田中泯×松岡正剛、不思議な愛され方する男を踊る「村のドン・キホーテ」明日から
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「芸劇dance 田中泯『村のドン・キホーテ』Yo! Don Quixote」チラシ表
「芸劇dance 田中泯『村のドン・キホーテ』Yo! Don Quixote」が明日12月4日から6日まで、東京・東京芸術劇場 プレイハウスで上演される。
本作は、自らの踊りを追求している田中泯が空間演出を担い、編集工学者・松岡正剛が言語演出を手がけるもの。2006年より劇場空間を離れて作品を発表していた田中は、2018年の「芸劇 dance 田中泯 ―オドリに惚れちゃって!―『形の冒険』」で東京・東京芸術劇場 シアターイーストに登場。今年1月には「芸劇 dance 田中泯 ―オドリに惚れちゃって!―『形の冒険II―ムカムカ版』」で若者たちとの協働にも挑戦した。本作ではそんな田中が、「ドン・キホーテ」に想を得た作品を披露する。
コロナ禍では山梨で田畑を耕し、作物の種をまき、茶を摘みながら過ごしていたという田中。活動を制限される中で、「世界はこれで いいのか、人類はこれでいいのだろうか」という思いから、「ふと『ドン・キホーテ』を踊ってみたいと思った」と言う。なお、松岡とは対談本「意身伝心 コトバとカラダのお作法」のほか、2015年に宮沢りえ、石原淋も出演した「『影向』yowgow」で共演もしている。
「村のドン・キホーテ」には、田中・石原のほかに続木淳平、手打隆盛、高橋眞大、野中浩一、藤田龍平、山本亮介が出演。チェロ演奏として四家卯大、佐々木恵、友田唱、平間至が名を連ねる。
田中泯コメント
コロナ禍の中で活動停止を余儀なくされた時、「何故、踊りなんだろう」とか「何故、僕は踊りを始めたんだろう」とかそういうことばかり考えていました。その時、自分の中で何か突起してくる感覚があって、ふと「ドン・キホーテ」を踊ってみたいと思ったんです。そして400年も前から不思議な愛され方をしてきた「ドン・キホーテ」を演るにあたって、親友の松岡正剛に言語演出を依頼しました。言語の達人である松岡の言葉は実に刺激的ながら、一方で踊りが言葉として解釈されたり、伝わるものではないという確信も自分なりに深めています。
僕の踊りは常識破りの踊りで、言ってみれば技術に頼らない踊りです。それは踊りというものが、本来、心から始まっていると思っているからです。ひょっとしたら、人類が言葉を必要とするきっかけになったのが、踊りではないかと思ったりもしているんです。このコロナ禍の中でも、何かを探したり、これから生きるきっかけを見つけたり、僕らは自由に考え、自分の感覚を開放していくこともできる。ライブでご覧に入れる踊りには、そういう要素がいっぱいあると思っています。
松岡正剛コメント
西方の思想を集約したのは、ダンテ、ボッカチオ、セルバンテスである。壮絶なキャラクターを表出してみせたのは、ラブレーのガルガンチュア、シェイクスピアのリア王、セルバンテスのドン・キホーテだ。これですべてだ。
田中泯には、いつかこの西方の途方もない格義を日本に引っぱってくる骨舞を踊ってほしいと思っていた。
ドン・キホーテでいくと言う。快哉だ。かくて赤土の関東平野の背後に迫る村々に、ミン・キホーテが出現することになった。少々、言葉のほうでお手伝いをした。石原淋にも託した。たのしみだ。
途中、田中泯が長い棒で踊る場面がある。体と棒とが一緒くたになって空中に文字を綴る。ひそかに三文字の漢字をあてがった。想像してほしい。
「芸劇dance 田中泯『村のドン・キホーテ』Yo! Don Quixote」
2020年12月4日(金)~6日(日)
東京都 東京芸術劇場 プレイハウス
空間演出:田中泯
言語演出:松岡正剛
出演:田中泯、石原淋 / 続木淳平、手打隆盛、高橋眞大、野中浩一、藤田龍平、山本亮介
チェロ演奏:四家卯大 / 佐々木恵、友田唱、平間至
宣伝美術:町口覚+浅田農(MATCH and Company Co., Ltd.) / 宣伝写真:平間至