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EXILE / FANTASTICS 世界が語る、“BOT沼”の深さ 「10年以上かかる予感がしています」 

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リアルサウンド

 LDH JAPANが、「HiGH&LOW」シリーズに続く新たな総合エンタテインメント・プロジェクトとして2019年に始動させた「BATTLE OF TOKYO」。その世界を物語化した『小説 BATTLE OF TOKYO』(月島総記/角川文庫/2月25日発売)が、各所で話題を呼んでいる。

 「BATTLE OF TOKYO」は、遥か未来の巨大都市「超東京」を舞台に、GENERATIONS、THE RAMPAGE、FANTASTICS、BALLISTIK BOYZによる「Jr.EXILE」総勢38名が集結し、コラボバトルを繰り広げるというもの。2019年には前代未聞の4チーム総当たりバトルのミュージックビデオやコンピレーションアルバムのリリース、幕張メッセにて4日連続のライブを行うなど、ダイナミックな展開を見せてきた。

 リアルサウンド ブックでは、『小説 BATTLE OF TOKYO』に登場するメンバーにインタビュー。THE RAMPAGEの川村壱馬に続き、今回はAstro9のTAKU(テクウ)として登場するEXILE / FANTASTICSの世界に、同作の楽しみ方を訊いた。漫画やアニメに詳しい世界ならではのディープな話に注目だ。(編集部)

皆にはどんどん「BOT沼」にハマってほしい

ーーまずは小説版『BATTLE OF TOKYO(以下・BOT)』の感想を聞かせてください。

世界:とにかく面白いですよね。僕たちのことを知らなくても楽しめると思うし、知っていたら、さらに楽しめると思います。単語ひとつとっても、興味をひかれる、世界観を感じられる言葉が散りばめられているじゃないですか。それに、今回の小説には「マキナ」という重要なキャラクターも出てきています。

ーー「BOT」というプロジェクトは、Jr.EXILEの38人原案のキャラクターが登場します。本作のマキナは、原案が存在しないキャラクターですね。

世界:「BOT」にとって、そこはすごく大きな変革だと思いました。小説は文字の中で、物語や世界観が広がっている。読み手の想像力で補わなければいけない、そこにマキナがいることで、物語の世界に入りやすくなったと思います。

ーー本作は、SFや異能バトルものとして読めるのはもちろんですが、皆さんが別のキャラクターとして異世界に転生する作品のようにも読めますし、女性の主人公がイケメンに囲まれる、いわゆる「逆ハーレム」のようにも読めたりと、近年の2次元コンテンツの流行を抑えた作品だと感じました。

世界:どのジャンルが好きな人にも、どの性癖にも刺さるんじゃないでしょうか。僕みたいな人間にも、男性にも女性にも、年齢関係なく楽しめるのでは。キッズにとっては単語が難しいかもしれないけど、そういうところをなんとなく読んでも楽しいと思います。皆にはどんどん「BOT沼」にハマってほしいですね。今僕らがその沼を掘っているので(笑)。

ーーこれまでの楽曲やライブ、MVなどは、あえてだと思うのですが、断片的な設定やキーワードが出てくるのみでした。それがこの小説によって一気に受け手の側も「BOT」への解像度が高まったというか。

世界:そうですね。幕張メッセで行われた『BATTLE OF TOKYO ~ENTER THE Jr.EXILE~』のときの「BOT」はまだ卵の状態で、決まってないことも沢山ありました。あの一瞬だけだと「BOT」のすべてを理解するのは難しいですよね。ぶっちゃけメンバーの中でも、理解できていない人がいましたからね。「世界さん、あれはどういうことですか?」って(笑)。ずっとベールに隠されていたものが、この小説でパッと花開く感じですよね。今度、新しいMVも公開されるんですけど、ようやく「BOT」の一歩が踏み出せた気がしています。とはいえ、全貌が明かされるまでに一体何年かかるんだろう(笑)。「HiGH&LOW」シリーズもまだ10年経っていませんが、「BOT」は10年以上かかる予感がしています。

