浜野謙太と本田翼が抱えた“救うこと”への葛藤 『ラジエーションハウス』放射線科医と技師の違い
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医者になりたかったというコンプレックスを乗り越え、放射線技師としての誇りを取り戻した軒下(浜野謙太)。唯織(窪田正孝)がラジエーションハウスに入ったことで、それぞれの仕事に対する姿勢は変化していた。
『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』(フジテレビ系)第7話では、初恋の人である真貴(松本若菜)に再会し「医者になる夢を叶えたんだね」と言われた軒下が、本当のことを言えずに医者のふりをしてしまうが、最後には技師としてのプライドを持ち職務を全うする姿が描かれた。
【写真】真剣な表情の唯織(窪田正孝)
今まで描かれてきた軒下は、太鼓持ちやちょっぴりひねくれ者など、優秀な放射線技師としての姿とは違っていた。しかし今回は、初めてひとりで当直する裕乃(広瀬アリス)のオンコールを担当し、マッチングアプリで出会った女の子とのデート中でも現場に戻り頼もしい姿を見せた。お酒を飲んでいるかのように思えた軒下だが、実はワインではなくぶどうジュースを飲んでデートを過ごしていた。ひとりで当直する裕乃のために、病院へ戻ってくる気でいたのだ。軒下は、裕乃の当直中にきた外傷の患者のレントゲンをテキパキと撮っていく。これには裕乃も感動。翌日裕乃は、ラジエーションハウスのメンバーに嬉々として話すのであったが、ラジエーションハウスのメンバーは「軒下が優秀なことに気づかなかったのか」と言いあっけらかんとしている。実は軒下は誰からも頼りにされ、一流の放射線技師だと思われていたということが発覚した。
唯織がきてから、ラジエーションハウスの面々は技師としてのプライドややりがいを再確認している様子だ。それには唯織の、放射線技師としての能力の高さや、仕事への取り組み方が影響しているといえよう。本作は多くの登場人物が、ステップアップしたいという思いと、なかなか前に進めない現実にもどかしさを覚えながらも奮闘している。それは軒下だけでなく、杏(本田翼)にも言えることであった。
杏は自分の読影に不安があると、唯織を呼んでアドバイスを求めるようになってしまう。しかしついに鏑木(浅野和之)から「技師に頼りすぎだ」と言われてしまい、すっかり肩を落とすのであった。鏑木は、唯織が読影や診察に関与することは、医師法に触れる可能性があり、唯織を追い詰めかねないと説明する。杏はそんな状況にモヤモヤして、思い悩むのであった。そして杏は、唯織のように病気を発見することが自分にはできていないと苦しむ。自分さえしっかりすれば、状況は変わるはずと努力を重ねるのであった。
恋愛としての進展こそ、未だにはっきりとしないが、杏が唯織を気にかけていたり、強く信頼していることは2人の態度からわかる。杏は唯織のように、読影で病気を発見し、検査結果の力で患者を救いたいと思っていた。今回登場した患者・真貴は乳房にしこりがある。しかし一度のマンモグラフィではしこりが悪性か良性かがわからないというのだ。真貴の夫の志朗(篠原篤)は妻がガンかもしれないという恐怖に、真貴と共に精神的に追い詰められていく。この件をきっかけに唯織は、技師にできることはなにかを追求した。検査で病気を発見し、診断するのではなく、病気ではないことを証明したのであった。杏の「患者を救うのは医者の仕事」という言葉に呼応するように“技師にできること”を徹底したのだ。唯織の残した功績で、ラジエーションハウスの士気はますます高まっているかのように見える。そんな中、放射線技師長の小野寺(遠藤憲一)は唯織の正体に気付き始め、白衣を着て写真に写っている唯織の写真をインターネットで見つけ唯織に問い詰める。
続きが気になるところで次回へ持ち越しとなってしまった『ラジエーションハウス』。医師免許を持つことがバレてしまったら、唯織はどうするのだろうか。次回は唯織の正体とその過去について触れられることになるだろう。
(Nana Numoto)