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門脇更紗、シンガーソングライターとしての揺るぎない思い メジャーデビューまでとこれからを語る

音楽

ニュース

リアルサウンド

 兵庫県出身のシンガーソングライター、門脇更紗が令和3年3月3日に3分33秒のギターロック「トリハダ」をデジタルシングルとしてビクターレコーズからリリースする。

 10歳の時にギターを手にし、14歳から作詞作曲を開始。神戸や大阪など関西を中心にした精力的なライブ活動を経て、2019年10月に二十歳を機に上京。2020年3月には地元の川西と東京への思いを込めたバラード「東京は」を配信リリースし、11月からは配信3部作を発表。そして、2021年2月7日に無観客という形で開催された配信ワンマンライブでメジャーデビューを発表した。私の生き方や信念を込めた“私小説”ではなく、聴き手が自分の思い出や経験を重ねる余地を残した“物語”を歌う彼女の“これまで”と“これから”を聞いた。(永堀アツオ)

誰の真似もしたくないし、真似もされたくない

ーーまず、メジャーデビュー間近となった現在の心境から聞かせてください。

門脇更紗(以下、門脇):14歳くらいの頃から夢見ていたことなので、ああ、やっとか〜という気持ちがありますね。ただ、今はこういう世の中になってしまったので、難しい状況の中でメジャーデビューできるっていうことはすごく嬉しいです。

ーー2月7日に開催された無観客配信ライブで発表しました。

門脇:夢が叶った瞬間でした。10代の頃、自分のライブで「メジャーデビューします!」って発表する自分を想像してから寝ていた時期があって(笑)。配信ライブの前日、寝る前にシミュレーションした時に、「あ、現実になったな」って思って、なんというか、感慨深かったですね。でも、ここがゴールではなく、新たなスタート地点なので、ここから頑張らないとっていう気持ちもあります。

ーー改めて、メジャーデビューまでの道のりを振り返っていただけますか。

門脇:もともとは3歳の時からピアノとクラシックバレエをやっていて。ピアノは続けていたんですけど、10歳の時にクラシックバレエをやめたんですね。8年間やっていたものが1つなくなって、他になんかしたいなって思った時に、YUIさんと出会って、すごく好きになって。母に「YUIちゃんが好きならギターをやってみたらいいんじゃない?」って言われたひと言がきっかけでギターを始めて。最初は両親に買ってもらったアコギのキッズギターから始めたんですけど、すごく手が痛くて。父が高校の時にバンドをやっていたので家にエレキギターがあって。エレキの方が弾きやすかったので、最初はずっと父のエレキで練習してました。

ーー音楽一家だったんですか?

門脇:いや、特に音楽関係の仕事をしていたわけではなく、ただ音楽を聴くのが好きな家庭っていう感じですかね。YUIさんは家族全員、大好きでしたし、車の中では大塚愛さんもよく流れてましたね。私は個人的にディズニーチャンネルの『ハイスクールミュージカル』から入って、洋楽も聴くようになって。中学のときにテイラー・スウィフトさんに出会って、もう1回、洋楽に目覚めるっていう感じでした。

ーー10歳、小学4年生でギターを始めたときはもうプロになろうと思ってましたか。

門脇:YUIさんへの憧れが強すぎて、YUIさんのようなギターを弾いて歌うシンガーソングライターになりたいって思ったのが最初ですね。その後、12歳の時にボイトレを始めるためにピアノをやめたんです。小学校の卒業アルバムにはもう「シンガーソングライターになりたいです!」と書いてて、ギターを持って写真も撮ってて。それが、ちょうど10年前。最初は声が似てるって言われたりした時は嬉しかったんですけど、徐々にそれは私の個性じゃないなって気づいて。割と離れてみたこともあったんですけど、シンガーソングライターになりたいなって思ったきっかけは、やっぱりYUIさんですね。そこから、だんだんと趣味じゃなく、お仕事にしたいなって思うようになって、14歳の時にオーディションを受けて。

