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VR演劇「僕はまだ死んでない」に原案・演出のウォーリー木下「ここから新しいものが」

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ナタリー

VR演劇「僕はまだ死んでない」より。

2月1日からBlinkyにて配信されているVR演劇「僕はまだ死んでない」の取材会が、昨日25日に東京都内で実施され、原案・演出を手がけるウォーリー木下が出席した。

アマヤドリの広田淳一が脚本を手がけた「僕はまだ死んでない」は、VR技術を用いた自宅で楽しめる演劇作品。劇中では脳卒中で倒れてしまった主人公・直人を中心とした物語が展開し、視聴者は主人公の視点で、360°自由に舞台上を見渡すことができる。出演者には、内海啓貴、斉藤直樹、加藤良輔、輝有子、渋谷飛鳥、瀧本弦音、木原悠翔が名を連ねた。

ウォーリーは「私自身も初めてのVR作品だったので、いろんな形のVRを体験しましたが、その中でも360°カメラのVR映像にとても惹かれました。その360°カメラを使って、円形舞台の反対、お客さんが真ん中にいて周りを役者が囲む“ドーナツ型”の舞台を作ろうと思いました」と経緯を述べ、「お客さんの存在を役者も感じながら話が進んでいく、また、一方的でアクションは起こせないという制約などを考え、当時ちょうど“終末医療”について勉強していたことも重なり、この物語を作りました」と思いを語る。

続けて、作品内容について「“終末医療”という重たいテーマであり、ズシリともくるのですが、広田くんの脚本によって軽やかな人間ドラマに昇華されていて、良い意味で他人事のようにも感じられ、その距離感がVRにとても合っていたと思います」と述べ、広田との話し合いを重ねて作り上げたことを明かす。「日本では終末期の患者さんなどが、自分で死、すなわち生き方を選べない状況もある……という難しい現状があり、それに対して問題提起というか、自分が将来そうなったときにどうするんだろう、とも考えています。それを『当事者の話にしたい』という思いが広田くんと私の中にありました」と言葉に力を込めた。

最後にウォーリーは「VRを用いてやってみたいことはたくさんあります。お客さんが能動的に動くことでアクションやドラマが変わっていったり、VRグローブを使ったりなど、もっとインタラクティブなものが作れたら、より演劇として面白くなるかと」と展望を語り、「“VR演劇元年”が2020年に始まったと感じています。演劇の豊かな発展につながっていくと思いますし、いちアーティストとしてとても面白い表現だと感じています。どんどんブラッシュアップさせ、ここから新しいものが生まれていくかと。ぜひ、怖がらずに試していただけたら」とメッセージを送った。

VR演劇「僕はまだ死んでない」の配信は、3月31日まで。

VR演劇「僕はまだ死んでない」配信

2021年2月1日(月)~3月31日(水)

原案・演出:ウォーリー木下
脚本:広田淳一
音楽:吉田能
出演:内海啓貴、斉藤直樹、加藤良輔、輝有子、渋谷飛鳥、瀧本弦音、木原悠翔