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濱田めぐみ&海宝直人「アリージャンス」開幕、初ミュージカルの渡辺徹「喜びに体が膨らむ」

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ブロードウェイミュージカル「アリージャンス~忠誠~」より。

ブロードウェイミュージカル「アリージャンス~忠誠~」が本日3月12日に東京・東京国際フォーラム ホールCで開幕。それに先がけ昨日11日に同劇場で囲み・ゲネプロ取材が行われた。

ブロードウェイミュージカル「アリージャンス~忠誠~」はマーク・アサイト、ジェイ・クオ、ロレンゾ・シオンの脚本、クオの作詞・作曲で2012年にアメリカで初演され、2015年にブロードウェイ入りを果たした作品。戦時中の日系人家族の実話をもとにしており、物語のモデルとなったジョージ・タケイが、ブロードウェイ版のオリジナルキャストとして出演したことでも話題を呼んだ。

日本初演となる今回は、高橋知伽江が上演台本・訳詞、スタフォード・アリマが演出、豊田めぐみが共同演出を手がけ、物語の核となる姉弟役で濱田めぐみと海宝直人が出演。そのほかのキャストに中河内雅貴、小南満佑子、上條恒彦、今井朋彦、渡辺徹らが名を連ねる。

舞台は第二次世界大戦下のアメリカ。真珠湾攻撃後に、日系のルーツであることを理由に強制収容所に入れられたキムラ家を中心に物語は展開する。

収容所では、不当な扱いを受ける日系人たちが、ダンスパーティを開いたり、野球を楽しんだりと、支え合い、励まし合いながら前向きに過ごしていた。しかし、アメリカへの忠誠を問う忠誠登録質問票に父・タツオは“NO”を貫き、より厳しい監視下へ。姉・ケイは徴兵に反対するフランキーと恋に落ち、彼と日系人の人権を求める活動に参加する。優秀だが父親に認めてもらえない弟・サミーは、“忠誠”を示すことで日本人の自由を得ようと、家族の反対を押し切って戦地へと向かい……。

突然の理不尽な境遇に“我慢”の精神で乗り越えようとするさまは日本人の気質をよく表しており、胸が痛い。また、アメリカへの“忠誠”を問われることで、登場人物たちの信念が見えてくると、物語は加速。それぞれの思いがぶつかるさまが、エネルギッシュな音楽と熱量のある芝居で紡がれた。

ケイ役の濱田とサミー役の海宝はそれぞれ確かな歌唱力と、柔らかくも情熱的な演技で抜群の掛け合いを見せる。また、本作で初ミュージカルに挑む渡辺は、伸びやかで堂々とした歌声を披露し、頑なな家長タツオを熱演。一方、そんな家族を温かく見守り、重要な場面で背中を押すカイトおじいちゃん役の上條は、ベテランたる存在感で、自然な演技を光らせた。中河内はひょうひょうとした雰囲気とキレキレのダンスでケイと収容所で出会うフランキー・スズキ役を好演。サミーと恋に落ちるハナ・キャンベル役の小南はかわいらしさと強さで魅せ、日系人とアメリカ政府との板挟みで苦悩するマイク・マサオカ役の今井も、物語に深みを与えた。

楽曲の中には尺八の音色や日本風な音階に聴こえるものもあり、エキゾチックな印象も。登場人物たちの心情を表すかのようなダンスシーンも見どころだ。

本作は、収容所に入れられた日系人の話でもあり、父と子の確執や家族愛を描く物語でもある。コロナ禍の今こそ、戦下を生きたキムラ家の姿や戦場から帰還したサミーのその後は、大事な人を“思う”だけではなく行動に移す大切さ、命や時間の有限さを、観客に訴えかけるだろう。

ゲネプロ前に行われた囲み取材には、濱田、海宝、渡辺が登壇。意気込みを問われると渡辺はトップアイドルだった経歴に触れ、「ひさびさに大きなステージで歌わせてもらって、喜びに体が膨らんでいます」と笑いを誘う場面も。

実話をもとにした作品であることについて、濱田は、体験談が公になる機会があまりなかったと前置きをして、「(内容に)すごくショックを受けました。こういうことが歴史の一部であったんだなって。いろいろ資料を読んで勉強させていただき、深い思いを持ちながらお芝居に臨んでいます」と背筋を伸ばす。

また、海宝はマスクをしながらの稽古を振り返り、「高地トレーニングのようでした(笑)。でも、僕自身、これまで中止になった作品や公演回数が減った作品もあるので、こうやってまもなく初日を迎えられるのは奇跡なんだとあらためて感じます」と喜びを語った。

作品の見どころについて、濱田は「作品の持つテーマが、今を生きる我々とリンクするところがあって、『あなたは何者ですか?』と問われている気がするんです。コロナや世界情勢で揺らぐ中、私はこの作品を通して初めて、自分の生きている環境を見直しました。皆様がご覧になったときに何を見返すきっかけになるのか興味があるし、そういうメッセージが届けられるといいなと思います」と回答。海宝は「日本版ということで新たに演出をし直して、日本人にも違和感のない形を目標にやってきました。シンプルなセットの中でいかに役者がエネルギーを出せるかということが勝負。キャストの“役者力”を感じてもらえたらうれしいです」と語った。

また、渡辺は「家族の絆というものが、コロナやいろいろな問題で分断されていると言われています。この作品の家族は大変な状況の中で過ごしている。家族の絆がどうあるべきかというテーマも含んでいますので、ぜひご覧いただきたいですね」と言葉に力を込めた。

公演は3月28日まで。4月17・18日には愛知・愛知県芸術劇場 大ホール、4月23日から25日までは大阪・梅田芸術劇場 メインホールでも上演される。

ブロードウェイミュージカル「アリージャンス~忠誠~」

2021年3月12日(金)~28日(日)
東京都 東京国際フォーラム ホールC

2021年4月17日(土)・18日(日)
愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール

2021年4月23日(金)~25日(日)
大阪府 梅田芸術劇場 メインホール

脚本:マーク・アサイト、ジェイ・クオ、ロレンゾ・シオン
作詞・作曲:ジェイ・クオ
演出:スタフォード・アリマ
共同演出:豊田めぐみ
上演台本・訳詞:高橋知伽江
翻訳:渋谷真紀子
音楽監督:江草啓太
振付:前田清実、藤山すみれ
出演:濱田めぐみ、海宝直人 / 中河内雅貴、小南満佑子 / 上條恒彦、今井朋彦 / 渡辺徹 / 照井裕隆、西野誠、松原剛志、俵和也、村井成仁、大音智海、常川藍里 / 河合篤子、彩橋みゆ、小島亜莉沙、石井亜早実、高橋莉瑚

※高橋莉瑚の「高」ははしご高が正式表記。