ーー中学2年生だから夢もきっとまだ漠然としてますよね。

門脇:憧れのYUIさんがいる事務所に入って、自分の音楽で大きくなれたらいいなっていう夢はありましたね。そのオーディションは何段階かあったんですけど、最終オーディション前の一般投票で負けてしまって。悲しいし、悔しいし。でも、そのことがきっかけで曲を作ろうって思ったし、「東京にレッスンを受けに来ませんか」って声をかけてもらって。オーディションに落ちたことに対してはすごく悔しかったけど、落ちたからこそある未来も良かったなって、今は思います。

ーーその時に作ったのが先日のライブでも歌った「to look up」ですよね。先日のライブでも歌ってました。

門脇:節目になるライブでは歌ってたんですけど、歌詞はわざと変えていなくて。歌っていると当時の気持ちをすっと思い出すし、ずっと14歳のままでいたい曲かなと思ってて。

ーー未来はまだ白紙のままだけど、上を向いて進んでいくんだって歌ってますよね。

門脇:うんうん。本当は10代の時にデビューしたいなって思うこともあったけど、この数年間は、全然無駄じゃなかったというか。あるべき数年間だったなって思ったりましたね。

ーー今、振り返って、10代はどんな日々でした?

門脇:ずっとライブをしてましたね。こないだ、高校の時のカレンダーを見返したら、3日に1回はライブをしてて。この1年間はライブがほとんどできなかったので、余計にびっくりして。学校にいきながらこんなにもライブをやっていたのかと思って。とにかくライブ尽くしだったと思います。

ーーこのままデビューできないかもしれないって不安になったり、挫折を感じたりはしなかった?

門脇:ないですね。私、楽観的で頑固なんですよ(笑)。あんまり人の意見を聞かないから怒られることもあるんですけど、言い方は悪いけど、好き勝手にやってきたし、シンガーソングライターになるっていうこと以外、他に何も考えたことがなくて。

ーーそこが揺るがなかった理由ってなんでしょう。

門脇:周りが誰も否定しなかったっていうのもあるかもしれない。家族は絶対に否定しなかったし、周りの友達や学校の先生も応援してくれた。それに、昔から他の人とちょっと違うことをしたと思ってたんですよね。周りとかけ離れたことをしたいし、誰の真似もしたくないし、真似もされたくないと思ってました。

誰とも同じじゃない物語を作っていってほしい

ーーでは、二十歳の誕生日を迎えた後に上京しましたがどんな心境でしたか。

門脇:ワクワクでした。やっときた! っていう。週末を中心に東京と地元を行ったり来たりしてたので、怖いなとか、変な抵抗はなくて。楽しみが8割くらいでしたね。でも、2020年、年明けてすぐにコロナが流行りはじめてしまったので、なかなか思う通りにはうまく進めなかったんですけど、おうちで一人で過ごす時間が多かった分、自分ともしっかりと向き合えたし、自粛期間がなかったらできなかった曲もたくさん作れたので、それはすごく良かったです。

ーー3月には「東京は」を配信リリースしましたが、どんな思いを込めてますか?

門脇:東京の曲だけど、地元の川西で生まれてからの20年間を詰め込んだような曲でもあって。「東京は」って言ってるけど、地元を思った曲になってるんですね。だから、MVには本物の友達と両親が出てるし、実家も本物(笑)。自分の家に撮影隊に入ってもらって、本当に家族でご飯を食べるところを撮ってもらったので、あの映像を見ると、自分でも感動するし、じんわりしてしまいますね。

門脇更紗「東京は」Music Video

ーー〈この場所は平等な気がして/東京は素敵だ〉という歌詞があります。

門脇:東京は怖いとか冷たいというイメージもあるけど、私にとっては、東京に行くたびに、毎回、何か爪痕残さないといけないなっていう気持ちをもらってたんですね。地元だったら怠けてしまう自分がいるし、傷ついた時は「あ、もう無理だ」ってなるかもしれない。でも、東京にいると、どんだけ傷つけられても、よっしゃ、やるぞ! っていう気持ちになる。そういう意味で書きましたね。

