泉澤祐希×柄本時生『わたし、定時で帰ります。』対談 「僕は、定時には帰りたくない!」
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効率よく仕事をこなし、残業ゼロをモットーに働くヒロインを吉高由里子が演じる火曜ドラマ『わたし、定時で帰ります。』(TBS系)。“働き方改革”が取り沙汰される現代を象徴するドラマとして、大きな注目を集めている。
【写真】定時に出社する吉高由里子
第1話では、人の10倍努力しなければと追われるように働く皆勤賞女・三谷佳菜子(シシド・カフカ)、第2話では育児とキャリアの間で悩むワーキングマザー・賤ヶ岳八重(内田有紀)と、個性的なキャラクターが次々と登場。価値観の多様化に伴って、人生観も、仕事観も人それぞれ。それぞれの良さを活かしてことを成し遂げるのが、仕事。そんなことを改めて考えさせられるドラマだ。
4月30日オンエアの第3話では、「辞めようかな」が口癖の新人・来栖泰斗(泉澤祐希)が、SNSに動画を流出させてしまいトラブルを起こすという、リアルな展開が話題になった。そして、5月7日に放送される第4話では、結衣とは対照的な職場に住み着く非効率男・吾妻徹(柄本時生)がフィーチャーされる。
そこで今回は、少しクセの強い役柄を演じている泉澤祐希と柄本時生に、インタビューを行い、前編と後編にわけてお届けする。前編となる今回は、“職場”としての『わたし、定時で帰ります。』の撮影現場の雰囲気や、“仕事仲間”としてのふたりの関係性について。
■柄本「役柄では先輩・後輩だけど、ゲーム上では師匠です」
――(インタビュー前の会話を聞いて)おふたりの会話は、本当に職場の先輩・後輩という感じですが、どんな関係ですか?
柄本時生(以下、柄本):あ、リアルでは師匠なんですよ。
泉澤祐希(以下、泉澤):いや、やめてくださいよ(笑)。
柄本:僕たち、ゲームが好きという共通点があって。プレステ4の『フォートナイト』というオンラインゲームで、 チームを組んで夜な夜な一緒に遊んでいるんです。泉くん、うまいんですよ。そこで、ボイスチャットでは「師匠」と呼んでいて。
――弟子と師匠で、ごはんにも行かれたとお聞きしましたが。
柄本:1回行きましたね。泉くんと、桜田通くんと、僕の3人で。あれ、なんで行ったんだっけ? 俺が誘ったの?
泉澤:いえ、『オールスター感謝祭』(TBS系)の後だったと思うんですけど、僕がめちゃくちゃ腹減っちゃってて。「これは肉食わないとダメですね」とか言ってたら、時生さんが「ちょっと行く?」と言ってくださって。3人で焼き肉に。
――そこは先輩・後輩ですね! 食事中は、やっぱりドラマのことについてお話されたんですか?
柄本:いやいやいや。基本「あの女の子かわいかったね」とかそういう感じですよ(笑)。
泉澤:男ですからね。3人とも!
柄本:あとは、たしか「『オールスター感謝祭』の賞金分食うぞ!」みたいなことも話したかな。本当に、そんな他愛もない会話ですよ。
泉澤:しかも、30分くらいでしたもんね。パッと食って、パッと帰る、みたいな。
――THE男子っていう感じですね。おふたりは初対面から、気が合ったんですか?
柄本:そうですね。俺が、最初『フォートナイト』ってゲームがあってーみたいなことをちょっと話したら、泉くんが「僕やってます」って入ってきてくれたんだっけ?
泉澤: そうそう。
柄本:吉高(由里子)さんも、 ゲーム好きって話になって。泉くん、一緒にオンラインでゲームしてるんでしょ?
泉澤:はい! 吉高さんは『荒野行動』派ですけど(笑)。
■泉澤「こんな仲良くなれる現場は初めてかも」
――まさか、吉高さんともゲーム仲間になっていたとは!
泉澤:あまりないですよね。時生さんもそうなんですけど、現場で知り合って一緒にゲームする仲になるってこと。こんな仲良くなれる現場は初めてかもしれません。珍しいですよね? ここまで仲いいのは、たぶん。
柄本:そうね。やっぱり吉高さんの人柄じゃないですか?
泉澤:本当すごいですよ、あの方は。 今回、初めてお会いしたので、最初は“どういう方なんだろうな?”と思っていたんですけど、もう初日から「うぇ~い!」みたいな感じで、とにかく明るくて。これは、馴染みやすいなと思いました。
柄本:俺も! 居心地のいい現場だなって。
――ドラマのテーマからすると「働きやすい」職場という感覚でしょうか。
泉澤:そうですね。やっぱり現場が明るいと行きたくなりますからね。
柄本:うんうん!
泉澤:個人的には、この役をやると決まったとき、今までにやったことのない感じだったので、“これはいろいろとトライできるかもしれない”ってワクワクしてたんですよ。それに、撮影が始まってみたら、すごく雰囲気も良くて、で……。
柄本:あ! 1回、めっちゃふざけたよな!
泉澤:はい。めちゃめちゃふざけました。
柄本:だよな! 急にノッたな、って思ったもん。4話だっけ? コーヒースペースのところで。ノリやがったなって!
