Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > ぴあ映画 > 『世にも奇妙な物語 ’20秋の特別編』は30周年にふさわしい作品に 広瀬すず主演作など見どころ紹介

『世にも奇妙な物語 ’20秋の特別編』は30周年にふさわしい作品に 広瀬すず主演作など見どころ紹介

映画

ニュース

リアルサウンド

 タモリがストーリーテラーを務めるオムニバス形式の『世にも奇妙な物語』(フジテレビ系)は、これまでにホラー・怪奇系を中心に、シュールなコメディやホッとするような不思議な癒し系まで、多彩な作品を届けてきた。30周年を迎えた本年は、コロナ禍で撮影スケジュールが影響を受ける中、『世にも奇妙な物語 ’20夏の特別編』に続いて、『世にも奇妙な物語 ’20秋の特別編』として新作4編を放送。どれも30周年にふさわしい充実した作品となっている。

 『イマジナリーフレンド』の主演は広瀬すず。広瀬は、いまもっとも出演を熱望されている女優の一人だ。最後に連続ドラマに出演したのは、2019年前期の朝ドラ『なつぞら』(NHK総合)で、単発でも5月に放送されたリモートドラマ『Living』(NHK総合)が目下の最新作となっている。坂元裕二が脚本を手がけた『Living』では、広瀬アリスとの“姉妹”共演も話題になった。アリスは『世にも奇妙な物語 ’20夏の特別編』の『しみ』にも出演しており、姉妹でシリーズ初出演にして主演を飾ることになった。

 映画『海街diary』や『ちはやふる』シリーズ、『anone』(日本テレビ系)、『なつぞら』で女優としての成長過程を映像に刻んだ広瀬が今作で演じるのは、臨床心理学を専攻する大学生の原田早希。幼い頃、早希にはユキちゃんというウサギのぬいぐるみの友達がいた。自分にしか見えないユキちゃんは、早希が成長するにつれて姿を見せなくなっていたが……。みずみずしい感性で等身大のキャラクターを演じてきた広瀬が、想像上の友達とどんなやり取りを繰り広げるのか? イマジネーションあふれる演技に注目したい。

 『コインランドリー』で派遣切りに遭ったフリーター・橋本学を演じるのは濱田岳。『世にも奇妙な物語』では、欲望に振り回される人間たちが多く描かれる。コインランドリーで見つけた不思議な乾燥機。その中にあったのは? 濱田の出演は、2012年『春の特別編』の『ワタ毛男』以来。同編の役名も橋本俊樹でなぜか「橋本」姓と縁が深い。どこにでもいそうなキャラクターが自分の作り出した状況に翻弄される受けの演技、ストーリーに緩急をつける巧みさを堪能してほしい。また、ヒロインの近藤亜美を岡崎紗絵が演じている。今泉力哉監督作『mellow』をはじめ、俳優として進境著しい岡崎だが、実力派女優の共演も見どころの一つだ。

 火花を散らすような女のバトルが見られるのが、大竹しのぶ主演の『タテモトマサコ』。日本を代表する女優で本シリーズ3回目の主演となる大竹が、成海璃子と交わす動きや視線、セリフの応酬は一瞬たりとも目が離せない。大竹演じる館本のキャラクター造形はさすがの一言だ。

 30年の歴史を通して、『世にも奇妙な物語』は多くの俳優や脚本家を世に送り出してきた。特に脚本では、初期にデビュー間もない北川悦吏子や中園ミホ、水橋文美江にオファーし、2000年代以降は、黒岩勉やバカリズムが本シリーズをきっかけに飛躍を遂げてきた。オリジナル作品だけでなく、原作ものも小説や漫画など広く題材を求めてきたが、その流れの先端にあるのが、高橋克実主演の『アップデート家族』だ。

 『アップデート家族』の原作は、集英社が運営するマンガ投稿サービス「ジャンプルーキー!」に投稿されたチョモランマ服部による同名マンガで、「第2回 うすた京介 漫画賞」の準大賞受賞作品。マンガ的な設定を、大竹と同じく通算3度目の出演となる高橋が絶妙な温度感で料理している。娘役の吉川愛も演技巧者ぶりを発揮しており、小編ながら満足感の高い作品となった。

 ちなみに『コインランドリー』の原作は『少年ジャンプ+』掲載の『ロッカールーム』。『少年ジャンプ+』といえば、現在『週刊少年ジャンプ』誌上で話題沸騰中の『チェンソーマン』の作者・藤本タツキが、同作の前に連載をしていたことでも知られる。新しい才能を積極的に登用する姿勢が『世にも奇妙な物語』を30年にわたる長期シリーズにしている。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログTwitter

■放送情報
土曜プレミアム『世にも奇妙な物語 ’20秋の特別編』
フジテレビ系にて、11月14日(土)21:00~23:10放送
ストーリーテラー:タモリ

『タテモトマサコ』
出演:大竹しのぶ、成海璃子、森高愛、小松和重、佐伯大地、浦まゆほか
脚本:山岡潤平
原案:荒木哉仁
演出:小林義則

『アップデート家族』
出演:高橋克実、吉川愛ほか
原作:『アップデート家族』チョモランマ服部(集英社『ジャンプルーキー!』)
脚本:向田邦彦
演出:北坊信一

『コインランドリー』
出演:濱田岳、岡崎紗絵、コロッケほか
原作:『ロッカールーム』鈴木祐斗(集英社『少年ジャンプ+』掲載)
脚本:遠山絵梨香
演出:松木創

『イマジナリーフレンド』
出演:広瀬すず、堀内敬子、岐洲匠、横田真悠、夏子ほか
脚本:荒木哉仁
演出:植田泰史

編成企画:渡辺恒也、狩野雄太
プロデュース:小林宙、中村亮太
制作:フジテレビ
制作著作:共同テレビ
(c)フジテレビ