ーー〈帰りたくない〉とも歌ってますね。

門脇:はい! そう書いたけど、ちょいちょい帰ってます。関西でラジオを月1回、やらせてもっているし、年末も帰ったりしてて。でも、気持ち的には帰るつもりはないですね。

ーーその後、ライブの人気曲を弾き語りで歌った「えのぐ」を挟み、11月から配信3部作をリリースしました。

門脇:あの3曲は実は全部、繋がってて。「さよならトワイライト」には、前にも後ろにも進めないような生るぬい感じからさよならしたいっていう気持ちを込めて。「いいやん」ができたきっかけは、2019〜2020年の年末年始に実家に帰ってたんですけど、年明けに旅行にも行ったので、「休みすぎだ」って、マネージャーさんに怒られてしまって。今、考えると、すごく生意気なんですけど、「すみません」って言いながらも、心の中で「いいやん」って思ったんですね(笑)。せっかくだったら、この曲を作ろうと思って、ダメな自分もいいんじゃないかっていう、みんなの背中も押せたらいいなっていう曲になってますね。「バイバイ」は、そういう弱い自分も含め、人からの期待で、自分らしさを閉じる時があるんじゃないかなと思って。例えば、清楚っぽいねって言われたら、清楚でいなきゃいけないんだとか。人からの期待にずっと応えてきた主人公がいて。でも、本当の自分を曝け出したいっていう。今まで頑張って積み上げてきた、人から期待された自分らしさを裏切る勇気って、すごくいるなと思って。でも、それを裏切って前に進まないと、ずっとそこにいるのは面白くない。そこからバイバイして、前に進むんだっていう気持ちを書いてて、3月3日に出す『トリハダ』で主人公が飛び立つ! っていう。実は全部、繋がってるっていうことがみんなに伝わればいいなと思います。

ーー主人公をたてた物語になってるんですね。そこにはご自身の心境も重ねてますか。

門脇:そうですね。どの曲も私が主人公ではなくて。もちろん、自分の経験や気持ちも混ぜ込むけど、自分じゃない子を想像して、1つの絵本というか、物語を作るような感じで描いてるんですね。

ーー私小説じゃなく、物語であることには理由はありますか。

門脇:昔からいろんな曲を描いてきたんですけど、いろいろ描きすぎて、自分の中でどれが本当の自分なのかわからなくなったことがあったんですね。でも、自分の中では全部が自分だし、似たような曲を歌っていても面白くないなと思ったので、じゃあ、全部出しちゃえばいいんじゃないかと思って。だから、絵本を1冊ずつ読んでるような感覚で、1曲ずつ聴いてもらえたらなと思います。

ーー登場人物が変わっても、作者が門脇さんであることには変わりはないわけですからね。メジャーデビュー曲を「トリハダ」にしたのは?

門脇:実は私だけで選んだわけではなくて。スタッフさんから、ふと「これにしようか?」って言われて。自分も嫌だっていうのはなかったし、カッコいい曲を一発目に出すのはいいなと思って。ただ、「トリハダ」って名前がすごいので、自分でも慣れてなくて。

ーーでも、これからずっと言い続けますよね。「では、聴いてください。デビューシングル『トリハダ』です」って。

門脇:ふふふ。そうなんですよね。私、ホラー映画が好きで。昔、『トリハダ』っていう短編ドラマを観た記憶があって。その記憶がねじ込まれてて、このタイトルで大丈夫ですか? って思ったんですけど、ジャケが出来上がってきたのを見て、やっと見慣れてきたっていう感じですね。でも、お母さんにはいまだに「さぶいぼ」の曲って言われるんですよ。いや、トリハダやって、訂正してるんですけど……。

ーー(笑)。最近、鳥肌が立った出来事ありました?

