松角洋平と瀬戸さおりの父娘チームで挑む、こまつ座「父と暮せば」
ステージ
ニュース

こまつ座 第154回公演「父と暮せば」チラシ表
こまつ座 第154回公演「父と暮せば」が7月から8月にかけて東京・茨城・山口ほかで上演される。
「父と暮せば」は1994年の初演以来、上演を重ねている井上ひさしの代表作の1つ。原爆投下から3年後の、昭和23年のヒロシマ。幼い頃に母を亡くし、原爆で父を亡くした23歳の福吉美津江は1人でひっそりと暮らしている。が、そんな彼女の前に父・竹造が現れて……。
今回は松角洋平が竹造、瀬戸さおりが美津江を演じる。演出を手がける鵜山仁は、上演に向けて、「『父と暮せば』で語られる様々な『物語』には、言葉をひらくという役割があるのだと思います。 心の一番深いところにしまいこまれた記憶に耳を澄ませ、その記憶をおおっている様々なわだかまりを解きほぐして、そこに言葉をあたえる。そしてわだかまりを解き放つ。なかなか一筋縄で行くような仕事ではないけれど、もしもこの新しい父娘のチームでそんなことが実現できれば、人間世界の秘密がいくらか開示され、この地球も幾分か住みやすくなるかも知れません」とコメント。
松角は「私はナガサキで生まれ、ヒロシマの隣・山口で育った。祖父祖母は被曝手帳を持っており、私は被曝三世である。そして方言は広島弁と酷似している。初めてこの作品に出会った時、井上先生は私の為にこの竹造役を書き下ろしてく ださったと、本気で思った。そんな訳はないのだが……。歴代名優での竹造をご覧になられた方は『こんな若造が?』とお思いになるかもしれない。が、竹造の実年齢はおそらく40代なのだ。そしてここに! 私は勝機を見出そうと考えている。今の私にしかできないものがあるはずだ。原子爆弾を追体験させるエネルギーを肉体から放出させる。この幻術が表現できれば井上先生のおはなしは風に乗って遠くまで届くはずだ。そして、そうすることで娘の本当の幸せを願う父親像は色濃く豊かなものとなり、美津江役の瀬戸さおりさんと共鳴しあえると信じている。井上先生のおこと ばを深く落とし込んで、世の中の戦争をなくすつもりで挑みたいと思う」と意気込む。
瀬戸は「『どんな役をやりたいか?』と聞かれるたびに『美津江がやりたい』と答え続けていたら、夢が叶いました!! 大切な人を失い、“幸せになってはいけない”と葛藤する姿を見て『私も美津江として舞台で生きたい』とずっと 思っていました。そんな風に思ったのはこの作品が初めてだったので、出演が決まったときは嬉しくて震えました。初めての二人芝居、稽古中はずっと頭を抱えているんだろうと思いますが、鵜山さん、松角さんに助けていただきながら、新たな『父と暮せば』をお見せできるよう頑張ります」と思いを語った。
公演は7月5日から21日まで東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA、25日に茨城・つくばカピオホール、8月2日に山口・シンフォニア岩国ほかで行われる。東京公演は5月17日に一般前売りをスタートする。
%play_3611_v1%