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吉田都が“集大成”「Last Dance」に意欲、引退後は「学んだこと伝えたい」

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吉田都

「『NHKバレエの饗宴』特別企画 吉田都引退公演『Last Dance』」の出演者会見が、昨日5月10日に東京都内で実施された。

会見には、現役引退を表明しているバレエダンサー・吉田都が出席。自身がプロデュースする「Last Dance」に向けて吉田は、演出を務める元英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団の山本康介や、英国ロイヤル・バレエ団で長年ペアを組んでいたフェデリコ・ボネッリをはじめとする共演陣に厚い信頼を寄せつつ、「私がプロダンサーとして踊った35年の集大成になる」と感慨を述べる。

吉田自身は本公演で「誕生日の贈り物-Birthday offering-」と「シンデレラ」第3幕の冒頭ソロ、「白鳥の湖」第4幕のパ・ド・ドゥを踊る。「白鳥の湖」を選んだ理由を記者から尋ねられると、吉田は「『白鳥の湖』は、一番最初に主役をいただいた作品。私はオデット / オディールのタイプのダンサーではないとずっと思っていましたが、思い入れがあります。バレエと言えば『白鳥』ですし、原点に戻るという意味でも踊れたらと」と思いを語る。また会見では吉田により、英国ロイヤル・バレエ団への入団当時に「すごくお世話になった」と言うイレク・ムハメドフの来日が決定していることも明かされた。

現役引退の理由について「新国立劇場の舞踊芸術監督をお受けしたこと」だと言う吉田は、「踊りたい気持ちは持ち続けていますが、今私は踊りにすべてのエネルギーと時間を費やしています。そこにさらに芸術監督のお仕事が加わっては、とても務まらない。悩みましたが、将来あるダンサーのために環境を整えたり、私が海外で学んだことをお伝えしたりするほうがよいのではと思いました」と決断に至る経緯を語った。

会見では、吉田が自身の思うバレエの魅力を語る場面も。吉田は「私はバレエという芸術の形式が好きです。プロが集まって1つの舞台を作り上げたとき、舞台上で奇跡のような瞬間が生まれます。それに携われるのは素晴らしいこと」と述べ、「バレエはちょっと油断しただけでも踊れなくなる、本当に厳しいものです。何事もないかのように踊っている方々は、一体どれだけの努力を陰で重ねられたのだろうと思いますが、そんな皆さんの踊りを観られることが感動的」と笑顔を浮かべた。

さらに記者から後進のバレエダンサーに伝えたいことを尋ねられた吉田は、悩みつつも「基礎やテクニックは大事ですが、やはりバレエではお客様に何を伝えたいかがとても大切」と答え、「その点については私もイギリスでとても苦労しましたし、今でも悩んでいることなのですが……これからのダンサーたちに何かお伝えできればいいなと思います」と抱負を語った。

吉田の引退公演「Last Dance」では、平野亮一、高田茜ら英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルをはじめ、多彩なバレエダンサーがカンパニーの枠を超えて一堂に会する。公演は8月7・8日に東京・新国立劇場 オペラパレスにて行われ、チケットの前売りは5月25日10:00にスタート。同公演の様子はNHK BS4Kで10月に放送されるほか、NHK BSプレミアムでもオンエアされる予定だ。

なお吉田は現在、新国立劇場の舞踊次期芸術監督予定者芸術参与を務めており、来年2020年9月1日には舞踊芸術監督に就任する。

「『NHKバレエの饗宴』特別企画 吉田都引退公演『Last Dance』」

2019年8月7日(水)・8日(木)
東京都 新国立劇場 オペラパレス

演目
「誕生日の贈り物-Birthday offering-」
「精確さによる目眩しくスリル-The Vertiginous Thrill of Exactitude-」
「Flowers of the Forest」から
「シルヴィア」から
「アナスタシア」から
「くるみ割り人形」グラン・パ・ド・ドゥ
ほか

出演:吉田都 / フェデリコ・ボネッリ、平野亮一、高田茜、ヤスミン・ナグディ、ジェームズ・ヘイ、ヴァレンティーノ・ズケッティ、ミーガン・グレース・ヒンキス / 島添亮子 / 井澤駿、小野絢子、福岡雄大、米沢唯 / 池田武志、渡辺恭子、石川聖人、石山沙央里、塩谷綾菜、高谷遼(「高」ははしご高が正式表記) / 永橋あゆみ、三木雄馬 / 沖香菜子、秋元康臣 / 阿部裕恵、水井駿介

指揮:井田勝大
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

※出演者は変更される可能性あり。