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フォーリミ主催「YON FES」歓声響き渡る中で終幕「今度は俺たちが音楽を救う番」

音楽

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ナタリー

「YON FES 2023」2日目公演終了後の記念撮影の様子。

04 Limited Sazabysが主催する野外イベント「YON FES 2023」が4月8、9日に愛知県の愛・地球博記念公園(モリコロパーク)で開催された。この記事では2日目公演のレポートを掲載する。

前日とは打って変わり、この日は1日中晴天に恵まれたモリコロパーク。青空の下で、KEYTALKの寺中友将(Vo, G)が「YON FES」初年度に思いつきで考案した「1、2、3、YON FES!」という掛け声を、フォーリミメンバーが元気よく叫んで2日目公演は幕を開けた。フォーリミの「Honey」を入場SEにしてKEYTALKがSKY STAGEに姿を現すと、バンドは最新曲「君とサマー」や人気曲「MONSTER DANCE」といった四つ打ちナンバーで朝から観客を踊らせた。テンションの上がったメンバーはステージを降り、ファンに支えられながら歌唱したり、観客の間を練り歩いたりと、オーディエンスと距離の近いパフォーマンスを繰り広げる。「太陽系リフレイン」ではKOUHEI(Dr, Cho / 04 Limited Sazabys)をゲストに迎え、さらに観客のボルテージを引き上げた。LAND STAGEは「YON FES」初出演のTENDOUJIがさわやかかつエネルギッシュに封切り。晴れさせることには自信があるという彼らは、その言葉通りすっきりと晴れ渡った空の下で、疾走感あふれる「COCO」や、シンガロングが印象的な「Peace Bomb」を高らかに鳴らした。

SKY STAGEの2番手は、フォーリミと同じく愛知県発で「YON FES」初参加の緑黄色社会。オーガニックな音色のミドルバラード「時のいたずら」、アップテンポな「始まりの歌」を経て、長屋晴子(Vo, G)は「フォーリミ先輩には昔からよくしていただいていて。そして実は私たちも愛知出身なの知ってた? 地元のフェスに呼んでもらえてうれしい気持ちでいっぱいです」と笑顔を見せた。出身地のステージに立ち気合十分の面持ちのリョクシャカは、長屋のソウルフルなアカペラで始まる「Shout Baby」やヒットナンバー「Mela!」でモリコロパークにさわやかな風を吹かせてステージをあとにした。続いてLAND STAGEにはPaleduskが登場。Kaito(Vo)が「ヘビーにいくぜ今日は。かかってこい!」と焚き付け、その言葉通り彼らは2日間の出演者の中で随一の重低音を轟かせた。Paleduskがブレイクダウンパートが印象的な「LOSE YOURSELF」、シャウトが響く「BLACK ICE」を叩き込むと、LAND STAGEはクラウドサーファーが入り乱れるカオスな空間に。Kaitoは最後に客席エリアでオーディエンスに支えられながら「LIGHTS」を絶唱し、鮮烈なインパクトを残して次のアクトへバトンをつないだ。

鋭いホーンの音色を響かせたのはHEY-SMITH。眩しい日差しを受け「Summer Breeze」や「California」など爽快な楽曲で一足先に夏の気分を運ぶ。「YON FES」が4月開催なことから、猪狩秀平(G, Vo)が「ここが日本の2023年のフェスのスタートだろ?」と煽ってから「We Sing Our Song」を始めると客席エリアに特大のサークルピットが発生。思い思いに盛り上がるオーディエンスを前に、猪狩は「これはだいぶ明るい2023年になるんじゃないですか?」と笑顔で期待を寄せた。「YON FES」初出演となるdustboxは、「Riot」や「Here Comes A Miracle」など、ハイトーンボーカルのメロディックパンクナンバーを惜しみなく投下していく。さらにGENがリクエストしたという「Smile like a child」を選曲したり、「Try My Luck」で同曲が青春だというKOUHEIをドラマーに、「Neo Chavez 400」ではRYU-TAをベーシストに招いて演奏したりと、オーディエンスはもちろん、フォーリミメンバーの“パンクキッズ心”にも火を付けた。

Dragon Ashはスケール感のある「Entertain」、Kj(Vo, G)のカリスマ性のあるボーカルが響く「百合の咲く場所で」を続け、オーディエンスを一気にバンドの世界観に誘う。Kjは、「3年間よく我慢した。バンドマンも大好きなみんなも。俺たちにできるのは35分間エンターテイメントをすることだけ。みんなが今日『YON FES』を選んでよかったと思える時間にします」と宣言し、「VOX」の演奏へ。バンドは重厚なバンドアンブルを鳴らして観客の体を揺らした。「Fantasista」ではKjが客席エリアで熱唱し、ステージではフォーリミのGENが歌唱してオーディエンスを盛り上げた。壮大な余韻が漂う中、「YON FES」に2年連続出演となるWiennersがLAND STAGEへ。昨年の出演時にフォーリミの「Galapagos」をカバーしたことから、玉屋2060%(Vo, G)が「2年連続呼んでもらってるってことは、何かしらの期待をされてると思うんだ」と匂わせる。そして4人は寸劇風の会話をきっかけにフォーリミの「Galapagos II」をカバー。アサミサエ(Vo, Key, Sampler)はキュートな歌声で楽曲の新たな魅力を打ち出した。そしてWiennersはこの日3度目のコラボ出演となるフォーリミのKOUHEIを呼び込み、「TRADITIONAL」をともに演奏した。

