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『アノニマス』が描く、社会における様々な暴走の連鎖 万丞と倉木の関係にも新展開が

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リアルサウンド

「万丞くんは相棒の暴走を止められなかったことを、深く後悔しているようだ」

 『アノニマス ~警視庁“指殺人”対策室~』(テレビ東京系)第4話のキーワードは「暴走」だった。正義、愛、使命感……そうした強い思いが引き金となって人は暴走をしてしまう。本来、その思いは美しく、尊いものだからこそ、それを止めることは難しい。

芸能人への批判は、どこからが暴走か

 今回「指殺人対策室(ゆびたい)」を訪れたのは、元アイドルの真壁澪(田中美里)。既婚男性とのW不倫を報じられたことから、ネット上で批判が殺到。次第に、誹謗中傷を含んだ「叩き」へとヒートアップしていく。

 そして、警察しか知り得ない情報が度々流出している闇サイト「裏K察」では、過去に澪へのストーカー行為を行った柳田(山本浩司)が「W不倫をリークしたのだ」と踏み込んだ話が書き込まれ、さらには柳田の個人情報までも晒されてしまう。

 この風景は、現実にも見覚えがある。著名人のスキャンダルが報じられると、SNSではワッと多くの人が集まって、多くの言葉が発せられる。「不倫は良くない」という倫理観が語られる一方で、その投げかけた言葉にモラルが欠如しているなんてことも少なくない。

 正義感があるからこそ、許せないと思い、繰り返されないようにと願って声をあげる。そこにあるのは、紛れもなく善意だ。しかし、その純粋な思いが一線を越えて「暴走」になりかねないことを、冷静に見つめていく強さを持っていたい。

 秩序の保たれた社会に、より良い世界に……そう願わなかった時代はない。しかし、歴史を振り返れば、その「正義」の違いによって多くの血が流れてきた。肉体的に切り合うことはなくなったように見えても、SNS上で言葉での殴り合いに取って代わっただけなのかもしれない。

愛されたいと願うのも、どこからが暴走か

 そして、この事件の真相は、澪の夫・清二(小松和重)の「愛ゆえの暴走」だった。すべては、澪の愛を取り戻すために行ったこと。だが、澪がそもそもマッチングアプリで出会った男に心が揺れてしまったのは、清二からの関心がなくなったと感じたから。澪もまた、愛されたかったがゆえの暴走で不倫をしてしまった、ともいえる。

 そして、そんな2人の関係性が大きく変わってしまった柳田のストーカー行為もまた然り。人との距離感の詰め方がわからず、ただただ自分の愛を伝えたかっただけだったのだと反省する。だが、その言葉はSNSにいる大衆には届かない。罪を償い、新たな出発を望む柳田の公開処刑は続いていく。

 「愛しています」と言ってくれる人を求めながらも、「愛してほしい」と追いかける人からは恐怖を感じてしまうのはなぜなのか。アイドルとファンというお互いに力を与え合える関係性になるはずだった2人が、こんなにも不幸な結果になってしまうのも、実に悲しい。

 人は時に「愛する人のために」という思いで、自身では考えられなかったような大きなことを成すことがある。一方で「愛している」という言葉で、相手を縛り付けようとしてしまう人も。「愛」もまた「正義」のように、みんなが同じく抱いているものに見えて、人によってその概念は異なってくる。だから、止めるのはやっぱり難しい。

止められなかった暴走の先に

 様々な暴走の連鎖を描きながら、『アノニマス』は一筋の光を照らす。きっと止められなかった暴走の先にも、生きていれば救いはあるはずだと。澪と清二は傷つけ合いながらもそれぞれの愛を再確認し、再び共に歩むことを決めた。柳田は、真面目に働いていた料理店の板長から、また一緒に働こうと言ってもらうことができた。「愛ゆえの暴走」には「愛」が救いになっていく。

 だが、「正義ゆえの暴走」のほうはどうだろうか。次から次へとスキャンダルは持ち上がり、主要人物が叩かれたその先に救いはあったのだろうか。そのSNSで上がった声たちは、社会を少しずつ良くしているのだろうか。その答えは、まだまだ遠い。

 そして、万丞(香取慎吾)が求めている、相棒・倉木(シム・ウンギョン)の過去の事件が少しずつ明かされる。倉木の事件は、おそらく刑事の使命感ゆえの暴走。容疑者と相撃ちになった倉木は絶命したかのように思われていたが、実は生きていることが今回判明した。

 使命感で暴走した相棒を救うのは、また万丞の使命感なのだろうか。釣り堀で謎の男(田中要次)から受け取った封筒。万丞は、その中にあったアノニマスと入ったアドレスに「情報がほしい」とだけメールを送る。すると「あなたにとって正義とはなんですか?」の返信が。アノニマスの正体と共に、万丞にとっての「正義」の答えが知れるのを心待ちにしている。

■放送情報
『アノニマス ~警視庁“指殺人”対策室~』
テレビ東京系にて、毎週月曜22:00〜放送
動画配信サービス「Paravi」「ひかりTV」にて配信
出演:香取慎吾、関水渚、MEGUMI、清水尋也、山本耕史 シム・ウンギョン(特別出演)、勝村政信ほか
監督:及川拓郎、湯浅弘章、大内隆弘
脚本:小峯裕之、玉田真也、入江信吾
音楽:山下宏明、丸橋光太郎
主題歌:香取慎吾「Anonymous (feat.WONK)」(WARNER MUSIC JAPAN)
オープニングテーマ:アイナ・ジ・エンド「誰誰誰」(avex trax)
チーフプロデューサー:阿部真士(テレビ東京)
プロデューサー:濱谷晃一(テレビ東京)、北川俊樹(テレビ東京)、合田知弘(テレビ東京)、稲垣護、佐藤満、高橋潤
制作:テレビ東京/ギークピクチュアズ
制作協力:ギークサイト
製作著作:「アノニマス」製作委員会
(c)「アノニマス」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/anonymous/
公式Twitter:@txdrm_anonymous
公式Instagram:txdrm_anonymous
公式アメーバブログ:https://ameblo.jp/anonymousblog/