「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『あの頃、君を追いかけた』
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リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、あの頃、白球を追いかけていた安田が『あの頃、君を追いかけた』をプッシュします。
参考:<a href=”https://www.realsound.jp/movie/2018/10/post-258421.html”>齋藤飛鳥が明かす、初出演映画で感じた乃木坂46の活動との違い「最初はなかなか掴めませんでした」</a>
■『あの頃、君を追いかけた』
乃木坂46の齋藤飛鳥がヒロインを務めるということで話題になった本作。台湾の人気作家、ギデンズ・コーが自身の自伝的小説を自ら映画化し、台湾の青春映画として歴代1位の興行収入をおさめた人気作の日本版リメイクです。いち早く鑑賞してきましたが、乃木坂ファンへのファンムービーに収まらず、全世代に愛される作品となっているように感じました。
まず、齋藤飛鳥さんが早瀬真愛というヒロインを演じきったことに賛辞を述べたいと思います(ファンムービーではないと言ったにも関わらず、一番最初に取りあげることをご容赦ください)。というのも、本作で描かれる真愛は、眉目秀麗、町医者の娘で成績優秀、将来は医者と謳われる“いかにも”な学園のマドンナです。
コミック実写作品が量産される日本の映画界においてもはや珍しいキャラクターではありませんが、こういった具合に課されたハードルをクリアされた例はあまりなく、ヒロイン像の確立そのものが、映画への評価に直結するというような現状があります。そんな中、齋藤さんは台湾版でチアイーとして描かれたヒロイン像とはまた違った角度からアプローチをし、早瀬真愛というヒロインをしっかりと作品に着地させることに成功しています。
また、主演を務めた山田裕貴さんも座長として、存分の輝きをスクリーンで放ちます。アイドルが主要な役を務める作品は、大概脚本や作劇がそのファンへのサービスで埋め尽くされ、一般受けしないといった状況がありますが、そのような懸念は山田さんの振り切った名演により完全に払拭されます。序盤から思いっきりコミカルに、まるで漫画の登場人物かのように“山田劇場”が繰り広げられます。男子高校生の愚かさと、瑞々しさをスクリーンいっぱいに表現する山田さんは、「こいつと友達になりたい!」と思わせる説得力を感じさせます。アイドルの相手役というのは、否応なしにそのファンから矛を向けられがちですが、本作を観て山田さんの好感が上がることは間違いなしです。それほどまでに憎めないキャラクター像を作り上げました。
キャスト陣の名演も光り、原作をとことんリスペクトした丁寧な演出に支えられ、必見の1作に仕上がっています。乃木坂ファンもそうでない人も、原作ファンの方も是非劇場に足を運んでみてください。(リアルサウンド編集部)