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俊英・杉原邦生が演出を手がける『オイディプスREXXX』開幕

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男児が父親に敵意を抱き、母親の愛情を得ようとする、エディプス・コンプレックス。その語源としても知られるギリシャ悲劇『オイディプス王』は、若きオイディプスが父を父と知らずに殺し、その妻(=自分の母親)を母と知らずにめとるところから始まる。オイディプスが運命によって追い詰められ、ついには破滅へと至る道程は、これまで数多の舞台や映画で描かれてきた。『オイディプスREXXX』(オイディプスレックス)と銘打つ今回は、36歳の新鋭・杉原邦生が新たな切り口で演出を施し、中村橋之助、南果歩、宮崎吐夢らの出演で贈る。その公演が本日12月12日(水)、初日の幕を開ける。

タイトルロールのオイディプスを演じるのは、2016年に父・中村芝翫と弟たちとで “親子同時襲名”を行い、話題を集めた中村橋之助。芯の強さを感じさせる眼差しが印象的な歌舞伎界のホープで、これがストレートプレイ初出演にして初主演となる。オイディプスの妻にして母のイオカステ役には、2年ぶりの舞台出演となる南果歩。イオカステの弟クレオンには、大人計画に所属し、独自の存在感を放つ宮崎吐夢が扮する。橋之助という瑞々しいオイディプスを得て、手練の南と宮崎がどう対峙するのか見ものだ。

演出の杉原は、骨太な戯曲の本質を、刺激的な仕掛けで浮き彫りにする手腕に定評がある。主宰するKUNIOだけでなく、歌舞伎の演目を現代演劇の視点で編み直す〈木ノ下歌舞伎〉にも参加しており、11月にパリのポンピドゥー・センターで上演された『勧進帳』(演出と美術を担当)は高い評価を得た。本作では、「数々のベテラン俳優によって演じられてきたオイディプス王を、“ひとりの青年”として描き出したい」と語る杉原。台本も、昨年出版されたばかりの新訳版(河合祥一郎訳)を使う。2400余年の時を超え、現代によみがえるリアルなドラマを堪能したい。

KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオにて12月24日(月)まで。

文:佐藤さくら