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中島健人の“スウィートな表情”封印したスリリングな展開へ 『ドロ刑』遠藤憲一との本気の対決

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リアルサウンド

 ついにはじまった13係と煙鴉(遠藤憲一)との執念の戦い。斑目(中島健人)のセキュリティカードを使って警視庁に忍び込む大胆不敵な煙鴉の宣戦布告にはじまり、「命懸けなんだよ」の言葉とともに斑目に銃を向け発砲する煙鴉。12月8日に放送された日本テレビ系列土曜ドラマ『ドロ刑 -警視庁捜査三課-』第9話はついに物語の佳境に突入。これまでの“ゆるい”空気も中島の“スウィートな表情”も封印し、徹頭徹尾スリリングな“鬼ごっこ”へと様変わりを遂げた。

 斑目が撃たれる際に煙鴉から渡された、行きつけのバーのコースターの裏側に書かれたある会社の名誉顧問の男の名前。それが次のターゲットだと判断した13係は厳戒態勢で捜査に乗り出す。しかしその目の前に煙鴉率いる大量のスリ集団が現れ、古典的でありながらも見事な連携プレーで13係を圧倒。煙鴉に軍配があがる。そして意気消沈で思い出に浸る斑目がバーを訪れると、マスター経由で次なるターゲットの名前が書かれたコースターが渡されるのだ。

 対決が始まってすぐに、斑目の前にすんなりと姿を現した煙鴉が語った「虹をつかもうとした」という言葉が、最終回に向けた大きなヒントとなることは間違いない。その文字通りに捉えれば、“虹”は本来つかむことのできない、それどころかなかなか見ることができないことから、「幸運」という意味として捉えることができる。しかし、どうやらそれとは異なる、極めて直接的な意味合いを持っているようで、劇中には一瞬だけ「虹の見える丘公園」という分譲地の古ぼけた看板が登場。つまりはこの土地に関連した何かが、煙鴉の狙いということなのだろう。

 それは今回の2人のターゲットも然り、前回煙鴉が盗みに入った政治家、さらには皇子山(中村倫也)の妹・真里の働いていた「ギルバート記念病院」とも繋がりがあると考えられる。すべての真相と、煙鴉が斑目に課した最後の“お題”。そして、知り合いであるということが発覚する鯨岡(稲森いずみ)と煙鴉の関係性。最終回では、これらすべての伏線が回収されるとともに、もっとも肝心な、煙鴉の支えによって最強の“ドロ刑”に成長した斑目と、煙鴉との本気の対決が待っているはずだ。

 いずれにしても今回のクライマックス、ビルの外壁に堂々とロープを伝って忍び込む煙鴉の姿に、満月をバックにした迫力のシルエット。そして13係のメンバーである美希(石橋杏奈)の持つ、ほとんど特殊な能力に近い聴力を駆使して煙鴉の居所を突き止める静けさの演出に、煙鴉と斑目の無言の対峙。このドラマで見たかったスリリングな部分が、今回のエピソードにがっつりと凝縮されたといっても過言ではない。「結局最後は執念なんだ」という煙鴉から教えられた心構えを胸に、友情の先に向かおうとする斑目。最終回は大いに期待が持てそうだ。(文=久保田和馬)