「僕はイエス様が嫌い」監督・奥山大史は神を信じるか?見解明かす
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「僕はイエス様が嫌い」特別試写会にて、左から奥山大史、チャド・マレーン、佐伯日菜子。
「僕はイエス様が嫌い」の特別試写会が5月8日に東京・日本外国特派員協会で行われ、キャストのチャド・マレーン、佐伯日菜子、監督の奥山大史が出席した。
「僕はイエス様が嫌い」は、東京から雪深い地方にあるミッション系の小学校へ転校してきた少年ユラを主人公とする作品。願い事を必ず叶えてくれる“小さなイエス様”と出会ったユラが大きな試練にさらされるさまが描かれる。ユラを佐藤結良、小さなイエス様をチャドが演じた。
1996年生まれの奥山は本作にて第66回サンセバスチャン国際映画祭の最優秀新人監督賞や、第29回ストックホルム国際映画祭の最優秀撮影賞を獲得。海外映画祭への応募を決めたことについて「インディーズでやっていくには限界があって、映画を作ったつもりだけになって商品として回らなかったら仕方がない。いろんな人に観ていただく手段の1つとして海外映画祭に応募することを考えました」ときっかけを明かす。
佐伯は、大熊理樹扮する大隈和馬の母・理香子を演じた。MCから朗らかでありセクシーな母親であったと言われると「セクシーというのはびっくりです」とほほえみ、「脚本を読んだときに『なんて素晴らしいんだ』と思って3回泣きました」と述懐。またチャドは「出オチになるんじゃないかという心配はありました」と正直に気持ちを伝え、報道陣の笑いを誘う。彼を起用した理由を奥山は「イエス様を出そうと考えた瞬間に思い付いたんです。失礼な言い方かもしれないんですけど、頭のネジが何本か抜けたような感じがあって(笑)」と語った。
“イエス様”というキャラクターを映画に出すことにためらいはなかったかと問われた奥山。「日本に対してはなかったです。でも海外映画祭に出すことが決まってからためらいが出てきて、サンセバスチャンのときは実際に動揺しました」と回想し、「でも好意的な反応が多かった。読解力を持って、イエス様をユラのイマジネーションフレンドとして見てくれたからだと思います」と言及した。「神を信じますか?」という信仰心に関する質問には「海外映画祭でもそのような質問を多くいただいたんですが、イエス様を信じてるし、キリスト教のことも同じように考えています。タイトルには“イエス様が嫌い”とありますが、マカオ映画祭に行ったときに『嫌いと思えるほど信じてるってことだと受け取ったわ』と言ってくださったクリスチャンの方がいて。もし信じてなかったら無関心なんですよね。嫌いと思ってしまうくらい自分は信じていたんだなと、すごく腑に落ちました」と回答する。
劇中には穴の開いた障子が登場。その意味について奥山は「僕のおじいちゃんが障子に穴を開けていたと、亡くなったあとにおばあちゃんから聞いて。こじつけではあるかもしれないんですけど、亡くなる前にこれから自分が行くところをのぞいていたのかなって。今いる場所から外の世界や現世ではないところを見ようとすること。それが宗教すべてに通じることのような気がして、メタファーとして映画に取り込めないかなと考えました」と実体験を交えて説明する。「映画には余白が大事。観たときに『こういうことを意味してるのかな』と考える余地があることで『私の映画だ』『私が考えていることを言ってくれている』と思っていただける。実際僕はそういったことを考えながら映画を観ています」と映画作りにおける心構えも明かした。
「僕はイエス様が嫌い」は、5月31日より東京・TOHOシネマズ 日比谷ほか全国で順次ロードショー。
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