「ファインディング・ネバーランド」上演に山崎育三郎らが意気込み、「原点に帰るような気持ちに」
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ミュージカル「ファインディング・ネバーランド」より、小山ゆうな(左)と出演者。
ミュージカル「ファインディング・ネバーランド」の制作発表が本日3月27日に東京都内で行われた。
アラン・ニーの戯曲と映画「ネバーランド」をもとに2015年にアメリカ・ニューヨークで初演された本作は、劇作家ジェームズ・バリが、とある家族との交流を経て「ピーターパン」の物語を生み出し、上演するまでの様子を描くもの。日本では2017年にツアー版の招聘公演が実施されたが、今回は、小山ゆうなの新演出で立ち上がる。制作発表には山崎育三郎をはじめ、濱田めぐみ、武田真治、夢咲ねね、杜けあき、小山らが登壇した。
制作発表では一部キャストが劇中歌3曲を披露。ゲイリー・バーロウ&エリオット・ケネディが手がけた楽曲の美しい旋律や作品の雰囲気が一足早く伝えられた。
ジェームズ・バリ役で新作ミュージカルに7年ぶりの出演を果たす山崎は、先日行われた本読みで思わず泣いてしまったというエピソードを語り、「大人になると涙を流すことは少なくなりますが、これは涙なしには観られない作品で、自分が大切にしているものや生きる意味というものに気付かせてくれます。僕は子供心を持った大人に憧れますが、バリはそんな“遊び心”を持つ人物。近づけるようになりたい」と話す。
4人の子供を育てる未亡人シルヴィア・デイヴィス役の濱田は、「子供たちと一緒に演じていると、我々大人の子供の部分と、子供たちが持つ大人の部分が会話をして、うそのない世界が繰り広げられているなと感じます。この作品を通して、勇気を持って素直に生きていくことの大切さを感じ取っていただけたら」と言葉に力を込め、役については「子供たちに未来を託して、託された子供たちが次の世代を作っていくという、作品のテーマにもつながるような役」と説明した。
バリの影の部分であるフック船長と劇場主チャールズ・フローマン役を演じる武田は、日本語版上演に「訳詞が美しく、素晴らしい」と太鼓判を押し、フック船長役について「バリのクリエーティビティが常識を超えるときに、彼を導く“ダークな側面”として現れるのですが、登場の仕方がカッコいい。そこが見どころの1つです」とコメントした。バリの妻メアリー・バリ役の夢咲は、「子供の頃から『ピーターパン』が好きで、けっこうな頻度で観ていました。グッとくる、素敵な作品に巡り合うことができたと思っています」と言い、バリと距離のある妻役について「(メアリーは)大人という立場を理解して過ごす中で、バリの子供心を理解しようとするのですが、うまくついていけない。子供心と大人の対比を表すような立場なのかな」と考えを明かす。
一方、「この物語を観たあとは、皆さまの心が洗われ、確実に若返っているはず」と言うのはデュ・モーリエ夫人役の杜。「さざ波のように愛がたくさん詰まっている作品で、どんな年齢になっても人は成長できるというメッセージが隠されています。個人的にはこんなに孫がたくさんいる役は初めて。大変さ、楽しさ、喜びを経験したいです」と微笑んだ。
また、小山は招聘公演を観た際にクリエーティブチームの試行錯誤が想像できたと振り返り、「リスペクトを持ちつつ、今の私たちにできる『ファインディング・ネバーランド』を模索していきたいです。登場人物のほとんどは、心に深い傷を負っている実在の人物で、生きていくために強烈なイマジネーションの力でファンタジーを生み出します。地に足がついた人間の部分と、バーっと“飛んでいく”ファンタジーの部分をしっかりと描き出せれば」と構想を語った。また、制作発表ではジョージ役の越永健太郎とポピエルマレック健太朗、ジャック役の生出真太郎と豊田侑泉、ピーター役の小野桜介と長谷川悠大、マイケル役の奥田奏太と谷慶人が、それぞれに楽しみにしていること、がんばりたいことを述べた。
さらに山崎は「この作品を通して、自分はなぜステージに立つという覚悟を決めたのか、原点に帰るような気持ちになっています。2023年最も泣けるミュージカルであることは間違いありません。皆で最高の作品を作って、初日を迎えたい」と決意を表明。一方で、記者から稽古段階での作品の手応えを聞かれると「子供たちが出てくるだけでOK。本物の犬も出てくるので、間違いない」とこれまでのコメント内容を覆すかのような発言をし、周囲からツッコまれる場面も。和やかな雰囲気のまま、制作発表は終了した。
公演は5月15日から6月5日まで東京・新国立劇場 中劇場にて行われ、その後、大阪・福岡・富山・愛知を巡演する。
ミュージカル「ファインディング・ネバーランド」
2023年5月15日(月)~6月5日(月)
東京都 新国立劇場 中劇場
2023年6月9日(金)~12日(月)
大阪府 梅田芸術劇場 メインホール
2023年6月17日(土)・18日(日)
福岡県 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
2023年6月24日(土)・25日(日)
富山県 オーバード・ホール
2023年6月30日(金)・7月1日(土)
愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
原作:デヴィッド・マギー脚本によるミラマックス映画作品 アラン・ニーによる戯曲「The Man W ho Was Peter Pan」
台本:ジェームズ・グラハム
作曲・作詞:ゲイリー・バーロウ&エリオット・ケネディ
翻訳・演出:小山ゆうな
訳詞:高橋亜子
音楽監督:小澤時史
キャスト
ジェームズ・バリ:山崎育三郎
シルヴィア・デイヴィス:濱田めぐみ
フック船長 / チャールズ・フローマン:武田真治
メアリー・バリ:夢咲ねね
デュ・モーリエ夫人:杜けあき
キャナン卿:遠山裕介
クローマー:廣川三憲
ヘンショー:星智也
家塚敦子、石川剛、伊藤かの子、榎本成志、大久保芽依、工藤彩、塩川ちひろ、永松樹、福島玖宇也、MAOTO、ルイス魅麗セーラ(五十音順)
ジョージ:越永健太郎、ポピエルマレック健太朗
ジャック:生出真太郎、豊田侑泉
ピーター:小野桜介、長谷川悠大
マイケル:奥田奏太、谷慶人
スウィング:大倉杏菜、齋藤信吾