テラシマユウカ、行定勲監督に恋愛映画の極意を聞く 新連載「映画の話しかしてなかった」スタート
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映画を愛してやまないPARADISES(パラダイセズ)のテラシマユウカの連載企画「映画の話しかしてなかった」がスタート。本企画では、大の映画好きを公言してやまないテラシマユウカが、毎回ゲストを招いて、ただただ映画について語り合う。
第1回のゲストは、『窮鼠はチーズの夢を見る』が大ヒット公開中の行定勲監督。実はPARADISESの前身グループGANG PARADEのライブを以前より観ていたという行定監督と恋愛映画の極意について語った。【記事最後に“読者プレゼント”あり】
テラシマユウカ「括りなんていらない映画」
行定勲(以下、行定):お久しぶりです。
テラシマユウカ(以下、テラシマ):お久しぶりです。1年ぶりくらいですよね。
行定:そうですね。去年初めてお会いしたんですが、実はその前に僕はGANG PARADEのライブを3回ぐらい観ていて。
テラシマ:3回もですか!? ありがとうございます。
行定:BiSHとの対バンと、あと日比谷野外音楽堂のワンマンも行きました。あのワンマンは良かったですね。なんでGANG PARADEを2つに分けたんだって、渡辺(淳之介)さん(WACK代表取締役)には会うたびに言っています(笑)。とにかく単純に、僕はGANG PARADEのファンなんです。テラシマさんが映画がお好きだということも聞いていて。
テラシマ:初回から行定監督とお話しできるなんて嬉しいです。現在公開中の『窮鼠はチーズの夢を見る』、私はすでに2回観ているんですが、観客の方々からの反応はいかがですか?
行定:みなさんが、すごく丁寧に作品を受け取られているのを実感しています。作り手としては、「自信作だ」と口では言うんだけど、やっぱり不安はあるんです。表現というのは、本当にちょっとした角度や見え方、観る人の境遇の違いで、全く別の物に見えるので。本作はいわゆるボーイズラブーーBLーーが主題にあります。最初はボーイズラブの映画を自分が撮れるのかという葛藤はありました。なぜなら自分自身にそういう経験がないから。でも、実際に作品を作っていく中で、これは1人の男のシンプルな恋愛の話だと気づきました。女性と向き合っていてもどうしても本当の愛にたどり着けていなかった男が、実際に真剣に向き合う人間と出会ったときどんな風になるのかという話。そう思うと、同性愛・異性愛に違いはなくて。実際にそういうメッセージは、観客の方々にも伝わっているように感じます。
テラシマ:私も最初はいわゆるボーイズラブの映画なのかなと思っていたんですが、実際に作品を観たとき、監督のおっしゃる通り、ボーイズラブとかそういう括りなんていらない映画だと思いました。私もこれまで同性愛が描かれてきた映画を観てきましたが、そうしたときに描かれることが多い、2人の周囲の社会の軋轢とかが本作にはあまりなかったのが印象的でした。だからこそ、2人の純粋な関係がより色濃く見えた気がします。
行定:ありがとうございます。今、世界の映画祭に行くと、LGBTのカテゴリーもあります。でも、そうしたカテゴリーがあること自体が、性的マイノリティの方々が、世の中で生きづらい状況があるということを示している。これからはきっとそんな壁も取り払われていくと思います。そんな状況の中で、ラブストーリーという構造も、もっと様々なもつれ方をするんじゃないかな。その第一段階が、『窮鼠はチーズの夢を見る』になればと思っています。ことさらにボーイズラブということが取り沙汰されるのではなく、普通に劇場で公開されるということが1番僕は目指したことでした。
行定勲「恋愛に関しては誰も他人事ではいられなくなる」
テラシマ:行定さんの作品は、いわゆる恋愛映画というジャンルに入るかもしれないですが、それだけじゃなくて、恋愛というものを通して1人の人間の成長を描いているようにも感じます。私は恋愛についてあまり経験がないので、昔はラブストーリーが苦手だったんです。でも、行定監督の作品はそんな自分でも共感できる部分が多くて。
行定:鋭い指摘ですね。確かに、企画書や宣伝文句でも「ラブストーリー」とよく言われるんですよ。でも、僕がこれはラブストーリーだと思って作品を撮っているかというとそんなことはなくて。僕は、恋愛を通してある人がどんな風に自分の生き方を省みるかということに興味がある。ただ、恋愛というのはその対象として、1番わかりやすいですよね。みんなもっと恋をすればいいと思います。それだけ新たな生き方に気づけるから。みんな、恋愛をもっとやったほうがいいと思う。テラシマさんはアイドルだから「恋愛経験がないんです」と一応言うんだと思うんですが(笑)。
テラシマ:違いますよ(笑)! 私は、自分が人間として恋愛感情が本当に欠けてるなと思って(笑)。恋愛が分かったら映画の観方も変わるのにと、変に負い目を感じる部分もあるんですよね。
行定:恋愛をすると、ダメな自分というのを実感するんです。本当に人生が狂わされるんです(笑)。恋人と喧嘩したりすると本当に仕事に手がつかなくなったり。でも、その人から「今日はごめんね、言い過ぎた」とかメッセージが来るだけで、急に世界が明るくなる。恋愛に関しては誰も他人事ではいられなくなるんです。そういうときの人って非常に面白いんですよね。僕は恋愛映画を撮りながら、ちょっと笑っちゃったりするんですよ。チャップリンは、昔、「すごく近くで見たら悲劇なんだけど、遠くから見たら喜劇だ」と言っていて。恋愛映画はその典型だし、そういうときに人間ってやっぱり面白いなと思える。『窮鼠はチーズの夢を見る』も、2人の感情に特化していますが、主観的では決してないんです。ただ、今回はこれまでとは違っていて。自分は性的にはマジョリティーだから本作を描くにあたって滑稽な態度ではいられなかったし、真剣にボーイズラブを追体験しようとしました。その意味では、恋愛に特化した作品ではあります。本作を撮るにあたっては、人が人を好きになるということはどういうことなのかと考えざるを得なかったです。
テラシマ:こうやって映画監督の方とお話しする機会は、今回が初めてで。直接作った方からお話を伺って、本作の観方もまた変わりそうです。
行定:よかったです。僕は、登場人物の表情や言っていることが最初と最後で変わっている映画がいい映画だと思っていて。そういう成長がささやかでもあるような映画を僕もこれからも作っていけたらいいなと思っています。ぜひまた観てください。
テラシマ:ありがとうございます。ぜひ観させていただきます!
■公開情報
『窮鼠はチーズの夢を見る』
全国公開中
出演:大倉忠義、成田凌、吉田志織、さとうほなみ、咲妃みゆ、小原徳子
原作:水城せとな『窮鼠はチーズの夢を見る』『俎上の鯉は二度跳ねる』(小学館『フラワ
ーコミックスα』刊)
監督:行定勲
脚本:堀泉杏
配給:ファントム・フィルム
(c)水城せとな・小学館/映画「窮鼠はチーズの夢を見る」製作委員会/R15
公式サイト:http://www.phantom-film.com/kyuso/
公式Twitter:https://twitter.com/kyuso_movie
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