊地を追ったドキュメンタリー)を拝見しましたし、先生が著書の中でおっしゃっていた『僕は本を包む入れ物を作ってる』という話が僕の考える役者のイメージとすごくリンクしていたんです。役者はいろんな役が出たり入ったりする空っぽの器。菊地さんのおっしゃる装丁家の心づもりに非常に共感できました」と思い入れの強さを見せる。またその仕事に「無駄なものが何1つないです」「鳥肌が立ちました」と称賛を送った。

終盤には、松重が短編「オペ室」の生朗読を実施。身振り手振りを交え、難しい専門用語が並ぶセリフを強弱を付けて読み終えた。最後に「悲劇を喜劇に変えるのが演者の仕事。表現にはそういう力がある。今の時期を笑い飛ばせるようなものを書けないかと思い、皆さんを笑わせようとこの本を書いた気がします」と思いを語り、配信を締めくくった。

松重豊「空洞のなかみ」展

2020年10月23日(金)~30日(金)東京都 BONUS TRACK 中央棟1F ギャラリー
開館時間 11:00~20:00
※最終日は17:00まで
入場料:無料

※記事初出時、本文の人名に誤りがありました。お詫びして訂正します。