w-inds.からCRAZYBOY、Red Velvetまで…世界と勝負できるハイクオリティな新作
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サッカー日本代表がギリギリでグループリーグを突破し、ワールドカップもいよいよ佳境! というわけで(?)今回は世界と勝負できるクオリティを持ったアーティストとの新作を紹介(すいません、サッカーとは全く関係ありません)。橘慶太のプロデューサーとしての手腕が光るw-inds.のニューアルバム、海外のヒップホップシーンと密につながったゆるふわギャングの新作など、世界中のリスナーに届けたい充実作ばかりです。
(関連:w-inds. 橘慶太×m-flo ☆Taku Takahashi対談【前編】 それぞれの楽曲制作との向き合い方)
■w-inds.『100』
シングル曲「Dirty Talk」「Time Has Gone」などを含むw-inds.のニューアルバム『100』。ほぼ全曲の作詞・作曲、トラックプロデュース、ボーカルプロデュースを橘慶太が手がけた本作は、ネオソウル、オルタナR&B、EDM以降のエレクトロサウンドなどを色濃く反映させながら、日本語の響きを活かしたフロウ、メンバーのボーカル、ラップをバランスよく交えることで“世界的トレンドに則したJ-POP”に結びつけている。単なる洋楽のコピーではなく、w-inds.のイメージとスタイルを維持したままで楽曲をアップデートさせ続けている橘のセンスはやはり別格。Spotifyとのコラボによるバイラルキャンペーンが実現したリードトラック「Temporary」が世界的にヒットすることを切に願う。
■CRAZYBOY『NEOTOKYO FOREVER』
三代目 J Soul BrothersのELLYのソロプロジェクト・CRAZYBOYからベストアルバム『NEOTOKYO FOREVER』が到着。『NEO TOKYO』EPシリーズから厳選した13曲に新曲6曲を加えた本作は、ヒップホップアーティストとしてのスタンスが強く刻まれている。国内外のトラックメイカーによるドープかつエキゾチックなトラック、濃密にしてスムーズなラップ/フロウ、そして、MVから感じられるラッパーとしての強烈な佇まい。ストリートカルチャーに根差しながら、トラック、サウンドメイクにしっかり時間とバジェットを注ぎ、さらに今市隆二、登坂広臣、EXILE SHOKICHIなどをフィーチャーすることで一般のリスナーにもアピールする彼の姿勢は、日本のヒップホップを世界に接近させることにもつながっている。
■ゆるふわギャング『Mars Ice House II』
ラッパーのRyugo IshidaとNENE、プロデューサーのAutomaticによるプロジェクト、ゆるふわギャングの2ndアルバム『Mars Ice House Ⅱ』。前作『Mars Ice House』以降もワンマンライブの開催や音楽フェス、イベントへの出演、さらにスーパーカーの名曲をサンプルしたシングル『Contains Samples from SUPERCAR』を発表するなど精力的な活動を続けてきたが、Automatic、Estraに加えてカナダのプロデューサー・ライアン・ヘムズワースを迎えロサンゼルスで制作された本作は、アンビエントな色合いを強めたトラックと日本語のリリックが完璧に絡み合う充実作となっている。日本の社会の現状を鋭くえぐり出しながら、海外のシーンともリンクしているゆるふわギャングの存在価値は、このアルバムによって決定的なものになるだろう。
■Red Velvet『#Cookie Jar』
少女時代、EXOなどを輩出してきたSMエンターテインメント所属の5人組ガールズグループ・Red Velvetの日本1stミニアルバム『#Cookie Jar』。大胆なリズムチェンジと緻密なサウンドメイク、ビビッドなメロディラインがひとつになった世界的ヒットチューン「Dumb Dumb」など3曲の日本語カバー、さらに日本オリジナル楽曲3曲を加えた本作には、このグループの音楽的な新しさが明確に示されている。それを象徴しているのが表題曲「#Cookie Jar」。レコードのノイズから始まるこの曲は、60年代のオールディーズの雰囲気と’10年代のネオファンクを結びつけるダンスチューン。レトロポップなイメージのビジュアルも幅広い年齢層のリスナーにアピールしそうだ。
■Special Favorite Music『NOWADAYS』
大阪を拠点にした7人編成のポップスバンド、Special Favorite Music。AOR、ブルー・アイド・ソウル、チャンバーポップなどのエッセンスを自然に吸収した楽曲、クメユウスケ、ラビンユーの男女ボーカルによる解放的なメロディラインによって音楽ファンの心を掴んできたSFMの3rd ep『NOWADAYS』は、高い音楽性とポップミュージックへの愛がさらにわかりやすく提示にされた作品だ。キモになっているのは「ゆびさき」(花王リーゼ TVCMソング)に象徴される、ストレートで叙情的な日本語の歌詞。“君”との出会いによって新しい未来が広がるーーそんな風景を描いたこの曲は、エバーグリーンなポップスを体現し続けるSFMのあり方と強くリンクしていると思う。(森朋之)