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『ピーターラビット』ウサギの表情はどのようにして生まれたのか 最新技術と製作陣の思いに迫る

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リアルサウンド

 早くも続編製作が発表されている、映画『ピーターラビット』。5月18日に公開されると、同21日に発表された19、20日の映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)では2位にランクインした。製作のザレー・ナルバンディアンが「この作品はアニマル・ロジック社が手掛けた中で、最も難しい作品だと思う。しかしとても楽しめた作品でもある」と語る、CGアニメーションへのこだわりに迫りたい。

 ピーターをはじめとするウサギたちが、最新のCG技術で繊細に描かれた。草原を駆けるピーターたちとともに揺れる毛並み、雨に濡れ水を滴らせる毛並み、1本1本が躍動的に表現されている。

【写真】『ピーターラビット』CGに関する参考画像

 今回アニメーションを担当したのはオーストラリアのVFXスタジオ、アニマル・ロジック。これまでに『ハッピー・フィート』『ガフールの伝説』『レゴ・ムービー』『レゴバットマン ザ・ムービー』などのアニメーション制作を手がけてきたが、本作はこれまでにない挑戦をした作品だったという。

 本作ではウサギたちの豊かな表情が魅力の1つ。この表現は製作陣がもっとも苦労した点だった。本物と忠実に作れば細かい表情が表現できず、キャラクターの感情が伝わりづらくなってしまう。逆にアニメ的な表現に徹すると今度は背景や役者たち実写パートとのズレが生じてしまう。製作総指揮を務めたジョディ・ヒルデブランドは「ピーターが単に元気なマンガのキャラクターのようにならないように、とても努力したわ。彼らにちゃんと重みがあるように、本物のウサギに感じられるようにね。少し非現実的に面白くなってしまったとしても、本物らしさは追求したかったの」とそのこだわりを明かしている。

 監督を務めたのは『ステイ・フレンズ』『ANNIE アニー』のウィル・グラック。「TOKYO HEADLINE」で公開されているインタビューによると、本来、顔の左右側面に目のついているウサギだが、ピーターたちは少しだけ全面に目が配置されているという。本物のウサギを研究して細部までをリアルに反映させたことで、豊かな表情を得ることができたとその苦労を語っている。

 また、ザレー・ナルバンディアンはグラックを「CGキャラクターだろうと実写のキャラクターだろうと、セットだろうとスタントだろうと、またアクションだろうと違いはなく、映画そのものを監督している」と賞賛。

 これまで多くのアニメ作品を手がけてきたアニマル・ロジックだが監督やスタッフの言葉通り本作は最大の挑戦だった。ナルバンディアンは続けて「この映画のために、チームはものすごい数の独占的テクノロジーを発展させる必要があった」その苦労を語っている。

 アニメーションチームが監督の信頼によって最大限の力を発揮できたからこそ、ピーターたちに幸せや怒り、悲しみという感情をもたらし、そこにある命が表現されている。長年読み継がれている絵本と最新技術の融合は“名作の初ハリウッド映画化”という高いハードルを超え、新たな『ピーターラビット』を作り出した。公開中の劇場もまだある段階だが、早くも次回作への期待が高まっている。

(馬場翔大)