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主演・亀梨和也「良い時間過ごして」前川知大のSFミステリー「迷子の時間」本日開幕

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PARCO劇場オープニング・シリーズ「『迷子の時間』-『語る室』2020-」取材会より。

イキウメの前川知大が作・演出、KAT-TUNの亀梨和也が主演を務める「『迷子の時間』-『語る室』2020-」が、本日11月7日に開幕。これに先駆け、昨日6日に取材会とゲネプロが行われた。

「迷子の時間」は、前川が2015年にイキウメ内のユニット・カタルシツで上演したSFミステリー「語る室」を、新たなタイトルで立ち上げたもの。劇中では、1人の幼稚園児と送迎バスの運転手の神隠し事件を発端としたストーリーが展開する。亀梨が、主人公の警察官・二階堂譲を演じ、譲の姉で、失踪した園児の母親・二階堂美和子役に貫地谷しほり、ヒッチハイクで実家を目指す男・益子大輔役に浅利陽介、未来人・ガルシア和夫役に松岡広大、霊媒師・佐久間一郎役に古屋隆太、大輔の妹・益子真知子役に生越千晴、そして失踪したバスの運転手の兄・古橋宗雄役に忍成修吾がキャスティングされている。

2005年9月22日の夕方。山奥の田舎町に住む譲は、自身が勤める交番前の広場で、古橋とともにバーベキューの準備をしていた。5年前に起きた失踪事件の被害者家族である譲と古橋、そして譲の姉・美和子にとって、バーベキューは月に一度の恒例行事。その日は、車を盗まれたと交番にやってきた男・佐久間も、バーベキューに参加することに。自身を霊媒師と名乗る佐久間は、失踪事件について知りたがっている様子だが、譲は面白半分で聞かれてはたまらないと口を閉ざす。そこに材料を買ってきた美和子が登場。美和子は、佐久間の顔に見覚えがあるようで……。

物語は、事件が起きた2000年、2002年、2005年と、3つの時間を行き来する。事件直後、息子を失った悲しみから、運転手家族の古橋一家を激しく責め立てる美和子と、弟の失踪に苦しむ中、美和子から嫌がらせを受けさらに憔悴する古橋、そしてそのどちらにも寄り添おうとする譲の3人が、やがて肩を並べ、バーベキューをするようになるまでの関係性の変化が、5年という月日の経過の中で、優しく浮かび上がっていく。前川の真骨頂であるSF的手法もさることながら、譲、美和子、古橋が織りなす、愛と許しを描いたヒューマンドラマも本作の見どころだ。

亀梨は、柔和な表情と、フランクな物言いで、譲の“交番のお巡りさん”としての親しみやすさを強調。気がおかしくなってしまった姉、そして同じ苦しみを抱える古橋に対して、何も言わず、ただ側にいようとする愚直な献身さで、観客の胸を打つ。貫地谷は、悲しみのあまり暴走する美和子を、鬼気迫る演技で立ち上げる。譲にのみ見せる、子供のように泣きじゃくる姿では、美和子の衰弱した精神や、大事な一人息子を失ったやるせなさを表現。忍成は、優しげな佇まいと柔らかな口調で、古橋のおおらかさを表す。弟が世間や美和子に誘拐犯扱いされ、耐えきれず譲に訴えかける場面では、弟がいかに素敵な人間であったかを今にも泣き出しそうな表情で語り、強い悲哀を感じさせた。

失踪事件を紐解く鍵となるのは、大輔・真知子兄妹、未来人のガルシア、霊媒師の佐久間だ。大輔役の浅利は、身体的接触が多い妹との関係に悩む兄を、コミカルさとシリアスさを交えながら立ち上げ、真知子役の生越は、天真爛漫で快活な妹を、愛らしさをたたえて演じる。松岡は、過去に迷い込んでしまったガルシアの不安や孤独感を、持ち前の少年らしい瑞々しさを演技ににじませながら、丁寧に表現。古屋は、佐久間のうさんくささを軽妙なセリフ回しで際立てて笑いを誘った。

ゲネプロ前に行われた取材会には、前川と、亀梨をはじめとする出演者全員が出席。前川は本作について「見どころを話すのが難しい作品ではあるのですが」と前置きしつつ、「難しく考えず、感覚で観ていただけるように作ったつもりです。この7人のつながりが、観終わったあとに、温かい形で胸に残れば」とほほ笑む。

5年ぶりの舞台出演で、今回、ストレートプレイに初挑戦する亀梨は「こういった状況の中で、来てくださる方々に感謝しつつ、良い時間を過ごしていただけるように尽くしたい」とコメント。司会から苦労している点を問われると「苦労というよりは、挑戦や発見、気付きが多いですね。家に帰ってからそれを、『大丈夫かな』と毎日振り返っていて……」と真剣な表情で話すと、隣に座る浅利から「やめてね、明日睡眠不足で来るの!(笑)」とツッコミが飛ぶ。さらに貫地谷が「この人、1週間前からドキドキしてるんですよ(笑)」と記者陣に明かすと、亀梨は照れくさそうに「家では気を静める作業をしたいと思います!」と述べた。

「憧れの前川さんの作品に参加できることがうれしい」と語る貫地谷は、作品の魅力を「懐かしさと、前川さんの時空を自在に操るテクニックが融合した素敵な舞台になっています」と話す。浅利が「僕はヒッチハイカーという役ですので、ゆるーく出て、またゆるーく去っていくような役」と自身の役どころに触れると、隣の亀梨から「いや、全然ゆるくないですよ(笑)」と笑い交じりに指摘が入る。それにニヤリと笑った浅利は「橋爪功さんのように、ちょっと出ただけでクスッと笑える、存在感のある演技を目指してがんばります!」と続けた。

松岡は「前川さんは、絶対にご一緒したかった演出家さん。なので、出演できてすごくうれしいですし、この諸先輩方に囲まれて芝居ができるのも、最上の喜びです。明日初日を迎えますが、『演劇ってやっぱり楽しいな』という思いでいっぱいです」とフレッシュに語り、古屋は「この作品自体、“目には見えないけれども確実にあるもの”や、人生にとってとても大切なものが深く描かれている。より多くの皆さんに、この作品をしっかりお届けできたら」と気合十分な様子を見せた。

生越は「この登場人物7人の“深いところでつながっている”という関係性が、稽古を通して作り上げられたと自負しています。お客様に届けられるのがすごく楽しみ」とコメント。忍成は、自身の初舞台が旧PARCO劇場であったことを明かし「なのですごく感慨深いですし、またこうして新しいPARCO劇場に出演できることがうれしい」と笑顔で語り、「前川さんの作品はずっと拝見していたので、ご一緒できることにワクワクしていました。稽古場でのチームワークもとても良くて、それが明日から始まる本番の底力になるかと」とキャストたちに視線を送った。

上演時間は約2時間10分。公演は11月29日まで行われたあと、12月8日から13日まで大阪・サンケイホールブリーゼで上演される。

PARCO劇場オープニング・シリーズ「『迷子の時間』-『語る室』2020-」

2020年11月7日(土)~29日(日)
東京都 PARCO劇場

2020年12月8日(火)~12月13日(日)
大阪府 サンケイホールブリーゼ

作・演出:前川知大
出演:亀梨和也 / 貫地谷しほり、浅利陽介、松岡広大、古屋隆太、生越千晴、忍成修吾