ーーまだまだ隠されている設定や情報も多いと感じます。いわゆる「考察」というか、SNSで様々な読み方をするファンも増えそうですね。

世界:考察はしてほしいですね。いかんせんメインキャラがすでに38人、マキナを入れたら39人いるわけで。キャラクターについてSNSで語ったり、今後を予想したり、考察してみてほしいですね。そういうコミュニケーションが楽しいと思うので。

ーー世界さんもアニメやマンガ好きなことで知られていますが、ご自身でもいわゆるネット上の「考察サイト」をご覧になったりするのでしょうか?

世界:僕も結構観ています。とくに「新世紀エヴァンゲリオン」の考察サイトやブログはよく読んでいました。キッズの頃は「2ちゃんねる」の考察スレを読んだり、スレを立てたりしていました。

ーーまさか「スレ立て」までしているとは。

世界:「BOT」のスレが立つといいですね。そこでも皆で「BOT」についていっぱい語ってもらって、「BOTまとめ速報」みたいなのができると嬉しいかも(笑)。

ーーそういうまとめサイトは、よっぽどの人気ジャンルじゃないと生まれませんからね(笑)。

世界:近年は、そういう「考察」を含め、「皆で楽しむ」コンテンツが増えたような気がします。皆で話す共通の話題のひとつというか、その作品を語ることを通して、普段とは違うタイプの人、世代の人と話すきっかけにもなる。「BOT」でもそんなコミュニケーションが増えたらいいと思っています。

色々とまだ隠された秘密があります

ーーでは、「BOT」に登場するテクウについて聞かせてください。テクウはAstro9のメンバーであり、「コンバージョン」というスキルを使い、炎を操ることのできるキャラクターです。

世界:自分がもともと炎系のキャラクターが好きというのもあるんですけど、炎って明るさだったり温度だったり色だったりで雰囲気が変わるし、色々なことが表現できると思うんです。他の能力、例えば「気」を操るとかも考えたんですけど、それで「テクウ」だと、あまりにも「オラ」というか……。

ーー「オッス、オラテクウ!」的な……。

世界:そうです。小説を読む上でも声が野沢雅子さんがなるじゃないですか(笑)。だから気系はやめようと。

ーーちなみに、一番好きな炎を操る既存のキャラクターは?

世界:キッズの頃からゴジラが好きなんです。熱戦を吐いて、物が溶ける描写が好きだったんです。怖いけど、とても魅力的で。『鬼滅の刃』の煉獄さんや、『幽遊白書』の飛影も好きですし、『炎炎ノ消防隊』も好きですけど、やっぱりゴジラに一番インスパイアされています。

ーーなるほど、テクウ自体のキャラクターは、飄々としていているけれど、ご自身の性格に近い部分はあるのでしょうか?

世界:テクウさんは軽口を叩くようなタイプですよね。僕はあまり彼にに自己投影していないんですよ。

ーー「さん」づけするくらいは遠いと。

世界:僕とは心の距離は意外と遠いですね。今後ふとしたきっかけで急激に仲良くなるかもしれない。そんな気がしています。あんまり自己投影しすぎると、僕のエゴがすごくなってしまいそうで。あんまり「僕」すぎると、観てる人、読んでる人に「世界じゃん」って言われちゃうと、想像力を限定してしまって面白くない。彼らには彼らの世界があるし、そこを生きて欲しいと思っているので。

ーーなるほど。先程、一昨年幕張メッセで開催された『BATTLE OF TOKYO ~ENTER THE Jr.EXILE~』の段階では「BOT」には決まってないことも沢山あったとおっしゃっていましたが、テクウも当時と比べて変化はあったのでしょうか?

