川平慈英「伊原剛志のダンスはキレッキレです!」漫才ミュージカル「なにわシーサー’s」開幕
ステージ
ニュース

漫才ミュージカル「なにわシーサー’s」公開舞台稽古より。
川平慈英と伊原剛志が原案・企画・出演を担う漫才ミュージカル「なにわシーサー’s」が、本日7月17日に東京の恵比寿・エコー劇場にて開幕。これに先駆け昨日16日、初日前会見と公開舞台稽古が実施された。
昨年12月に結成されたなにわシーサー’sは、大阪生まれの“つよっさん”こと伊原、沖縄生まれの“ジェイ”こと川平による漫才コンビ。オリジナルミュージカル「なにわシーサー’s」には、なにわシーサー’sに加え、小南満佑子が出演。脚本を畑中翔太、漫才台本・指導を博多ヒト志、演出を小山ゆうなが務め、音楽を小澤時史、振付を平澤智が手がける。
開演時刻の直前、まだ客席照明がついているうちに観客の前に姿を表した川平と伊原は、舞台上に置かれていた椅子や小道具を無言でセットし始める。最初はじっと見守っていた観客たちも、2人が掃除機をかけ出すと、その「ブォー!」という音にクスクスと笑い声を漏らす。2人と入れ替わるように、ハイテンションの小南が登場。ここが大阪・新世界の劇場であることを観客に伝えながら“劇場の妖精”と自称する彼女は、トップハットとステッキを身につけ、“夢に敗れ、夢を見続ける”漫才師たちの歴史を楽曲にした「The History of MANZAI」を披露。漫才を題材としたミュージカルの幕開けへ観客を誘った。
つよっさんとジェイは1970年、互いにまだ小学生だった頃、大阪万博で初対面した。大人になった2人は大阪の飲食店で偶然再会し、運命に導かれるように漫才コンビ・なにわシーサー’sを結成。新世界劇場から飛び出し、あっという間にテレビやCMの売れっ子になったなにわシーサー’sだが、華やかな時代は長くは続かず、2人は考えの相違からすれ違うようになり……。
現実のなにわシーサー’sが昨年誕生した“新人”コンビであるのに対し、作中のなにわシーサー’sは2人が二十代だった1985年に結成したコンビ。劇中では1970年、1985年、2000年、2005年、2020年の2人の姿が描かれるが、実際の川平と伊原の年齢と各時代の様子が合致しているため、「なにわシーサー’sがもし昔からあるコンビだったら、こんな歩みをたどったのだろうか」とリアルな感情が呼び起こされるパラレルワールドに仕上がっている。
2人の相性は劇中の演技、漫才、歌、ダンスどれをとっても抜群だ。なにわシーサー’sがスター街道をかけのぼる様を歌とダンスで表現したナンバー「なりあがれ!」では、疾走感のある楽曲に乗せて、息の合った踊りとハモリを披露。ミュージカルに多数出演している川平はもちろん、ジャパンアクションクラブ時代以来のミュージカル出演となる伊原も、全身を使った迫力のあるダンスで芸人の野心を表現し、観客を魅了した。また劇中では、そろいのサスペンダーを着用した小学生時代の2人が、インド映画「RRR」の“ナートゥダンス”を彷彿とさせるハイテンポなステップを見せる場面や、和解した2人が互いへの思いを客席通路で歌う演出も登場し、観客を楽しませる。
紅一点の小南は、川平、伊原との息の合った掛け合いで、ジェイの母親や2人のマネージャーなどすべての女性キャラクターたちを演じ分ける。そのすべてがクセの強い個性的なキャラクターで、特につよっさんの妻として“つよしみさき”という夫婦漫才をする場面では、コテコテの大阪弁とぶりっ子仕草で場を和ませた。一方、ミュージカルシーンになると、美しい歌声とダンスでその場を一気にドラマチックな雰囲気に変え、多才ぶりを発揮していた。
公開舞台稽古前に行われた初日前会見には、キャスト3人が登壇。川平は「構想3年半、やっとお客さんの前で披露できるのがうれしい。漫才コンビとしてデビューしてからは、企業の忘年会や記念イベントなど、営業を含めて20カ所くらいで漫才をしてきました。60歳を超えたおいちゃんもこんなにキラキラはしゃいで楽しんでいるんだというポジティブエネルギーを届けられたら」と語る。
伊原は「1時間半出ずっぱりで歌も踊りもやるという新たな挑戦。最初は不安でしたが、これが意外とできるんですね」と笑顔を見せ、「技なり、なんなり、僕らのやれることをすべて詰め込んだ作品なので、観客の皆様の反応が楽しみ」と述べる。川平が「伊原剛志のダンスはすごいですよ!」と期待をあおると、伊原は「ハードル上げんなって!」と返しつつ、「これを機に、毎年ライフワークのようにこの舞台ができればいいなと思います」と語った。
また小南は「“こんなお二人見たことない!”という姿がたくさん見られると思います」とアピールし、「稽古期間の中盤、振付の稽古が激しくなってきた頃から、稽古場に湿布の匂いが充満するようになって(笑)。大先輩のお二人が身体に鞭を打ってがんばっていらっしゃる姿を見て、こういう俳優になりたいなと思いました」と尊敬の念を込めた。
記者に「なにわシーサー’sとして『M-1グランプリ2025』にはエントリーするのか?」と問われると、伊原は「考えています!」と前向きな様子。川平も「剛志は次の舞台が決まっているのでスケジュール次第ですが、M-1はもちろんチャレンジしたい。それになにわシーサー’sとして呼ばれれば、学校、刑務所、病院、シニアレジデンス、どこにでも行きます」と言い、伊原も「漫才コンビの活動は、新しいネタを書いてもらいながら、ずっと続けていくつもり。地道にそれぞれの家に行って稽古しているんですよ(笑)」と明かす。川平は「いつか僕らの冠番組やシリーズ映画ができたら」と夢をふくらませていた。
上演時間は約1時間40分。公演は7月27日まで行われる。なお来年1月には地方公演が予定されている。
%play_3410_v1%