総力戦研究所が舞台の「シミュレーション」追加キャストに仲野太賀、岩田剛典ら15名
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「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」キービジュアル
池松壮亮が主演を務め、石井裕也が脚本・編集・演出を担うNHKスペシャルの実録ドラマ「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」の追加キャスト、メインビジュアル、題字、音楽、放送日が発表された。
猪瀬直樹の著書「昭和16年夏の敗戦」を原案にした本作は、1941年の真珠湾攻撃前に、対米戦をあらゆる角度から検証するために作られた「総力戦研究所」を舞台にした物語。国の指示によって集められた日本中のエリートたちは模擬内閣を作って機密情報を集め、日本がアメリカと戦った場合のあらゆる可能性をシミュレートしていく。そして“圧倒的な敗北”という結論を手にした若きエリートたちは、開戦へ突き進む軍や本物の内閣と対峙する。産業組合中央金庫(現:農林中金)の調査課長で、模擬内閣では内閣総理大臣に指名される宇治田洋一を池松が演じる。
総力戦研究所研究員で、模擬内閣において内閣書記官長兼情報局総裁を担当する樺島茂雄を仲野太賀、海軍大臣を担当する村井和正を岩田剛典、陸軍大臣を担当する高城源一を中村蒼、企画院物価局事務官を担当する峰岸草一を三浦貴大が演じる。宇治田の妹・小百合役に二階堂ふみ、弟の英二役に杉田雷麟、宇治田が勤める産業組合中央金庫の上司・井川忠雄役には別所哲也がキャスティングされた。
内閣総理大臣・近衛文麿は北村有起哉、昭和天皇は松田龍平、天皇最側近の内大臣・木戸幸一は奥田瑛二が演じる。総力研究所の幹部である陸軍少将・板倉大道には國村隼、陸軍中佐・瀬古明には佐藤隆太が扮し、陸軍省で軍略・政略の実務責任者だった少将・武藤章は中野英雄、同軍務局高級課員の中佐・西村良穂は江口洋介、陸軍大臣でのちの総理大臣・東條英機は佐藤浩市が演じた。
ドラマは8月16日、17日に 2夜連続で放送。題字は赤松陽構造、音楽は岩代太郎が担当する。
NHKスペシャル「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」放送情報
放送局
NHK総合
放送時間
前編 2025年8月16日(土)21:00~21:59
後編 2025年8月17日(日)21:00~21:59
樺島茂雄(かばしましげお)役 / 仲野太賀
宇治田と同じ民間出身で、同盟通信社政治部記者。模擬内閣では「内閣書記官長兼情報局総裁」を担当。はじめは宇治田の消極的態度を批判的に見るが、次第に彼の苦悩を理解し、戦友のような絆を感じていく。
村井和正(むらいかずまさ)役 / 岩田剛典
海軍少佐。海軍大学校を首席で卒業。模擬内閣では「海軍大臣」を担当。アメリカとの国力の差を前に、日本が誇る「無敵の連合艦隊」も燃料の不足から長期戦に耐えられないと冷静に判断。「勝てない」と意を決して訴える。
高城源一(たかしろげんいち)役 / 中村蒼
陸軍少佐。模擬内閣では「陸軍大臣」を担当する。欧米列強に支配されるアジアで、いずれ植民地にされる前に日本は先に動くべきだと開戦を強硬に主張。だが宇治田の分析に驚がくし、現実を見定め始める。
峯岸草一(みねぎしそういち)役 / 三浦貴大
企画院物価局事務官。模擬内閣では「企画院総裁」。“金で世界は動く”が持論。日本が南方の石油を武力で確保しても、工業力に勝るアメリカと敵対し窮地に陥ると説く。軍ににらまれる危険を覚悟で発言する。
宇治田小百合(うじたさゆり)役 / 二階堂ふみ
