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back numberが初の5大ドームツアー、ファンとエネルギーを交換し「こんな最高の疲労感はない」

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清水依与吏(Vo, G)

back numberの5大ドームツアー「in your humor tour 2023」が本日4月23日に福岡・福岡PayPayドームでファイナルを迎えた。

back numberは2018年に東名阪でドームツアー「back number dome tour 2018 "stay with you"」を行ったが、5大ドームを回るのは「in your humor tour 2023」が初。3月18日と19日に大阪・京セラドーム大阪、4月1日と2日に愛知・バンテリンドーム ナゴヤ、8日に北海道・札幌ドーム、15日と16日に東京・東京ドーム、22日と23日に福岡PayPayドームに立ち、最新アルバム「ユーモア」の収録曲を中心にキャリアを彩ってきた楽曲をたっぷりと届けた。この記事では16日の東京ドーム公演の模様をレポートする。

大気の状態が不安定となり、午後には雷雨に見舞われた関東地方。変わりやすい空模様のもと、老若男女問わず幅広い層のback numberファンが東京ドームに続々と詰めかける。オーディエンスが今か今かと開演を待ち構える中、客電が落ちるとともに、メインステージにある7面の巨大スクリーンには人々や木々、鳥のシルエットが次々と映し出された。霧がかった光がスクリーン中央に集まったと同時に、清水依与吏(Vo, G)、小島和也(B, Cho)、栗原寿(Dr)がステージ入り。深く息を吸い込んだ清水は「アイラブユー」の一節を弾き語りで披露し、小島、栗原が丁寧に音を重ねていくと、ドーム中に感動の波が広がった。そんな温かなムードを一変させたのは、疾走感あふれるロックチューン「大不正解」。鮮やかなレーザーライトが場内を駆け巡る中で、観客はリズミカルに両手を打ち鳴らした。続く「SISTER」では、清水がシャウトやファルセットを織り交ぜながら、みずみずしさをたたえたボーカルを放った。

ドームのそこかしこから熱い声援が上がると、清水は「すげー心強い。本当にありがとう!」と大きな声で応え、「日頃大事にしてもらってる曲たちです。当たり前なんだけど、命懸けで届けていくので最後までよろしくお願いします」とファンに誓いを立てる。そしておなじみの「クリスマスソング」のイントロが始まると、客席から歓声が。一途な恋心を描いた歌詞と、きらめくサウンドに陶酔するように、観客はじっと耳を傾けていた。改めて、満員の客席を見渡した清水は「ホントにすごいね、すごい。『すごい』と『ホントに』しか出てこない……語彙力がないね!」とおどけて見せ、手を上げて音に乗るオーディエンスに対して「すごい集中力で手を伸ばしてくれた感じがしたから、そこに1個1個置いていくような気持ちで演奏しています」と思いを口に。栗原も「そんなに飛ばして疲れちゃわない?ってくらい熱気がすごいのよ。まさに、一緒にライブしてる感じがすごいのよね」と“すごい”を多用して高揚感を表現し、「どんどんどんどんギア上げて、今日というライブを特別な1日にしたいんだけど、まだまだいける? 」と煽り立てる。気合い十分のメンバーはノイジーなギターが特徴的な「エメラルド」や、華やかなサウンドが光る「ヒーロースーツ」といったアッパーチューンで、溜め込んだパワーを放出した。

オーディエンスからの強烈な熱気を受け、小島は「何よりよ! スタジオだけで演奏してるとこういうライブにはならなくて、心からうれしく思います」と反応。栗原が「あれ? アリーナ席の後ろになんかある?」と大げさに言うと、清水は「サブステージです」とあっさり紹介し、客席に降りた3人は手を振りながらゆっくりと歩を進める。アリーナ後方のサブステージに到着すると、清水は「エネルギーの循環だね。みんなからもらって、俺らも音楽で返して、すごく心地いいです」と思いを述べ、小島、栗原と向き合う。重ねて「スタジオで曲を作るときの日常の形を見てもらいたいという気持ちもあって」と言うと、小島、栗原と何度もアイコンタクトをとりながら、「ヒロイン」「手紙」をアコースティック編成で奏でた。