世界:そうですね。色々とまだ隠された秘密があります。たとえば小説だとカタカナ表記ですけど、漢字の名前もあるんです。キャラクターのフルネームはまだ誰のものも公開されてないですし。多分苗字があると思うし、ない人もいるかもしれないけど。名前だけでなく、本心もまだ隠していると思いますし。過去は明かされてないわけですから。もしかしたら別のグループのメンバーとつながりや因縁があるとか。テクウさんにはファンの皆さんの心をかき乱してほしいキャラクターなんですよね。

ーーかき乱したいとは。

世界:「#テクウしんどいみたいな」みたいなハッシュタグが生まれるくらいの(笑)。あくまでフィクションですから、皆にいなくなってほしいと思われるくらいのキャラクターにしたいですね。

ーーメンバー同士でキャラクター作りや設定については相談したり話し合ったりすることはあるのでしょうか。

世界:それはあります。まず名前をつける段階で「皆どういう名前にした?」と、それぞれが恥ずかしそうに発表することがあって、あれは面白かったですね。

 慧人のケインは名前からとったのかな、大樹は前々から「名前はイタルにする」って決めてたみたいで。僕は3文字が良かったんです。「週刊少年ジャンプ」が好きなので、ジャンプのマンガの主人公のような名前にしたくて。ちょっと「悟空」っぽすぎたかな? と反省しているところはあります(笑)。でも、単にオマージュだけではないというか、名前の意味もきちんと考えて作ってますよ。

ーーまた、株式会社クラフタースタジオの手によって、4つのチームそれぞれの3DCGアニメーションMVも制作されました。とくに世界さんはモーションキャプチャの研究開発にも深く関わっているそうで。

世界:ありがたいことにお話をいただいて、スタジオの方にも何度か伺わせていただいて、「現実のダンスに遜色なく、かつアニメの良さを引き出せたらいいですよね」という話をしました。

 やっぱりLDHはダンスを武器にしているので、ダンスのアニメーションに関しても誰もやったことないことをやりたい。ダンスの質感や重力を感じさせるものを作りたかったので、かなり試行錯誤して、僕も制作されたアニメを観ながらこの動きをする場合、ここの関節の部分がこうなっています」と、実際に動いて説明したりして。すごくディテールの細かい部分をクラフターさんと話し合うことができたので、公開がすごく楽しみです。

 それに、完成前のテスト動画をEXILEのメンバーに観てもらう機会もあったんです。皆「おお~すげえ!」と驚いてくれて、すごく嬉しかったですね。これは僕の個人的な願望なんですけど、今「BOT」はJr.EXILEだけですけど、今後はもっとLDHの人たちに関わってほしいんですよね。

ーーこれまでのLDHのライブでもARなどの技術は使用されていましたし、ダンスを軸としたエンターテイメントと最新テクノロジーというのは、LDHがずっと続けてきたアプローチでもあります。そういった意味でも「BOT」はエンターテイメントの新しい実験場になるのではないでしょうか。

世界:そうですね。試したいテクノロジーがある方は、ぜひご連絡いただければ(笑)。それこそ、Astro9がいる「アストロパーク」は、エンターテイメントパークなので、色々なことができそうです。日本の企業だけでなく、世界の企業ともやりたいですね。

ーー最新テクノロジーを活用する一方で、小説というある種の古典的なフォーマットで作品を発表するのも、新鮮ですね。

世界:最初に「小説を出します」と聞いた時に「新しいな」と思いました。小説が原作というわけでもありませんし。今のコンテンツって、小説からマンガになってアニメ化されるプロセスがひとつのセオリーになっているけれど、僕らは最初に音楽があるんですよね。音楽が根底にあって、そこからライブ、小説、アニメと派生していった。逆にこの小説から音楽が生まれることもあるかもしれないし、ライブに紐付いた物語が生まれるかもしれない。そうやって樹みたいに「BOT」の世界が広がっていくんですよね。

■書籍情報
『小説 BATTLE OF TOKYO vol.1』
著者:月島総記
発行元:角川文庫
価格:640 円(税別)
発売日:2021年2月25日(*地域・店舗により若干異なります)