5年ぶりの「YON FES」出演となったフレデリックは、2014年にGENから「めっちゃ気持ち悪くて好きです」と言われたというフォーリミとの初対面を回想。そして「この中の誰も知らなくてもいい。あの4人に届けばいいと思ってます」と語り、当時よくライブで演奏していた奇曲「SPAM生活」をフォーリミへ贈った。湿っぽいムードを払拭するように、三原健司(Vo, G)は「祝いに来ただけじゃなくて、名古屋にいるあなたと『YON FES』を全部かっさらいたい」と鬼気迫る勢いで語り、バンドは “2023年のフレデリックの代表曲”だという「スパークルダンサー」で最新のモードを見せつけた。LAND STAGEのトリを務めるのは、名古屋出身のMaki。山本響(B, Vo)が「初めて出ます。めちゃくちゃうれしいっす。あとは音で示します」とまっすぐな言葉で宣言すると、春を歌った「春と修羅」、日の暮れゆくモリコロパークにぴったりのエモーショナルな「斜陽」など叙情的なロックナンバーを高い熱量で鳴らす。さらに「平凡の愛し方」ではSKY STAGEで準備をするフォーリミにも届くほどのシンガロングを発生させ、頼もしい姿で“フォーリミ先輩”へバトンをつないだ。

日が傾き始めた頃、大トリの04 Limited SazabysがSKY STAGEに登場。GENが「一緒に今年の『YON FES』を完成させましょう」と観客に語りかけ、4人がみずみずしいサウンドの「swim」を奏でると場内にさっそくサークルピットが発生した。「Galapagos II」では「まだ寝たいなあ」という歌詞を「まだ終わりたくないなあ」とアレンジ。GENは「改めて『YON FES』、いいフェスですよね。リョクシャカからPaleduskの流れは地上と地下みたいな感じで、それがすごく『YON FES』っぽいなと。終わってしまうのがさみしいなと思いますが、ここからまたロックシーンの反撃の狼煙を上げていきましょう」と語った。その後フォーリミは「fade」や「Finder」など、硬質でラウドな音色のナンバーを連投し、幅広い音楽性でファンを楽しませた。この日のハイライトの1つとなったのは、軽快なブレイクビーツが印象的なDragon Ashの曲「crush the window」のカバー。ゲストボーカリストにKj、ゲストベーシストにWiennersの玉屋2060%を迎え、GENはハンドマイクで軽やかにラップを繰り出した。

アンコールでGENは、今年バンドが結成15周年を迎えることを記念して11月11、12日に東京・日本武道館公演を開催することを発表。「今日みたいな時間を一緒に過ごしてください」とアピールしつつ、コロナ禍に感じたことや音楽シーンへの思いを語る。「ライブハウスや音楽に救われてきたから、今度は俺たちが音楽を救う番なのかなと。一度壊れてしまったものをただ戻すというよりは、前より少しでもいい状態にしたい。またみんなで作り直していきたいなと思います」と語り、初期曲「Buster call」で割れんばかりのシンガロングを巻き起こした。4人は最後にメロディックパンクチューン「message」を晴れやかな表情で演奏し、今年の「YON FES」の幕を下ろした。

音楽ナタリーでは、終演直後にフォーリミのメンバーに「YON FES 2023」を無事に終えた率直な感想を聞いた。GENは「カバーやコラボがあったりみんなが俺らへの思いを伝えてくれたりして、愛されてる実感が湧いたというか、シンプルにうれしかったですね」と充足感のある表情で語った。

04 Limited Sazabys コメント

KOUHEI(Dr, Cho)

いろんなバンドが「2023年に行われる今後の野外フェスを左右する」という感じのMCをしてくれて。今年のフェスの1歩目をみんなで歩めたかなと思うし、そういう2日間にできてよかったなと思います。

RYU-TA(G, Cho)

気温は寒かったですけど、昨日は温かい感じのフェスって感じで、今日はバチバチ感が出ていたなという印象ですね。どちらの日も「YON FES」らしいというか、僕ららしい日になったんじゃないかと思います。今年は声出しも解禁できたので、これからもいろいろと緩和しつつ来年につなげていきたいです。

HIROKAZ(G)

パンクや歌モノとか、いろんなアーティストがいい感じに混ざってるので、フレデリックやWiennersのライブを初めて観たバンドマンたちが「カッコいい!」と言ってくれてたのがうれしくて。(隣で「フレデリック、カマしてたね」とつぶやいたGENの言葉を受け)カマしてた。噛み付いてる感じがあって。そういう光景を見ると声をかけた甲斐があるし、これをきっかけにバンドマン同士でも新たなつながりができて、仲よくしてくれたらいいなと思いました。

GEN(B, Vo)

MCでも言ったんですけど、昨日今日と2日間終えて、自分たちのフェスながらめちゃくちゃいいフェスだなっていうのを感じて。昨日は尾崎(世界観 / クリープハイプ)さんがすごく楽しそうで、そういう意外な人が楽しんでくれている様子を見ると、バンド主催のフェスならではなのかなと思います。カバーやコラボがあったりみんなが俺らへの思いを伝えてくれたりして、愛されてる実感が湧いたというか、シンプルにうれしかったですね。俺らがどうこうっていうより、参加してくれたみんなに助けられた2日間だったなと感じました。

04 Limited Sazabys 日本武道館公演(タイトル未定)

2023年11月11日(土)東京都 日本武道館
2023年11月12日(日)東京都 日本武道館

※記事初出時、本文の一部に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。

撮影:ヤオタケシ / 日吉"JP"純平 / ヤマダマサヒロ / 藤井拓 / かい