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三戸なつめ、『おちょやん』母親役で見せた新たな輝き 作品のスタートに大きな印象残す

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リアルサウンド

 11月30日からスタートした、杉咲花主演のNHK連続テレビ小説『おちょやん』に、主人公おちょやんの亡くなった母・サエとして登場した三戸なつめ。モデルやタレント、アーティストとして、明るいキャラで幅広く活躍し、今年は映画『明日、キミのいない世界で』や『ロックンロール・ストリップ』などの作品で女優としても注目される彼女が、わずかな出演時間ながらも、おちょやんの心の支えとなる母親役として魅力的な演技を見せた。

 きゃりーぱみゅぱみゅ、CAPSULEらが所属するアソビシステムに在籍する三戸。2010年頃からモデルとして頭角を現し、「自分の殻を破る1つの行為」(日本テレビ系『人生が変わる1分間の深イイ話』より)というトレードマークの前髪を短く切り揃えたヘアスタイルと、ナチュラルで飾らない明るさで、『mer』『Zipper』『SEDA』などの青文字系雑誌モデルの顔として活躍。もはや「三戸なつめ」といういちキャラクターとして、バラエティやCMでも活躍し、2015年には、本人も「人生を変えた出来事」(参照:【50 Questions】三戸なつめに50の質問!|ASBS made in harajuku)という中田ヤスタカプロデュース楽曲「前髪切りすぎた」で歌手デビュー。そのカップリングの「コロニー」が主題歌となった桐谷美玲主演映画『恋する・ヴァンパイア』(「・」はハートマークが正式表記)で映画初出演を果たし、普段の三戸そのままの明るいキャラクターを演じた。

三戸なつめ 『前髪切りすぎた-全部入り篇-』

 2018年からは本格的に女優業も行う。中でも印象的だったのが、ドラマ『賭ケグルイ』シリーズ(MBS/TBS)での、私立百花王学園を支配する生徒会役員のひとり、黄泉月るな。子どもらしい言動ながらも、その随所に狂気が見え隠れする原作キャラクターを見事に再現し、キャスティングの勝利とも呼ばれた。この無邪気な演技というのは、同年の若月佑美主演の舞台『鉄コン筋クリート』でのシロ役でも見せていた。『賭ケグルイ』では狂気として、『鉄コン筋クリート』では優しさとして、三戸らしさが発揮されたと言える。

 今回の『おちょやん』は、芝居の街・大阪道頓堀を舞台に、喜劇女優として活躍し“大阪のお母さん”と呼ばれるまでになった女性・千代(杉咲花)の波乱万丈の人生を描く。千代は、「弟・ヨシヲと家を守る」という、5歳の時に亡くした母・サエとの約束を守るべく家の一切を担ってきた。そこに後妻の栗子(宮澤エマ)がやって来て対立。物語の序盤では、「千代VS栗子」という構図が出来上がっていく。

 サエは第1話の回顧シーンで登場。当初は三戸が母親役と聞いて、30代になったとはいえまだ早いのでは?とも思ったが、おでこ全開で、かつての宮崎美子のような母性溢れる優しいお母さんを見事に演じた。今後の主人公を演じる杉咲花と似ている雰囲気もあり、これも見事なキャスティングと言える。

 母親からご褒美にビー玉を渡され、それを宝物として大事そうに持っている千代の姿が描かれた序盤。今後のサエの登場シーンは少ないと思われるが、千代の心の支えであり、もっとも影響力のある存在であることは間違いなく、三戸の優しい表情は、しっかりと作品の始まりに大きな印象を残したのではないだろうか。

 これまで数々のCMや自身のMVなどで、セルフプロデュースが光っていた三戸。『おちょやん』での演技は、30代を迎えて、自分がどんな役を演じたら輝けるのかを考えた末の表現のようにも感じられた。『おちょやん』はまだ始まったばかりなので、後半などでまた別の役でもぜひ再登場してほしいと思わせるほど、一瞬で終わるにはもったいない、三戸の存在感が際立つ放送初週となった。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
NHK総合にて、11月30日(月)より放送開始
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/