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仲里依紗を応援せずにはいられない “サレ妻”、“オンリーワンの2番目”で発揮される存在感

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リアルサウンド

 高橋一生、斎藤工、滝藤賢一がアラフォー独身男性の本音を体現していくドラマ『東京独身男子』(テレビ朝日系)は新感覚のラブコメディ。充実した日々を過ごし、“あえて結婚しない”男子=「AK男子」たちが、いざ「結婚してもいいか」と思ったときに直面するリアルな問題と、右往左往する彼らを冷静な眼差しで見つめる女性たちの対比が面白い。

 結婚の理想と現実の間で揺れ動き、舞い上がったり打ちのめされたりしたあげく、「アジェンダ」を作成しては浮かれているAK男子。彼らをいちばん近くで見守る存在が仲里依紗演じるかずなである。仲里依紗といえば、不倫を描いて話題となったドラマ『あなたのことはそれほど』(TBS系)、『ホリデイラブ』(テレビ朝日系)で続けて“サレ妻”(浮気される妻)を演じ、その演技力が高く評価された。

 不倫をテーマにしたドラマは数多くあり、人気があるのも確かだが、ドラマ『ホリデイラブ』のように浮気される側の妻が主人公で、しかも女性から共感を得られるというのは新しい。考えてみると、現代のようにSNSがあり、マッチングアプリがあり、気軽に浮気しやすい環境が整っているということは、それだけ浮気される側の立場の人もいるわけだ。

 「パートナーが浮気したら、どうすればいい?」と他人事ではなく、サレ妻を演じる仲里依紗を通して考える女性は多い。彼女の演技には期待を超える説得力があり、サレ妻の心情を見事に表現していた。『ホリデイラブ』の場合、浮気を仕掛ける側の里奈(松本まりか)のあざとさ、仲演じる杏寿の夫・純平(塚本高史)に対する執着の異常さが際立っていたこともあり、夫婦再構築のための道のりはハードだった。

 また、2017年4月期のドラマ『あなたのことはそれほど』でも浮気した夫との別れを選んだわけではないが、簡単に許したわけでもないという、奥行きのある演技を見せつけた仲里依紗。イメージにはない、地味で真面目な学級委員長タイプの麗華役は思いのほかハマっていて、じわじわと夫を責める表情も話題になった。

 主人公で麗華の夫・光軌(鈴木伸之)の浮気相手である美都(波瑠)が占い師に言われた「2番目に好きな人と結婚するのがいい」というフレーズ。『東京独身男子』の第3話で太郎(高橋一生)がかずなに対して言ったセリフ「ぶっちぎりの、オンリーワンの2番目だ」につながるものがある。

 好きな人と結婚するのは理想だが、ふわふわと理想だけを追い求めて生きていけるわけでもない。だが、過去の甘い思い出から抜け出せず、夢を追い続けるような『あなたのことはそれほど』の主人公・美都も『東京独身男子』の主人公・太郎も、オンリーワンにこだわりがあり、自分を好きになってくれた相手を「2番目」と軽く扱う。そんな理想を追求する主人公を冷静に、現実的な視点から見つめる役柄で仲里依紗は面目躍如。その存在感を遺憾なく発揮する。

 『東京独身男子』の第3話で太郎に「ぶっちぎりの、オンリーワンの2番目だ」と言われてもなお、「結婚を前提に」と食い下がるタフな面を見せたかずな。今後、2人の関係がどう変化していくのか、AK男子は真実の愛を見つけられるのか、かずなの視線に注目しながら見守ろうとしよう。(池沢奈々見)