門脇:こないだ、ライブした時に、自分でメジャーデビュー決定を発表した時はゾワっとしました。うわ、言った! みたいな。

ーー僕は、この曲が3:33ぴったりで終わった時に鳥肌が立ちました。令和3年3月3日にリリースされるデビュー曲にこの仕掛けは! って。

門脇:いや、私、今、知りました。きっと誰も気づいてない気がする。全然考えてなかったです。

ーーディレクターさんの案かもしれないですね。もともとはどんなところから生まれたんですか。

門脇:ずっとYUIさんが好きだったので、今、所属させてもらっているスターダストに入るのが夢だったんですね。で、ライブ活動をしてた17歳の時にライブハウスに知らない女性のお客さんが私を目当てに来てくれてて。声をかけられて、「興味があれば」って渡された名刺を見たら、スターダストプロモーションて書いてたんですよ。その時にもう、めっちゃ鳥肌が立って。隣にいたお父さんも「えっ!」ってなってて。そこで、「ほんとに鳥になるくらい鳥肌が立ちました」っていう話をしてたら、それ面白いじゃないかってスタッフさんに言われて、そこから曲を作ってみようってことになって。

ーーそのエピソード自体は歌詞には入ってないですよね。

門脇:そうですね。怖いものを見て鳥肌が立ったとか、鳥肌にはあんまりいいイメージがないけど、素敵な音楽を聞いた時とか、映画やドラマを見て感動した時も鳥肌が立つじゃないですか。いい意味での鳥肌を伝えられたらいいなっていう思いで書きました。

ーーどんなメッセージを込めてますか。

門脇:高校生の頃に一番思っていたことなんですけど、年齢を重ねていくにつれて、夢を追いかけることに対して、周りの目や声を気にするようになるじゃないですか。例えば、進学するときにどうするの? とか。私も何回も考えてきたけど、決して迷わずに自分を信じてやってきた。それでも、「まだやってるのか?」って言われることもあったし、馬鹿にされるようなこともあったけど、周りの目を気にせず、自分を信じて、突き進んでいってほしいなという思いも込めてて。自分に対しても言い聞かせるように作ってますし、この曲を聴いてくれた人に対しても、前に進むことは馬鹿らしくないし、誰とも同じじゃない物語を作っていってほしいなという思いを込めました。

ーー歌入れはどんな気持ちで臨みましたか。

門脇:最初のイントロからめっちゃ飛びそうでカッコ良いアレンジになってるので、疾走感は大事にしながら歌いました。今までレコーディングしてきた中ではかなりアップテンポの曲なので、めちゃくちゃ難しかったですけど、歌入れ前にかなりとレーニンングしたので、いつもより自信満々に歌えたし、すごい楽しかったですね。インディーズ時代からずっと応援してきれた方には声質の違いも聴いて欲しいです。

ーー力強いし、弾けてますよね。MVはご自身ではなく、俳優の宮世琉弥(みやせ・りゅうび)さんが出演してます。

門脇:私が歌ってるけど、男の子が出演するっていうのが、すごくカッコいいなと思って。宮世くんとはお会いしたことないんですけど、「東京は」を聴いてくださってて。宮世くんも宮城から通っていたっていうのもあって、同じような心境だったそうなので、聴いてもらってよかったなって思うし、まだ17歳と若いのに大人っぽくてびっくりしました。あと、最後の靴だけになるっていう表現にグッときました。ぜひ、みんなに見てほしいし、飛びたったんだって感じて欲しい。鳥になった宮世くん、カッコよかったです。羽ばたいてくれました。

ーーご自身としては?

門脇:私も鳥になったなって思います(笑)。この曲には、今まで描いてきたいろんな曲の気持ちが乗ってるように感じていて。今まで経験したことも全部載せて、背負って、これから羽ばたいていけたらなっていう気持ちでいますね。

ーーここから飛び立って、どこに向かいますか。

門脇:今の目標は武道館まで。2〜3年後、25歳までには武道館のステージに立ちたいっていう目標はあります。夢や目的地はどんどん変わっていくと思うけど、私がYUIさんに憧れてシンガーソングライターを目指したように、誰かに憧れてもらえるようなシンガーソングライターになりたいし、みんなの背中を押せるような歌を歌いたいし、ずっといい曲を作り続けていきたいなって思いますね。

門脇更紗 – 「トリハダ」Music Video

■リリース情報
「トリハダ」
3月3日(水)配信スタート
配信はこちら

オフィシャルサイト