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横浜・上飯田町で生まれたタウンムービー公開、トークゲストに諏訪敦彦や三宅唱

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「上飯田の話」場面写真

神奈川・横浜市泉区上飯田町を舞台とする映画「上飯田の話」が、4月15日から28日に東京・ポレポレ東中野で上映される。

本作は「いなめない話」「あきらめきれない話」「どっこいどっこいな話」という3編のショートストーリーで連結された“タウンムービー”。これが初の劇場公開作となる監督のたかはしそうたは、劇中に登場する「上飯田ショッピングセンター」の佇まいから本作の着想を得た。竹澤希里、本多正憲、吉田晴妃、黒田焦子、日下部一郎、生沼勇、荒川流らが出演。実際の上飯田町の住人もキャストに名を連ねている。

諏訪敦彦は「映画と現実。ドキュメンタリーとフィクション。歴史と現在。あなたとわたし。バナナの木とソフトボール。あらゆるものを結びつけながら分割する『と』という接続詞をヒョイと飛び越え無効にしてしまうたかはしそうたの大胆不敵さをご覧あれ」と本作を推薦。黒沢清は「その辺の普通の人たちのいつもの生活が、気味悪いほど確信に満ちた映像で撮られることによって何やら神聖なものに見えてくるから不思議」とコメントしている。

YouTubeでは予告編が公開中。また、出演者7名による舞台挨拶やゲストのアフタートークも決定しており、諏訪や深田隆之、佐々木想、井口奈己、土田環、杉田協士、筒井武文、三宅唱、佐々木敦らが登壇する。

映画「上飯田の話」上映後トーク・イベント スケジュールおよび登壇者

※たかはしそうたは毎回登壇予定

2023年4月15日(土)

竹澤希里 / 本多正憲 / 吉田晴妃 / 黒田焦子 / 日下部一郎 / 生沼勇 / 荒川流
予定トークテーマ:出演者から見たほかの撮影との違いや今作の特徴

2023年4月16日(日)

諏訪敦彦(映画監督)/ 深田隆之(映画監督)
予定トークテーマ:映画制作におけるロケーションとの関係について

2023年4月17日(月)

佐々木想(映画監督)/ 影山祐子(俳優)/ 廣田朋菜(俳優)
予定トークテーマ:俳優への演出と場所性について ※3名は俳優としてたかはしそうたの別作品に出演

2023年4月18日(火)

同時上映 たかはしそうた過去作短編とトーク

2023年4月19日(水)

井口奈己(映画監督)
予定トークテーマ:長回し、OKテイクとは何かについて

2023年4月20日(木)

土田環(映画研究者 / 早稲田大学理工学術院講師)
予定トークテーマ:映画研究者から見た本作の魅力

2023年4月21日(金)

杉田協士(映画監督)
予定トークテーマ:今作を通じた現代における映画制作のあり方

2023年4月22日(土)

筒井武文(映画監督)
予定トークテーマ:今作の主題と手法の表現について

2023年4月25日(火)

三宅唱(映画監督)
予定トークテーマ:映画の細部に宿る魅力、心象描写などの演出について

2023年4月26日(水)

佐々木敦(思考家)
予定トークテーマ:批評的観点から見た本作について

2023年4月27日(木)

出演者による舞台挨拶

たかはしそうた コメント

祖父母が住んでいた上飯田町を散歩していたとき、上飯田ショッピングセンターを見つけました。いかにも地元に根ざした個人商店が連なり、地元の人が通い、独特な時間の流れがありました。地元の方と関わる中で、この町は徐々に高齢化が進み、人もまばらになっていることがわかりました。つまりこの場所で感じた時間の流れは、今撮らなければまた別のものになってしまう。なんとかこの町の今の時間の流れを映画にすることはできないだろうかということが製作のきっかけとなっています。今回の上映で、見ている人と一緒にこの町の時間を共有できたら嬉しいです。

諏訪敦彦(映画監督)コメント

上飯田という場所は存在するが、「上飯田の話」はどこにも存在しない。それは誰かの私的な記憶の場所でありながら、誰もが知っているはずの風景である。映画と現実。ドキュメンタリーとフィクション。歴史と現在。あなたとわたし。バナナの木とソフトボール。あらゆるものを結びつけながら分割する「と」という接続詞をヒョイと飛び越え無効にしてしまうたかはしそうたの大胆不敵さをご覧あれ。これもまた映画にしかできない離れ技である。

黒沢清(映画監督)コメント

その辺の普通の人たちのいつもの生活が、気味悪いほど確信に満ちた映像で撮られることによって何やら神聖なものに見えてくるから不思議。たかはしそうたは若くして映画の本質をつかんでしまったようだ。カメラがゆっくりパンを開始する度に、僕は自然と襟を正した。

深田隆之(映画監督)コメント

なんて風通しの良い映画なのだろう。それが最初の感想だった。俳優も、不意に横切る人々も、上飯田という街も、無理をしていない。これは映るものの“自然さ”を安易に装うつまらない映画なのだろうか?
いやちがう。カメラが俳優へ近づくとき、私たちはフィクションへ跳躍する。俳優によって、フィクションによって、あるいは撮るという行為によって、上飯田の街は別の相貌を垣間見せてくれる。たかはしそうたが作り出す、街と人のあいだに流れるささやかだが苛烈な風は、劇場の暗闇でしか体験できないはずだ!

谷川俊太郎(詩人)コメント

生きることを物語に要約しないことで、毎日の暮らしのどうでもいい細部にひそむ不安が見えてくる、隠された日常の発見。

吉見茉莉奈(俳優)コメント

人間って、時々憎たらしく思えることもあるけど、やっぱりおもしろいし、楽しいし、かわいい。
だから嫌いになれないしやめられないんだよな。そんなことを、見ていて思いました。
流れている時間と、たかはし監督の持つ“おかしみ”がとても心地よい映画です。