BIGMAMAが13組のキーパーソンの愛に“TOUCH”したスペシャルな一夜、レア曲も連発
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BIGMAMA(撮影:後藤壮太郎)
BIGMAMAが昨日3月11日に東京・TSUTAYA O-EASTにて行われた、ライブナタリー企画のライブイベント「TOUCH "BIGMAMA"」に出演した。
「TOUCH "BIGMAMA"」は、“パーソナリティ”に芦沢ムネト(パップコーン)を迎え、ラジオ番組風のトークを挟みながら進行するスペシャルなライブ。セットリストはBIGMAMAを語るうえで欠かせない13組のキーパーソンからのリクエストを中心に構成され、一夜限りのステージが繰り広げられた。
開演時間になると芦沢ムネトがサブステージのラジオブースに登場。「ライブをどんどん“オンエア”していきたいと思います」と意気込み、「最初にお届けするのはこちらの曲です!」とメインステージのBIGMAMAの演奏へとつなげる。BIGMAMAの4人とサポートドラマーの“ビスたん”ことBucket Banquet Bisがステージにそろうと、5人は1stアルバム「Love and Leave」の収録曲「Neverland」でライブをスタートさせた。金井政人(Vo, G)が歌う開放感あふれるメロディと東出真緒(Violin, Key, Cho)が奏でるバイオリンの旋律が美しく絡み合うオープニングナンバーを経て、柿沼広也(G, Vo)が鳴らす泣きメロのギターから2ndアルバム「Dowsing For The Future」の収録曲「Paper-craft」へ。安井英人(B)とビスたんが紡ぐパワフルなリズムに観客のクラップも加わり、躍動感あふれる演奏が繰り広げられた。
続いて披露されたのは東出が高らかに弾くバイオリンのイントロから始まる、2015年発売の6thアルバム「The Vanshing Bride」収録の「神様も言う通りに」。シンガロングパートでは、金井が「今日はどうか心の中で」とフロアに呼びかけ、観客は「たった3秒あれば僕達は未来を変えて行ける」という歌詞にちなんで3本の指をステージに向けて力強く掲げた。芦沢は「最高じゃないか、おい!」と冒頭3曲の演奏に感動した様子で話し始め、「Neverland」はかねてより親交のあるTHE ORAL CIGARETTES、「Paper-craft」は東出がBIGMAMA加入前から親交のあった福岡晃子と、東出を同じ関西出身のアーティストとして慕う井上竜馬(SHE'S)、「神様も言う通りに」は金井、柿沼、安井の高校の同級生であるドラマー・KOZOが所属するWiennersからのリクエストだったことを明かす。リクエスト曲は事前に知っていながら、このライブで初めてメッセージの内容を知ったBIGMAMAは盟友や後輩からの愛をしみじみ噛み締めていた。
さらに芦沢はこのあと披露される楽曲も、リクエストを寄せたキーパーソンのメッセージとともに紹介。福岡と同じく東出と旧知の仲である橋本絵莉子は1stシングル「BOY'S DON'T CRY」収録の「Do you remember?」、BIGMAMAの大学の先輩バンド・TOTALFATは1stミニアルバム「short films」から「look at me」、BIGMAMAのファンで掌編小説「DOPELAND」でコラボした小説家・住野よるは6thアルバム 「The Vanshing Bride」から「Lovers in a Suitcase」を、熱いメッセージを添えてリクエストした。春風のように軽やかなビートが印象的な「Do you remember?」では、踊るようなベースラインとスイートなメロディが絡み合う。ビスたんによるパンキッシュなツービートが轟く「look at me」が終わると、荘厳な雰囲気を持つ「Lovers in a Suitcase」で会場の空気は一変。貫禄のある演奏とエモーショナルな歌で観客を圧倒してみせた。
そのムードを引き継いで披露された「ファビュラ・フィビュラ」は、事前に行ったインタビューで柿沼がBIGMAMAを語るうえで欠かせないバンドとして名前を挙げていたMAN WITH A MISSIONからのリクエスト。重厚感のあるサウンドを力強く鳴らした5人は、続いて金井のことを自分の分身だと語る盟友・斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN、XIIX)からのリクエスト「かくれんぼ」を爽快感たっぷりに演奏した。続く「SPECIALS」は、2017年にアルバム「Synchronicity」を共作したHYからのリクエストナンバー。客席からはシンガロングの代わりに力強いクラップが響いた。
