PFFアワード2018グランプリは22歳の工藤梨穂、生田斗真らが表彰式に出席
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PFFアワード2018の様子。左から村上由規乃、工藤梨穂、生田斗真。
第40回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)のコンペティション、PFFアワード2018の表彰式が本日9月20日、東京・国立映画アーカイブにて行われた。
PFFアワードは、石井岳龍、黒沢清、園子温、熊切和嘉、白石晃士ら多数の映画監督を輩出してきた自主製作映画のコンペティション。PFFアワード2018には、529本の応募作の中から18作品が入選した。このたびグランプリに輝いたのは、「オーファンズ・ブルース」を監督した22歳の工藤梨穂。本作は記憶が欠落する病を抱えた少女を主人公とするロードムービーだ。工藤が「私は映画で希望を映し出したくて。それが受け入れられたことが、本当にうれしいです……」と涙で言葉を詰まらせると、本作で主演を務めた村上由規乃が壇上に上がり「スタッフのみんなに早く知らせたいです。みんなで作れたことは私の人生の財産だと思っています」と代わりに話して助け舟を出し、ともに喜びを分かち合った。
準グランプリは、アニメーション作品「ある日本の絵描き少年」の川尻将由、審査員特別賞は、3つのショートストーリーからなる「川と自転車」の池田昌平、モノローグから19歳女子のリアルを浮かび上がらせる「19歳」の道本咲希、実体験をもとに制作された「すばらしき世界」の石井達也が受賞。また観客賞には、中元雄のカンフー映画「一文字拳 序章 -最強カンフー少年対地獄の殺人空手使い-」が輝いた。表彰の際には、主演の茶谷優太がステージ上でバック宙を披露。さらに中元と壇上でカンフーを披露し、会場を沸かせた。
表彰式には最終審査員を務めた俳優の生田斗真、映画監督の大九明子、佐藤信介、冨永昌敬、映画プロデューサーの佐藤公美が出席し、PFFアワード2018の総評を行った。生田は受賞者たちの喜びの言葉に胸がいっぱいの様子で「お前が泣いてどうするんだって話ですが、涙が止まらないというか……感動しています」とコメントし、「近い将来、必ず皆さんの時代が来ると思います。その時代に僕も乗り遅れないようがんばりますので、今後とも日本のエンタテインメントを背負っていきましょう」とエールを贈った。
PFFアワード1994のグランプリを獲得している佐藤信介は「グランプリをはじめとする賞は、個人の嗜好を超えたユニバーサルな視点に立って選ばなければなりませんでした」と述べ、一方で個人的に感銘を受けた3作品として「川と自転車」、胡旭トウの「山河の子」、芦澤麻有子の「貴美子のまち」を挙げる。大九は「私は27歳のときに映画美学校の門を叩いて映画人生が始まりました。大人として世の中のことがわかっていたので、ずっと怯えながら映画を作っていたんですが、支えになっていたのは観客の方の声でした。なので、なるべく多くの作品の感想を述べていきたいと思います」と前置きをし、1つひとつの作品の感想を真摯に伝えた。冨永は「僅差だった」と入選作品を振り返り、「オーファンズ・ブルース」について「キャスティングがすごい。あえてなのか幼く見える俳優さんを選んでいて、これに圧倒されました」と評した。
そのほかの受賞結果は下記の通り。なおグランプリ作品「オーファンズ・ブルース」は、11月2日に第31回東京国際映画祭で上映される。第40回ぴあフィルムフェスティバルは9月22日まで国立映画アーカイブで開催される。
※胡旭トウのトウは丹にさんづくりが正式表記
PFFアワード2018受賞結果
グランプリ
工藤梨穂「オーファンズ・ブルース」
準グランプリ
川尻将由「ある日本の絵描き少年」
審査員特別賞
池田昌平「川と自転車」
道本咲希「19歳」
石井達也「すばらしき世界」
エンタテインメント賞(ホリプロ賞)
野村奈央「からっぽ」
ジェムストーン賞(日活賞)
川尻将由「ある日本の絵描き少年」
映画ファン賞(ぴあニスト賞)
石井達也「すばらしき世界」
観客賞
中元雄「一文字拳 序章 -最強カンフー少年対地獄の殺人空手使い-」
特別設置:ひかりTV賞
工藤梨穂「オーファンズ・ブルース」