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OWV、絶妙なバランス保つ歌唱力 「Roar」4人の役割から考察

音楽

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リアルサウンド

 「OWVの良さが詰まっている」。思わず、そうつぶやいてしまうのは、OWVの3rdシングル表題曲「Roar」だ。公式YouTubeチャンネルにはMV、Dance Performance Video、Relay Dance動画がすでに公開されており、クリエイティブコンセプトである「野公子」(“野生感”と“貴公子”を織り交ぜた造語)が存分に味わえる内容になっている。同曲は力強い振り、4人ならではの息の合ったフォーメーション展開など、ダンス推しの楽曲のように見える。だが、じっくり聴くと歌も魅力的で、世界観の表現に大きく寄与しているように感じる。前回の記事ではOWVのパフォーマンス力に注目したため、本稿ではOWVの歌唱力について注目してみたい。

OWV – 「Roar」Music Video

 OWVの4人は、それぞれ個性がある歌唱力を持っている。メインボーカルの浦野秀太は流石の歌唱力で、高音も美しく伸びがいい。メインラッパーの中川勝就は、一発で「中川のパート」とわかるような低音ラップが魅力的。本田康祐はやや低めかつ甘めな声質が活きており、佐野文哉は地の声が活きるやや高めの音域でいい味を出している。少し聴いただけでもそれぞれの特徴がわかるにも関わらず、バラバラにならずしっかりまとまっている。常々、全員が歌うグループはまとまりを出すのが難しいと感じている。誰か1人が飛び抜けて上手すぎても、誰かが引けをとってしまっても、その部分だけが目立ってしまうからだ。だが、その点においてOWVは絶妙なバランスを保っていると言えそうだ。全員で手を取り合いながら、着実に成長してきた結果であろう。

 「Roar」の歌において、メンバーたちはどんな役割を担っているのだろうか。まず、Aメロ出だしの中川。得意の低音ラップからスタートし、一気に楽曲の世界観を作り上げている。その後も、要所でOWVの楽曲の核になるようなラップを披露。かと思えば、Bメロでは歌も担当。低音ラップからは想像できない高音を出しており、歌も歌えるマルチな才能を見せている。中川のスキルの幅広さを、再認識したリスナーもいるのではないだろうか。

 出だしの低音ラップの後、対比となるようなウィスパーな歌声を披露しているのは浦野。Bメロではきっちり歌い上げ、磨いてきた歌唱力を見せつけている。特に言及したいのが、サビ前やブリッジ部分のロングトーン。高めのロングトーンかつ、こういったアグレッシブな楽曲の場合、雄叫びのように歌うケースが少なくない。特に「Roar」というタイトルを考えると、もっと張り上げるように声を出すスタイルになりそうだ。だが、浦野の場合はどことなく上品さすらあり、「野公子」の「貴公子」の部分が表れている。声量はあるが、楽曲から飛び出しすぎていないため、全体のまとまりにもつながっているのだ。

 そして、佐野はAメロ部分でメロディアスなラップを披露。地声よりもやや高めで音程を取っており、いいアクセントになっている。特に2番のAメロ。音程を飛ばしている部分は、彼の声質に非常に合っているのではないだろうか。この先、こうした楽曲のポイントに彼らしい声を乗せることが佐野の武器になっていきそうな予感がする。

 その対となるパートの多くを担っているのは、本田だ。彼もまた、元々の声質がいい。高音でも低音でも、甘めな声質が消えることなく活かされているのは、彼ならではの強みだろう。同曲でもその声を活かして、〈I’m a lion I’mma roar〉の部分など、楽曲のポイントを作っており、スパイスを加えている。

 こうして「Roar」を聴いていくと、デビューして1年経っていないにもかかわらず格段に進化をしていることが分かる。MVやダンス、表情だけでなく、歌の表現にまでコンセプトが乗っており、拙さは一切見えていない。一瞬たりとも肩の力が抜ける瞬間がないほどに気合いがみなぎっており、まさに咆哮し続けているイメージだ。

 4人それぞれ得意分野があったはずだが、今ではその差もどんどん埋まってきている。ダンスも歌も、「4人全員がメインを張れるのでは?」と思うほどだ。この状態になるまで、きっと相当な努力をしてきたはずだ。4月11日には初のワンマンライブ『OWV 1st Anniversary Talk & Live “AWAKE”』の開催も決定したOWV。結成2年目はさらなる飛躍の年となるのではないだろうか。今よりも多くの人がOWVというボーイズグループを知る日はすぐそこまで来ているのかもしれない。