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NiziU MAYUKAはMAKOにとって“分身”のような存在 殻を破り、夢を現実に変えた二人

音楽

ニュース

リアルサウンド

 NiziUが「第35回日本ゴールドディスク大賞」で3冠を獲得。「ベスト5ニュー・アーティスト」、「ベスト5ソング・バイ・ダウンロード」、「ベスト5ソング・バイ・ストリーミング」の3部門を受賞したことが3月15日に発表された。

 この賞では日本レコード協会が1年間のレコード産業の発展に貢献したアーティストおよび作品を顕彰。リーダーのMAKOは「私たちNiziUの活動の成果をこのように表彰していただけるなんて、まるで夢のようです!」と喜びを語り、「本当にありがとうございます!!今年はもっと自分たちに磨きをかけて、さらに進化したNiziUをお見せしたいと思います。WithUのみなさん、楽しみにしていてくださいね!!」とファンに感謝と決意を語っている(※1)。

 ビジュアルと実力を兼ね備えているのにどこか親しみやすく、ファンも共に成長していきたくなる次世代ガールズグループ、NiziU。そんな印象をグループに与えたのは、日韓合同オーディションプロジェクト『Nizi Project』から昨年12月2日の正式デビュー、そして現在までメンバーを牽引してきたMAKOの力に依るところが大きい。

 JYPエンターテインメントの公開オーディションで見事3位に選ばれ、わずか15歳で単身韓国へ渡ったMAKO。練習生の間でも“努力家”と話題だった彼女は、約2年7カ月の間に研鑽を重ねた実力を『Nizi Project』で証明し、トップに立ち続けた。J.Y. ParkはMAKOを最初からアマチュアとして見ておらず、圧倒的エース、絶対的リーダーとして彼女を置くことで全体的な底上げを図っていたようにも思える。NiziUのメンバーに選ばれた女の子たちは、みんな常に前を走るMAKOの背中を追いかけてきた。

 そんなNiziUのシンボルでもあるMAKOが「私の分身」と語るメンバーがMAYUKAである(※2)。今やラップを中心にNiziUに欠かせない存在であるMAYUKA。しかし、地域予選で自信なさげにパフォーマンスを披露した彼女が自身の殻を破るまでには相当な時間を要した。メンバーの中で唯一補欠合格で東京合宿に進んだMAYUKAはそこでも苦戦を強いられ、ダンス・ボーカルテストでも順位は下から数えた方が早かったほどだ。

 その後、SHOWCASEで頭角を現し、一気にダンス・ボーカル・スター性のキューブを手にすることになったが、むしろ彼女の特筆すべきところは1つもキューブがもらえていなかったのに最後まで夢を諦めることなく、SHOWCASEで心から楽しそうにパフォーマンスを披露した精神力だろう。謙虚で控えめなところがあるMAYUKAはパッと目立つタイプではないが、カメラが回っていないところ、誰も見ていないところでも努力を続けることができる。そして突然成長した姿を見せて、私たちを驚かせることが多い。

 中でも強く記憶に残っているのが、韓国合宿のミッション3だ。MAYUKAは、MAKO率いる5人組のチームで難易度の高い2PMの「Heartbeat」に挑戦。ステージの真ん中で膝をついてイントロに流れる心臓の音に合わせ、MAYUKAがラップを披露した場面は、もしもファンが選ぶ『Nizi Project』の名シーンベスト10があったら上位にランクインするだろう。『NiziU 9 Nizi Stories』第6話の中でメンバーが選ぶ“MAYUKAの印象的だったパフォーマンス”も、満場一致で「Heartbeat」だった。MAYUKAが自分の殻を破り、才能を開花させた瞬間。実はその裏に、彼女を自分の分身と呼んだMAKOの功績があった。

 MAKOチームで練習していた時、指導に当たったJ.Y. Parkから「足りないところは特にないのに、特別上手に見えないのが問題」と指摘されていたMAYUKA。それはひとえに自信のなさが影響しており、自ら目立とうとすることができないからだった。

 そんな壁を乗り越え、殻を破ることができた理由について、MAYUKAはインタビューで「ミッション3で「殻を破れ」と言われて、でもどうしたらいいのかわからなくなっていた時に、マコちゃんが「昔の私もそうだったけど、もっとマユカ自身を見せてもいいと思う」とアドバイスをしてくれた」と語っている(※3)。他人からは完璧に見えるMAKOにも、自分と同じように悩み苦しんだ時があったと知ったMAYUKAはきっと安心しただろう。だからこそ本番は目立つことを恐れず、J.Y. Parkの前で自分が得意とするラップを披露することができたのだと思う。

 そして、MAKOは自分と同じ道を辿り、殻を破ったMAYUKAをチームメンバーとして側でみていたから彼女のことを「私の分身」と表現したのではないだろうか。まるで師弟コンビのような二人だが、今はNiziUという同じグループに所属する対等な仲間。MAYUKAはまだ殻にこもっていた地域予選の頃、J.Y. Parkに「アイドルから夢をもらったので、自分も夢を与えられるような人になりたい」と語っていた。ただ夢を見るだけではなく、現実に変える力を持つMAKOの背中を見て最後まで努力し続け、夢の切符を掴んだMAYUKA。今度は彼女が世の中の人々に夢を与える番だ。

※1:https://www.golddisc.jp/award/35/best-new-artist07.html
※2:https://hochi.news/articles/20201211-OHT1T50027.html
※3:https://www.oricon.co.jp/special/54839/5/

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter:@bonoborico