『ボス恋』ロスのあなたへ キスマイ「Luv Bias」の世界とリンクした最終回を観て
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3月16日、惜しまれつつも最終回を迎えた『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(TBS系)。ラストには、奈未(上白石萌音)、麗子(菜々緒)、潤之介(玉森裕太)、宇賀神(ユースケ・サンタマリア)、女性ファッション誌『MIYAVI』編集部のメンバーらが皆、新しい夢に向かってそれぞれの場所で輝く姿が映し出された。登場する誰もが笑顔という、まさに大団円のハッピーエンド。その幸せは、視聴者にも連鎖した。
“お仕事&ラブコメディ”と銘打たれた本作であるから、うまくいきすぎるくらいがちょうど良い。混沌とした世の中にあってラブコメは、人々の癒しであり希望。『ボス恋』は、その両方を兼ね備えていた。だからこそ皆、これほどまで『ボス恋』に夢中になったのではないだろうか。
『ボス恋』は、最後まで私たちにとびっきり幸せな夢を見せてくれた。仕事も恋も、きっとうまくいく。今日悲しくても、明日悩んでも、いつかきっと笑える日が来る。そう信じられるポジティブな力が、本作には宿っていた。欲しいものは1つじゃなくていい、2つ3つと欲張っていいし、わがままになっていい。自分の人生は、自分の足で歩く。ときには、大切な人を頼りにしながら。
どうしたって、現実はドラマほどうまくはいかないだろう。それでも、夢に向かって頑張った経験は絶対に“無駄にはならない”。どんな未来が待っていようと、たとえ夢やぶれても、そのときは莉緒(倉科カナ)のように、晴れ晴れとした顔で笑いたい。「笑いたい」ではなく、笑えるように精一杯、今を生きていきたい。
『ボス恋』が残した大切なメッセージとエールは、この迷いの多い時代に、多くの視聴者の胸に響いた。Twitter上には、作品の感想はもちろんキャストや制作陣への感謝の言葉が飛び交い、「#ボス恋」は一時、世界トレンド1位をマーク。視聴率は、番組最高となる13.2%を記録した。
物語が何度も急展開した最終話。Kis-My-Ft2が歌う主題歌「Luv Bias」は、最後まで大きな役割を果たした。切なく美しいピアノ&ストリングスバージョンや、玉森裕太が“愛してる”と力強く歌いあげる「Luv Bias – another -」も使用され、視聴者の心情に寄り添い、ストーリーを盛り立てた。これらの演出もあってか、「Luv Bias」はレコチョクランキングでも首位をキープ。さらにシングルの売り上げも伸びているようで、『ボス恋』効果はいたるところに影響を与えている。
「彼氏のフリをしてください」とお願いした奈未と、それに応えた潤之介のデートシーンは、互いに好きだという「笑った顔」に溢れていた。そしてようやく描かれた、2人でミルフィーユを食べながら笑い合うシーン。奈未が美味しそうにミルフィーユを頬張る姿を見て、愛おしげに頷く潤之介の表情が印象的だった。〈君の好きなミルフィーユも 一緒に食べに行ける〉。この先2人は何度となく、この場所を訪れるのかもしれない。ふとそう思った。なんでもない日に、たいしたことじゃないけど。
奈未と潤之介は、そんな2人になれたのだ。
1月にスタートし、瞬く間にトレンドとなった『ボス恋』。ストーリーが中盤に差し掛かるころには、いつか来たる「『ボス恋』ロス」を早くも憂うファンが続出した。そうした“悲しみの準備”や“ロス対策”も虚しく、「『ボス恋』ロス」に陥ったファンの嘆きの声が日々、聞こえてくる。
幸せに満ち溢れた、あまりにキュートで美しい、奈未と潤之介のラストシーン。視聴者は、ここから始まる2人の日々を見たい。新天地での奈未と麗子のかけ合いを、『MIYAVI』編集部のドタバタな日常を、いつまでも見ていたい。
放送終了後には、9月3日に本作のBlu-ray&DVD BOXの発売決定というサプライズがあった。飛び上がるような朗報にも「あと半年か……」と、ロスが深まる。“see you again someday”ーーどうかこの言葉が、早々に実現することを願う。
■新 亜希子
アラサー&未経験でライターに転身した元医療従事者。音楽・映画メディアを中心に、インタビュー記事・コラムを執筆。Twitter(@akino_ippo)