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PFFアワード受賞「J005311」に応援コメント届く、加瀬亮「俳優としての気骨を感じた」

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「J005311」サブビジュアル

PFFアワード2022のグランプリ受賞作「J005311」に、著名人15名から応援コメントが到着した。

俳優養成所の同期である河野宏紀と野村一瑛が構想した本作。何か思い詰めた表情で街へ出た神崎は、車道越しにひったくり現場を目撃する。彼はひったくりをしていた山本に声を掛け、100万円を渡す代わりにある場所へ送ってほしいと依頼。劇中では、生きづらさを抱える男2人の旅路を通じて、世間に取り残された孤独感が描かれる。野村が神崎を演じ、河野が初監督に挑みながら山本を演じた。

本作を鑑賞した加瀬亮は「抑制の効いた演出と演技の中に彼らの俳優としての気骨を感じました」と語り、三島有紀子は「河野監督と主演の野村一瑛の出会いが生んだ奇跡のような“優しさで打ち負かす映画”」と評する。阪本順治は「この作品には嫉妬しかない」「身体表現があまりに美しく、監督の視座に感銘しかなかった」と絶賛した。

このたび、マンガ家のたらちねジョンが作中のシーンを描き下ろしたオリジナルステッカーが、入場者プレゼントとして数量限定で配布されることも明らかに。神崎と山本の食事する様子などが切り取られている。

「J005311」は4月22日より東京・ユーロスペースほか全国で順次公開。なおユーロスペース、神奈川・横浜シネマリンでは29歳以下への割引も実施される。

上田慎一郎 コメント

これはフィクションでありドキュメントだ。
主演の二人が纏う本物の息苦しさ、行き場のなさに、何度も心をかき乱された。
クライマックスに訪れる、とある強烈なショット。
このショットは一生忘れられないと思う。

加瀬亮 コメント

抑制の効いた演出と演技の中に彼らの俳優としての気骨を感じました。
凍えるような寒さをくぐった人は、人の持つニュアンスに鋭敏で優しい。
冬空の下で、ひとつの、確かな温かさをもらいました。

中川龍太郎 コメント

この映画を撮っている数日間だけが、この作品の制作者たちにとって「生きている」と感じられる時間だったのではないか。そう思わせてくれる映画だった。色のないアメリカンニューシネマであり、歌のないヌーヴェルバーグのようでもあるが、そこに描かれているものが絶望でないことにこそ、この映画の独創性があって特筆すべきだと感じた。実在感溢れるこの二人の未来に光があることを祈りたい。

たらちねジョン コメント

冒頭数分で「良い映画だ」と感じる。
長い歯磨き、きちんとかけ直されるタオル。
上下セットのパジャマに、雨戸を開ける朝。
全ての描写に意味があるのだと分かる。そしてその主人公と思われる男には違和感のある電話の受け答え。
これは何かあるぞ、とこれから続く物語に期待してしまう。
生きた、生きてきた人間の偶然の出会いが惑星衝突に匹敵する奇跡であると理解し、心がうち震える。
そういう映画でした。

市井昌秀 コメント

野村一瑛という役者を僕は知っている。過ごした時間はほんのわずかだが、時間の多少に関係なく知っていると言い切れる。なぜなら、彼の「俺はここにいる」という悲痛なまでの叫びが強烈だったからだ。映画はダルデンヌ兄弟を彷彿とさせるが、おそらく河野監督からすれば、そんなことはどうでもいいだろう。不器用で世間からつまはじきされた人間を、野村を決して見捨てないという強い覚悟と執念が感じられた。

吉村界人 コメント

人の心を見つめているような映画でした。
肩書き羅列のこの時代に逆光している引き算の表現が
嘘がなく、とても美しかったです。
僕もまた一つ勉強になりました。

三島有紀子 コメント

この作品を生まないと次に進めないという作品が監督にはあると思う。「J005311」こそが、そんな魂の映画だった。人間に絶対的に寄り添うという優しさが溢れており、あるカットでパンした瞬間、私はこの世界に生きていてよかったと思った。光を失った二つの星が奇跡と言われる確率で衝突し、再び光を放った。河野監督と主演の野村一瑛の出会いが生んだ奇跡のような“優しさで打ち負かす映画”。

とよた真帆 コメント

映画を命がけで撮っていた、映画に人生の全てを捧げた青山真治の横にいた者として、映画とは“マジ”、つまり本気を感じられる作品が心に響くと思っている。この映画で長回しに挑戦し、音楽にも頼らず、“一生懸命つくる”という“マジ”を見せてくれてありがとうございます。

工藤梨穂 コメント

「それでも生きろ」と誰かに腕を掴んでほしいとき、きっとこの映画は灯台になる。
冬の冷たさへ震えることもできない男たちが命を燃やして宿した“本当”は、絶対の光を放って私たちの心を貫いてみせる。二人の目に互いが映っているということがこれほどまでに切実で真実である映画が存在するなら、生きていくことを信じてみてもいいと思えた。

東出昌大 コメント

カメラ前に立ちながら、その人物として生きる。自身もそうありたいと願いながらお芝居に向き合っているのですが、今作のお二人はそう言う「生きた人」にしか見えませんでした。

西川美和 コメント

そうか、ここに至らせるための長い長い90分だったのか、と納得し、若い主人公二人の、ぬかるんだ雪道のような寂しさを味わいました。
普通ならば対話や台詞が救うはずの場面で、それらが全く役に立たないことをつきつけられるのも新鮮でした。

趣里 コメント

河野くんと初めて出会った時彼の尋常ではないストイックさと、それに相反する優しい眼差し、静かに燃える青い炎のようなエネルギーに圧倒されました。
そしてそれは確かにここに存在していました。彼らは確かにここにいました。
孤独に手を差し伸べてくれました。
息をすることも忘れ、新たに自分の呼吸を感じた時、あぁ生きているのだと、物凄い映画体験をしました。本当に素晴らしかったです。

春本雄二郎 コメント

二人の河野宏紀が闘っている──。
存在の承認と愛を求めて叫んでいる。
社会から溢れ落ちた者たちの声を代弁するかのように。
初監督が故に不器用に、しかし鋭く、濃く、熱く、彼だけのセンスが、「ここにいるんだ」と、光を放っている──。

オダギリジョー コメント

人間、もがいて苦しんで、やっと一筋の光が見える。この世は絶望だけではない。

阪本順治 コメント

この作品には嫉妬しかない。主人公ふたりの心の欠損が、互いに享受されたとき、リハを重ねたであろうが、これは奇跡だと想った。決め科白もなく、身体表現があまりに美しく、監督の視座に感銘しかなかった。なによりも俳優が素晴らしい。傑作です。

(c)2022『J005311』製作委員会(キングレコード、PFF)