メインステージにメンバーが戻ったところで、スクリーンには高速道路を走るドライバー視点の映像が映し出される。躍動感のあるパーカッションの音色を合図に「Silent Journey in Tokyo」が始まると、曲に合わせてヘッドライトのような明かりが客席を照らし、運転席からの景色がさまざまに変化した。また、ライブ終盤に向けて勢いを加速させるかのごとく、「高嶺の花子さん」がドロップされると、観衆は音に身を委ねながら拍手をしたり体を揺らしたりした。そんな、にぎやかなムードを打ち消すように、「赤い花火」「黄色」といった感傷的なラブソングが届けられ、場内に静かな余韻が広がる。back numberにとって大きな転機になったとも言える「水平線」では清水がハミングのあとに即興で歌詞を紡ぎ、人々にエールを送るかのように力強い歌声を轟かせた。

大きな拍手を浴びながら清水は「寝台列車で岡山から帰ったときに、CDを出す前のことを思い出して。車で群馬から東京に来て、いいライブができなくて誰にも相手にされなくて、『東京なんて嫌いだよ』って不貞腐れてた。ライブでちゃんと歌えなくて泣いて、たまに人のせいにして『何やってんだろう』って」と下積み時代を振り返る。「俺らはずっといい曲を作りたいって一生懸命やってきただけ。だから正直、今は夢の中にいるみたいです。明日目が覚めて『夢でした』と言われても納得する。『back numberっていいバンドなんだぜ』って、俺たちの才能を買ってくれる人たちが支えてくれるからがんばれて。『がんばってるやつが評価されなかったらおかしいだろ』って言ってくれる人がいるから、なんとか踏ん張ってる。怖いけどステージに上がって歌います。今も不安でいっぱいだけど、もしみんなと一緒に歌えたら、あとで思い出してもうちょっと強くなれるんで、胸張って皆さんの人生に関わるんで。わかる人がいたら一緒に歌ってください」と目に涙を溜めながら、あふれる思いを言葉にした。そして、メンバーはこれまでの音楽人生を重ねるかのように「ベルベットの詩」をパフォーマンス。彼らのひたむきな演奏に応えるように、ファンは温かな歌声を重ねた。本編ラストでは清水が「スーパースターになったら」とタイトルを叫ぶと同時に銀テープが発射され、弾むようなロックサウンドがドーム中にこだまする。曲の終わりには清水が「愛してるぞー!」と思いの丈を叫んだ。

アンコールは、豊かなコーラスが印象的なショートチューン「添い寝チャンスは突然に」で勢いよく始まった。タイトなドラミングを聴かせた栗原は「こんなに疲れるなんて聞いてない! こんな最高の疲労感はないですよ」と晴れ晴れした表情に。清水は「俺らは曲を作るのも大好きでライブするのも止められない。どこかでまたヘラヘラ笑いながら相変わらずやってるんで、よかったら会いに来てください」とファンに声をかける。大きな拍手を送られたメンバーは、back numberを一躍有名にした「花束」、開放感あふれる「怪盗」で約3時間のライブを締めくくった。本公演の模様は7月にWOWOWで放送・配信される。

「back number "in your humor tour 2023"」2023年4月16日 東京ドーム セットリスト

01. アイラブユー
02. 大不正解
03. SISTER
04. 秘密のキス
05. クリスマスソング
06. ハッピーエンド
07. エメラルド
08. 青い春
09. ヒーロースーツ
10. ヒロイン(アコースティック)
11. 手紙(アコースティック)
12. Silent Journey in Tokyo
13. ゴールデンアワー
14. 高嶺の花子さん
15. 赤い花火
16. 黄色
17. 水平線
18. ベルベットの詩
19. スーパースターになったら
<アンコール>
20. 添い寝チャンスは突然に
21. 花束
22. 怪盗

WOWOW「back number "in your humor tour 2023"」

2023年7月放送・配信

(撮影:佐藤祐介、半田安政、久保永隆二)