金井のよき理解者である音楽ジャーナリスト・鹿野淳(MUSICA)からは、金井、そしてBIGMAMAへのラブレターのようなロングメッセージが到着。鹿野からの愛がたっぷり詰まった言葉の数々を金井はマイクスタンドに手をかけ照れくさそうに聞いていた。東出と親交の深い高橋久美子はチャットモンチー済の橋本、福岡と同様に東出との出会いからこれまでを語り、BIGMAMAへのエールを送る。金井のフックアップにより2015年にCDデビューを果たし、今年4月にメジャーデビューを果たすSPiCYSOLは、恩人である金井への感謝の言葉を述べた。
3者からのリクエストを受けて始まった終盤戦ではまず、鹿野が金井とともに「東京マラソン」出場のために皇居ランをしている最中に初めて聴かせてもらったという「auctioMania」が披露された。金井はマイクを手に持ってステージ中を楽しげに移動しながら歌い、最後は音源にあるオークションハンマーの音をビスたんのかぶっているバケツを叩いて再現した。高橋のリクエストである「A KITE」では、金井、柿沼、東出の3人がまるで糸を織って布を作るように声を重ね、美しい歌声のハーモニーを紡ぐ。SPiCYSOLのリクエスト「Sweet Dreams」は、金井がキーボードを弾きながら熱唱。最後の「ラララ」のシンガロングのパートでは、金井、柿沼、東出、安井の4人が力強く歌声を響かせ、観客は歌えない代わりに手を左右に振った。
13組からのリクエストソングを歌い終えた金井は「長く続けていると宝物みたいな関係がたくさんあるなと思いました。演奏するときにいろんなことを思い出しましたし、アーティストの皆さんにありがとうと伝えたいけれど、たくさんの思いがありすぎて止まらない」としみじみ。東出も「私はチャットの方たちからコメントをいただいたんですけど、彼女たちがバンドを始めたときを私は知っているし、3人は私がBIGMAMAに入ったときも知ってる。お互い、がむしゃらにやっていた日々を思い出しました。あれから15年が経って今別々の道を歩んでいて、こんなライブができることをうれしいなと噛み締めています。それぞれの人生を歩んでるなと思うとアツいですね」と思いを述べた。
安井は「とりあえず全部『Swan Song』じゃなくてよかった」と、演奏が大変なスラップ奏法のベースがキモの楽曲がリクエストになかったことを安堵。そして「KOZOは人生で初めてスタジオに入った人。彼もまだ音楽を続けていて、20年近くの仲になる中でこういったことができて素晴らしいなと思いました」と古くからの友人からのリクエストを受けてライブができる喜びを語る。柿沼も「俺も高校のとき初めてスタジオに入ったのはKOZOだな。“初めて”を奪っていくんだなあ……」とKOZOとの思い出を披露した。メンバーたちの発言を受けて金井は「これから先も人との関わりやアーティストとの関わりを大切にし続けるバンドでありたいと思いました」とコメント。そして5月に新作「What a Beautiful Life」をリリースすることを発表した。
その後、金井が「見えるかな? 心がきれいな人にしかタイトルが見えないんですけど……」とおもむろに着ていたTシャツをアピールすると、会場が暗転。一見白で塗りつぶされているだけに見えたTシャツには「The Naked King」の文字が浮かび上がった。ユニークな楽曲紹介からBIGMAMAは「What a Beautiful Life」に収録される「The Naked King ~美しき我が人生を~」を披露。最後は昨年発表された「PRAYLIST」でエネルギッシュに締めくくられた。BIGMAMAがステージを去ったあと芦沢は「温かい手紙のようなすごいライブでしたね。いろんな人の気持ちが重なり合って、こういうときだからこそできるライブがある。その1個の形だと思いました」と感想を語り、ラジオブースをあとにした。
「TOUCH "BIGMAMA"」の映像は、本日3月12日(金)18:00から3月17日(火)23:59までuP!!!とStreaming+で配信される。視聴チケットは3月17日(水)20:00まで販売中。詳細はイベント特設ページにて確認を。
「TOUCH "BIGMAMA"」2021年3月11日 TSUTAYA O-EAST セットリスト
01. Neverland
02. Paper-craft
03. 神様も言う通りに
04. Do you remember?
05. look at me
06. Lovers in a Suitcase
07. ファビュラ・フィビュラ
08. かくれんぼ
09. SPECIALS
10. auctioMania
11. A KITE
12. Sweet Dreams
13. The Naked King ~美しき我が人生を~
14. PRAYLIST