照明室でぎゅうぎゅうに…片岡千之助・中村莟玉・中村歌之助が前期歌舞伎座の思い出トーク
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「映画『わが心の歌舞伎座』トークイベント付き先行上映会」より。
「映画『わが心の歌舞伎座』トークイベント付き先行上映会」が、4月1日に東京・東劇で開催された。
映画「わが心の歌舞伎座」は、第4期歌舞伎座の休場までの日々に迫った2011年公開のドキュメンタリー。今年、現在の第5期歌舞伎座が新開場10周年を迎えることを記念し、期間限定で再上映が行われる。トークイベントでは、本映画に語り手として出演する片岡仁左衛門、中村梅玉、七世中村芝翫の孫・子である片岡千之助、中村莟玉、中村歌之助が登壇し、第4期歌舞伎座の思い出や、現在の歌舞伎座への思いを語った。
第4期歌舞伎座で好きだった場所を聞かれると、千之助は「歌舞伎座に入ってすぐの大間です。前の歌舞伎座があったときは本当に小さかったので、番頭さんや皆さんに遊んでもらった思い出が一番あります」、莟玉は楽屋を挙げて「もともと一観客として観ていたところから、楽屋に入れていただけたので夢の空間でした。前の歌舞伎座の楽屋は狭くて、衣裳を着ると入れ替わるのも大変でしたが、そんな雰囲気が素敵でした」、歌之助は「(劇場2階の左右にある)照明室です。昔の照明室は小さくて、みんなでぎゅうぎゅうになりながら(古くて)ガタガタする椅子に座って、ライトの熱さと一緒に先輩方の芝居を観るというのが好きな空間でした」とそれぞれ語った。
また司会者から「前の歌舞伎座が閉じる前に記念の品を持って帰ったそうで……」と問いかけられる場面も。歌之助は「僕らだけでなく多くの方がそうなんですが、座席の番号のプレートで、自分の誕生日のものをみんな根こそぎ取って行っていました。言っていいのかわからないんですが、10年経ったのでもう時効だと思います(笑)」と明かした。
最後に3人が観客に向けてメッセージを届けた。「歌舞伎座はホームグラウンド」と話す歌之助は「昔の歌舞伎座も僕たちの中で胸に刻まれていますので、今のお客様に改めて昔の歌舞伎座を知っていただける再上映をうれしく思います。新しい歌舞伎座もこれから100年先、200年先まで皆さんにも応援していただけたら」、莟玉は「初公開時には『カッコいいな』という思いで先輩方を観ていましたが、13年経って改めて見直すと、自分も先輩方も年を重ねられている。それが良い意味で自分たちの世代へのプレッシャーになっていると思います。これから先、今の歌舞伎座を前の歌舞伎座に負けないものにしていきたいという気持ちになりました」、千之助は「今の歌舞伎座もいつかのちの世代につなげていけるように、先輩方のような役者になれるようにがんばりたいと思いました。いろいろな劇場で、世界で、もっともっと歌舞伎ができるように、歌舞伎が発展するようにがんばりたいです」と述べ、トークイベントを締めくくった。
上映は4月7日から東劇ほか全国の映画館にて、期間限定で行われる。詳細は公式サイトを確認しよう。
※初出時、キャプションの人名に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。