宇治田洋一の妹。夫は日中戦争で戦死した。娘の初子と実家に戻り、兄の洋一、弟の英二と4人で暮らす。両親は赴任した満州で軍と対立し謎の死を遂げた。以来、権力に抗する兄を、心配しつつ敬い支える。
宇治田英二(うじたえいじ)役 / 杉田雷麟
宇治田洋一と小百合の弟。作家志望で、兄とは異なり楽天的な性格。長らく経済的に兄に支えられてきたが、ようやく出版社への就職が決まった。その矢先、予想だにしなかった展開を迎える。
井川忠雄(いかわただお)役 / 別所哲也
宇治田が勤める産業組合中央金庫の理事。戦争回避のため渡米して、和平交渉の土台作りに尽力する。近衛首相や陸軍首脳にも近く、総力戦研究所設立に伴い、頭脳明せきな宇治田を研究員に推薦した。
近衛文麿(このえふみまろ)役 / 北村有起哉
近衛首相の直属機関として設立された総力戦研究所が開戦後をシミュレートする一方、近衛は首脳会談での和平交渉を模索。しかし、統帥部や世論を抑えきれず、昭和16年10月に総辞職し、政権を手放す。
昭和天皇役 / 松田龍平
日米開戦当時、40歳。日中戦争が泥沼化する中、欧米列強も敵に回す主戦論を憂慮し和平交渉による戦争回避を求めた。だが「南方資源獲得で日本有利」との東條新内閣の説得で最終的に開戦を容認する。
木戸幸一(きどこういち)役 / 奥田瑛二
天皇最側近の内大臣として首相指名に影響力を持つ。近衛内閣が総辞職して皇族が首相候補になったとき、「万一最悪の事態になれば皇室が国民の恨みを買う」と反対して、代わりに東條英機を首相に推挙した。
板倉大道(いたくらだいどう)役 / 國村隼
陸軍少将。総力戦研究所の所長。若きエリートたちの頭脳をアメリカとの戦況予測に使うべく研究を開始させる。だが、軍上層部の思惑とは異なる研究結果が出始めると、自由な議論の“最大の壁”となっていく。
瀬古明(せこあきら)役 / 佐藤隆太
陸軍中佐。機密情報を駆使し戦況や内外情勢の近未来を予測する特殊研究を考案。上官の板倉や東條に忠誠を示し、模擬内閣に厳しく接する一方、懸命に国の未来を探る若者たちを、誰よりも深く理解して見守る。
武藤章(むとうあきら)役 / 中野英雄
陸軍少将。軍務局長として陸軍省の軍略・政略の実務責任者だった。国力差から対米戦争は不利と考えて、外交による和平交渉を支援した。しかし、陸軍内で勢いづく開戦強硬派との衝突は避けざるを得ず……。
西村良穂(にしむらよしほ)役 / 江口洋介
陸軍中佐。陸軍省軍務局高級課員。総力戦研究所を作ったメンバーの1人であり、宇治田と内密に通ずる。次第に開戦に踏み切らざるを得なくなる東條の孤独に側近として寄り添いながらも、戦争回避を模索する。
東條英機(とうじょうひでき)役 / 佐藤浩市
陸軍大臣のち総理大臣。開戦強硬派だったが首相就任後は天皇の意向で和平交渉を模索。開戦を求めて激化する世論や軍部と、天皇への忠誠のはざまで苦悩する。誰よりもシミュレーションに関心を持っていたが……。
赤松陽構造 コメント
とても良質な反戦ドラマだと思います。
題字を書くときに心がけていることは、映像をイメージし自由な発想で書くように心がけています。
「シミュレーション」ではあの時代の閉塞感や若者たちの葛藤を想い、筆字でも書道の型にとらわれず、
すり切れた筆を使って書きました。
このドラマは今の時代に共通する空気を感じました。今の若者たちに是非見て欲しいです。
岩代太郎 コメント
戦争を知らない世代の日本人として、この番組に参加できたことを誇りに思います。
今回のサウンドトラックでは、「パッサカリア」という音楽技法を多用しました。
現在に至るまで、「戦争」から何も学べない人類に向けてのメッセージを、音楽的に表現する上で、最適な音楽コンセプトが「パッサカリア」だと撮影期間中に確信したからです。
どうか番組内でも耳を傾けていただければ幸いです。