玉森裕太の氷上プロポーズの行方は!? 『ボス恋』美しき第8話ラストシーンを振り返る
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「理想じゃなくて俺の本物の彼女。あの時は嘘だったけど、奈未ちゃんが俺の気持ち、本物にしてくれたんだ」――『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(TBS系)第8話で、実家の宝来グループを継ぐことに決めた潤之介(玉森裕太)が、姉である編集長の麗子(菜々緒)に、奈未(上白石萌音)のことを正式に彼女として紹介した際に言った言葉だ。
その前に、週刊誌に掲載されてしまった編集長のパワハラ疑惑を、まさに今コラボ企画が進行中の化粧品メーカー社長の前で解くために、奈美が麗子に喧嘩を吹っかけるシーンが描かれていたが、そこでも奈未は「嘘は本当にはならないから、本当を見てもらうしかないと思った」と話していた。
決して嘘が真実になることはないけれど、それでも不甲斐ない自分に向き合いながら自問自答し、背伸びしてみたり無力感に苛まれたり、時に自身の本音に気づかない振りしてうそぶいてみたり、時に遠回りをしながら、それでもその歩みを止めなかった先に思いもよらぬ「本当」が待っているものなのかもしれない。それは仕事でも恋でも言えることで、当初描いていた「理想通り」とはいかなくとも日々刻々と変化する自分と相手と環境の掛け算で、一つとして同じものがない「自分だけの本物」が出来上がり、気づいた時にそれを手にしているものなのだろう。
人並みの幸せを求めて入社した音羽堂出版で、最初は想定外のバリキャリ鬼編集長の元でのアシスタント業務に不平不満しかなかった奈未が、今や編集長のピンチを救い、さらに撮影現場で潤之介と一緒に仕事をする日が来ようとは誰が想像できただろうか。宝来姉弟の家業を巡る複雑な想いや関係性もあって、さらに潤之介がカメラマンを辞める決意を固めたことも知っている我々視聴者からすれば、ことさら込み上げてくるものがあったシーンとなった。
「最後の悪あがき」だと編集長が話していた今回のコラボ企画商品の化粧水が大ヒットしたことで、音羽堂出版の吸収合併は免れなかったものの、雑誌『MIYAVI』の存続が決まる。これも想像だにしなかった、ただ編集部全員で掴み取った紛れもない“実話”で“真実”だ。
ただ、そこには編集長の麗子の交代という条件つき。そうなることをどこかで予期していたかのような麗子から奈未への言葉「この仕事は人に夢を与える仕事。だからあなたが憧れるべきは私じゃない、“この仕事”」は、まるで自分が去った後を見越しての彼女から奈未への叱咤激励かのようだ(ちなみに、野暮ないち視聴者としては、最終的には麗子が宝来グループを継ぐことになり、プロポーズされた奈未も潤之介もそのまま自身の夢を諦めずに追い続けるという展開もあり得るのでは、と思ってしまうがどうだろうか。)。
「俺か仕事か選べって言ってるみたい」だという心配を乗り越えて最後に潤之介が氷の上でプロポーズする美しくなんとも愛らしいシーンが描かれた。
潤之介に電話で「奈未ちゃんにとって大事な場所になってたんだね」と言わしめた『MIYAVI』編集部の存在、編集長交代という大きな局面を迎えることになる編集部のことも気がかりな中、奈未はどんな答えを出すのか。
少し前までは“YES or YES”の一択しかなかった奈未。ただ、逃げ出さずに他の誰でもない自分自身が紡いできた頑張りや足掻き、芽生え始めた自負の先に待ち受ける「奈未だけの本物のストーリー」とはどんな景色なのか、彼女が想い描く未来はどんな形なのか、次週を楽しみに待ちたい。
■佳香(かこ)
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter
■放送情報
火曜ドラマ『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』
TBS系にて、毎週火曜22:00~22:57放送
出演:上白石萌音、菜々緒、玉森裕太、間宮祥太朗、久保田紗友、亜生(ミキ)、秋山ゆずき、太田夢莉、高橋メアリージュン、なだぎ武、高橋ひとみ、倉科カナ、ユースケ・サンタマリア
脚本:田辺茂範
演出:田中健太、石井康晴、山本剛義
プロデューサー:松本明子
編成:宮崎真佐子
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS