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生田斗真が体現する脚本家の苦しみと喜び 『書けないッ!?』が描く“才能”との向き合い方

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リアルサウンド

 生田斗真が主演を務めるドラマ『書けないッ!?~脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活~』(テレビ朝日系)が、2月27日に第6話を迎えた。

 今週のエピソードで印象的に描かれたのは、圭佑(生田斗真)と奈美(吉瀬美智子)の間で徐々に出来ている夫婦の溝だ。奈美は新たな書き下ろし小説の構想を練っていた。それは圭佑が脚本を手がけるドラマ『富豪教師Q』と同じ、バンパイアもの。香坂りり子のペンネームでベストセラー作家と呼ばれる奈美は、新作『ブラッディミュージック~血の旋律~』を圭佑が読んで、その才能の差に絶望してしまわないかと心配していた。

 一方の、圭佑は第7話の原稿執筆に悩んでいるところに、完成稿になったはずの第5話の直しがやってくる。主演の八神隼人(岡田将生)が撮影中に怪我(ただし足首の捻挫)をし、歩けないからアクションは無理と言い出したのだ。当初予定されていた八神の右回し蹴りは、プロデューサーの東海林(北村有起哉)からのオーダーで「マッチョな総合格闘家を口喧嘩でギブアップさせる」という無茶な代案に変更。その口喧嘩の内容を圭佑はなかなかイメージ出来ずに、ついにはスキンヘッドの男(浜野謙太)が登場するほどに追い詰められてしまう。

 苦し紛れに書いた脚本に東海林が言ったのは「ドラマを貶めるつもりか」。初めて掴んだゴールデンタイムのドラマの脚本。ここで書かなければ圭佑は再び売れない脚本家に戻ってしまう。平気なつもりでいた圭佑だったが、自身の中にある脚本家として認められたい思いに気づく。主夫として奈美に食べさせてもらっていることにも、圭佑は負い目に感じていた。

 そんな圭佑に奈美は「格闘家って負けた時の記憶引きずるんじゃないかな? 例えば、神宮寺がその時の試合を再現するの。あっ、もちろん言葉で」と豊富な知識量と想像力で簡単に総合格闘家をギブアップさせるストーリーを考えついてしまう。自分の妻を改めて天才と認めながら、そっくりそのまま参考にするのは脚本家としてのプライドが許さない。圭佑は神宮寺の教師という設定に注目し、変質者を教え諭す脚本に変更。さらにフリーラップで神宮寺のパッションを表現するユニークな発想が、八神にも偉く気に入られる結果となった。

 後日、その台本を読んだ奈美は自分の提案したアイデアではなく、圭佑が生みだした、しかも面白いストーリーに脚本家としての才能を認めていた。自分の元に弱音を吐きに来ないことに一抹の寂しさを感じながら。

 圭佑と奈美の間の溝を一層深いものにしているのは、第5話より登場した一条桜子(土村芳)の存在。圭佑は脚本家を目指しているという、自分の初めてのファンである桜子の脳冷却療法に通い詰めていた。『富豪教師Q』に「一条桜子」という人物を登場させ、奈美に内緒でメッセージのやり取りをし、いつの間にか「桜子ちゃん」と呼び始めてしまっている圭佑。互いにラップを披露し、桜子とハイタッチを交わす圭佑の笑顔は、皮肉にも家では見せない表情である。

 不穏な空気しかしない中、第7話では口述筆記のアシスタントが仙川(菊池風磨)から桜子に? 2人の距離はさらに急接近していく。そんな家族全体に起きている異変に気付くのが、空(潤浩)。次回は彼が名探偵として活躍する物語になりそうだ。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
『書けないッ!? ~脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活~』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:30~0:00放送
出演:生田斗真、吉瀬美智子、菊池風磨(Sexy Zone)、小野武彦、梅沢昌代、山田杏奈、潤浩(ユンホ)、北村有起哉、小池徹平、長井短、浜野謙太、岡田将生
脚本:福田靖
演出:豊島圭介、YUKISAITO
ゼネラルプロデューサー:三輪祐見子(テレビ朝日)
チーフプロデューサー:黒田徹也(テレビ朝日)
プロデューサー:服部宣之(テレビ朝日)、尾花典子(ジェイ・ストーム)、宮内貴子(角川大映スタジオ)
制作:テレビ朝日、ジェイ・ストーム
制作協力:角川大映スタジオ
(c)テレビ朝日