『なつぞら』草刈正雄演じる泰樹のあまりに厳しい一言 “自分勝手”ななつは家族とどう向き合う?
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「お前の顔はもう二度と見たくない」
参考:『なつぞら』第39話では、照男(清原翔)が弥市郎(中原丈雄)と砂良(北乃きい)の家を訪れる
泰樹(草刈正雄)がなつ(広瀬すず)に放った言葉はあまりにも厳しいものだった。ただ、彼の性分を考えれば、あるいはこれが泰樹としての精一杯の表現だったのかもしれない。
「なつが本当に望むことなら誰も反対はしない。じいちゃんだって本当はそうなんだ」とは後に剛男(藤木直人)が言ったことであるが、きっとその通りであろう。なつには自分の人生をしっかりと謳歌してほしい、泰樹なら心の奥底ではそう思っているはずなのだ。なつとしては、農業高校まで通わせてもらったとして、今すぐに柴田家を出るというわけにはいかないという様子だった。しかし、泰樹からしてみればそんな“気づかい”は、むしろ彼にとって、何とも言えない苛立ちを生む原因になっていたのだろう。
その後なつは「申し訳なくていられない」という理由で、柴田家を出ていこうと荷物をまとめようとするのだった。ところが、そんな「申し訳ない」という思いを抱えているなつに、富士子(松嶋菜々子)はビンタをする。
「申し訳ないなんて言われるくらいなら憎まれたほうが、よっぽどましだわ。一人で苦しみたいなら、家族はいらないっしょ」
“気づかい”とか、“申し訳なさ”というのはストレートには届かないことがある。一方が良かれと思っていても、それを受け止める側は「そんなことしなくていいのに」と思うことだってある。なつだって今では柴田家を、彼女にとっての“家族”として認識しているところはあるだろう。
お世話になった分はしっかりと返さなきゃいけない、感謝しなきゃいけないとも思っているし、だからこそ、必要以上に迷惑をかけてはいけないとも思っている。しかし、その“迷惑をかけてはいけない”という思いが、ときに家族が期待していないものにつながることもあるのだろう。
それは夕見子(福地桃子)の言葉を借りれば「自分勝手」なのかもしれない。ただ、いずれにせよ、ナレーションの最後にあったように、まだなつには泰樹たちに伝えていない「肝心なこと」がある。その「肝心なこと」をなつがどう伝え、どう泰樹たちと向き合っていくのか、まだまだ目を離せない。(國重駿平)