泉澤:そうです。児玉剛役の加治(将樹)さんと、時生さんの相談に乗るっていうシーンで。アドリブとかではなくて、セリフの言い回しなんですけど。ちょっとやりすぎたかなって思ったんですけど、監督の「OK」出たから!
柄本:そうそうそうそう。
泉澤:でも、本番終わってすぐ時生さんに「お前、やったな」と言われて、「すみません」って(笑)。
柄本:「おつまるです」も、最初アドリブだったんでしょ?
泉澤:そうなんですよ。1話で「お疲れ様です」のセリフだったんですけど、22歳の役だし、ちょっと軽い感じで言ってみようって思ってアレンジしたら、そのときは物議をかもしちゃって。「え、今なんて?」「なんて言ったの?」ってプロデューサー、監督、衣装さん、メイクさんって、みんな寄ってきて。
柄本:おー! まるで放送禁止用語言っちゃったみたいな騒ぎじゃん!
泉澤:そんな大騒ぎになると思わなくて。マネージャーにも「ちょっと俺、やりすぎちゃったかもしれないです」と相談して、めちゃくちゃ反省したんです。でも、オンエアされてる(笑)。
柄本:アハハハ。でも「おつまる」って言うんでしょ、今の時代?
泉澤:YouTuberとか見てると、言ってるんですよ。
柄本:じゃあ言うわ~! YouTuberが言ってるなら、もうみんな言ってるってことだもん、今の時代(笑)!
――柄本さんは、本作で泉澤さんのように「こう演じてみよう」という考えはありましたか?
柄本:ん~。僕は、あんまりないですね。「お仕事が決まったな」という感覚でやっているので。どちらかと言うと、共演者を見て「おう、おう、おう、久々だ!」とか、「初めましてだ!」とか、そういうので楽しみを見出しているというか。誰とやるか、に興味があるんですかね。だから、こうして仲良くなれるのは本当に楽しいですよ。
泉澤:あのゲームのシーンとか、良かったですよね!
柄本:あのシーンは超楽しかったな! 「ずーっと、このシーンでいい」ってふたりでずっと言っててな。
泉澤:あれも4話? 注目してくださーい(笑)。
■柄本「僕は、定時には帰りたくない!」
――現場を楽しまれているおふたりに、改めて『わたし、定時で帰ります。』っていうドラマは、どのように感じますか?
柄本:定時ってあるんだなと思いましたし、僕は定時には帰りたくないですね。
泉澤:僕もそうかもしれません。定時じゃない仕事をしているから、5時のチャイムが鳴ったら帰るみたいな仕事に憧れた時期もありましたけど。
柄本:前に、別の仕事なんですけど、ハワイで撮影したときに、ハリウッド方式を体験したことがあって。きっかり1日8時間で終わらせるっていうスタイルで、みなさん本当に8時間で帰っていくんですよ。でもね、ダメ。僕には合わない!
泉澤:もっとできるのにって思っちゃうってことですか?
柄本:うん。「まだできるんじゃないの?」みたいなのがね、やっぱある。僕の理想的には10時間だね。
泉澤:たぶん体力が残っちゃうんですよね、きっと。
柄本:そう!
――きっと「定時で帰って、その体力を使って仕事以外を楽しむ」という感覚ではないんですか? たとえば、おふたりの好きなゲームとか。
柄本:ゲームは、もう何時でもやれるから!
泉澤:寝る間は惜しめますね!
柄本:そうそうそうそう!
泉澤:好きなことは気分転換になるから、体力使って疲れるとかではないんですよね。
柄本:働きたがりなほうなんだと思います、どちらかというと。だから、独り身だったら、本当に吾妻みたいな生活になると思うんですよ。
――本当に役柄にピッタリですね。泉澤さんは、いかがですか? 来栖泰斗というキャラクターとご自身の親和性は感じますか?
泉澤:キャラ的には、すごく近いものがあると思いますね。普段はちょっとテキトーなところもあるので、やる気ゼロではないんですけど、ちょっと調子に乗っちゃう感じは、今回素が出てるかなって思います。
――1話で、シシド・カフカさん演じる三谷さんに、ストレートに意見を言い放ったシーンが印象的でしたが、泉澤さん自身もハッキリ物を言うタイプですか?
泉澤:あ、言っちゃうかも知れないです。誰に対しても「それはちょっと違うんじゃないですか?」とか。
――そのときそばにいた柄本さん演じる吾妻さんは、スッと目をそらしていましたが(笑)。
泉澤:そうですよ! 吾妻さんも一緒に話してたのに! 俺が目で助けを求めたのに! 置いていかれたって思いましたよ!
柄本:あー、あったあった! すぐ裏切ったよね。俺、ひっどいやつだ(笑)。
――あのシチュエーションだと、柄本さんご自身ではどんな態度になると思いますか?
柄本:裏切りますね!
泉澤:えー! 本当ですか? でも、そう言って時生さん、実際そうなったらちゃんと言ってくれそうな気がする。
柄本:言うかな? たぶん(笑)。どうだろうね。
泉澤:人によるかも?
柄本:人によるな! 加地さん(児玉剛役)だったら?
泉澤:あ、「やり方が古いって言いました!」って即答。(笑)
柄本:ギャハハ。良い現場だから、こんなことも言えるんだよな。
泉澤:本当に。定時で帰ってないし、家帰った後もオンラインゲームでこんなことばっかりしゃべってますもんね(笑)。
(佐藤結衣)