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PENGUIN RESEARCHのライブが支持を集める理由 開催中のツアーを機に考察 

音楽

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リアルサウンド

 2015年に結成された5人組ロックバンド、PENGUIN RESEARCH。フェスやイベントのタイムテーブル、各種音楽メディアの記事などでこのバンド名を見かける機会が増えたため、彼らのことが気になっていたという人も多いのではないだろうか。

 結成の経緯はやや特殊だ。きっかけは堀江晶太(Ba)。彼は、作曲家/編曲家としてLiSA、田所あずさ、ベイビーレイズJAPANらに楽曲提供を行い、ゲーム・アニメ音楽を手掛け、さらに投稿楽曲すべての再生回数が100万回超えの人気ボカロP・kemuとしての顔を持つ人物。そんな彼が、自身が楽曲提供を行ったアーティストのライブを観たことを機に、従来の活動と併行し、バンドを始めることに決めた。

 そこで最初に声をかけたのが、動画サイトで見つけた生田鷹司(Vo)。生田はそれまで地元で仕事をしていたが、音楽の道が諦めきれず、仕事を辞めて上京するところだったという。そうして2人が集まったところに神田ジョン(Gt)、新保恵大(Dr)、柴﨑洋輔(Key)が加わり、現体制に。2016年1月、シングル『ジョーカーに宜しく』でメジャーデビューした。

 現在バンドは全国ワンマンツアー『Penguin Go a Road 2019 「なぜ決闘なのか」』の真っ只中。そしてニューシングル『決闘』が本日5月22日にリリースされたばかりだ。

 結成からわずか4年にもかかわらず、引き出しが多く、しかもそれぞれのクオリティが高い。また、楽曲にはバンドの血がしっかり通っている。ツアーの初日にあたる5月3日、柏PALOOZA公演で私は初めて彼らのライブを観たのだが、このバンドがロックリスナーから支持を集めつつある理由はそういうところにあるのでは、と考えた。

 神田、新保、柴﨑は元々スタジオミュージシャンなどで活躍していた敏腕プレイヤーであるため、バンドの演奏は安定感抜群であり、様々なジャンルに対応可能。また、全曲の作詞作曲を手掛ける堀江は先述の通り“クライアントからの発注に対応する”という仕事のしかたもできる人であり、様々なタイプの楽曲を書くことができる。アプローチの幅広さは間違いなくこのバンドの武器のひとつだろう。現時点で唯一のフルアルバム『敗者復活戦自由形』にはこのバンドのカラフルな魅力が表れているので、ぜひチェックしてみてほしい。

 加えて、ボーカルの生田はその声質自体がクリアで、情報量の多いサウンドの中にあっても決して埋もれることがない。また、現在声優として活動しているだけあり、発音、滑舌も明瞭である。

 過去のインタビュー記事によると、堀江は、kemuの楽曲はフィクションをベースにしているが、PENGUIN RESEARCHの楽曲では“今ここで生きてる人間”のことを歌詞に書いているとのこと(参考)。また、初ワンマン直後にメンバーが「クリエイターからアーティストになれた」「ようやく“バンド”になった」という発言をしている通り(参考)、これまではバンド以外の形式で音楽活動をしていた人たちだからこそ、彼らは“バンドとして何を伝えるべきか”という点に自覚的であるように思える。そんなバンドにとって、歌詞の内容を的確に伝えることに長けたボーカリストの存在は、かなり重要なのではないだろうか。

 ライブ中、生田が「初っ端から(みんな)全力で、俺らどうしようかと思ったよ!」と観客のことを讃えたり、「こんな最高なライブができるお前らと俺らなら何だってできるし、どこへだっていけると思うんですよ!」と投げていたりしていたのも印象に残っている。PENGUIN RESEARCHのライブでは、観客も一緒になって歌ったり積極的に歓声を上げていたりしていて、とにかく熱量が凄まじいのだが、その熱量を引き出すうえで生田による熱い言葉が担う役割は大きい。経歴上、生田は他4人と比べてステージ経験が浅い。しかし、バンドとして盛んにツアーを重ねてきたことにより、フロントマンとしての存在感は確立されてきているのだ。

 ライブでは「決闘」も披露された。「決闘」は各プレイヤーの成熟を感じさせる重厚なハードロックサウンドが土台になっている一方、デジタルサウンドや多種のビートが取り入れられていて、このバンドならではのミクスチャー感もある。イントロやサビでは、メンバーから「ちょっと目を離すとすぐツーバスを踏む」とまで言われているメタル育ちの新保が勢いよくツーバスを踏んでいるほか、終盤にはド派手なギターソロも控えている。各サビの後半ではシンガロングにうってつけなパートがあるのだが、刺激的なバンドサウンドに鼓舞されたのか、観客の歌声はかなり大きい。この時点ではシングルのリリース前だったはずだが、それにもかかわらず、ライブのハイライトと言えるほどの盛り上がりが生まれたのだった。

 また、「決闘」をきっかけにバンドがさらに活気づき、それ以降の演奏がエネルギッシュになっていったことも特筆しておきたい。この曲を着火剤にしながらPENGUIN RESEARCHのライブはますます進化していくことだろう。

 年内唯一のワンマンツアーは、関西方面では自身最大規模にあたる会場・なんばHATCHを含む全国8カ所をまわったあと、ツアーファイナルとなる8月10日の横浜文化体育館公演『Penguin Go a Road 2019 FINAL「横浜決闘」』で締め括られる。ライブバンドとしての実力をメキメキと強化させているこのバンドの“今”を、ぜひ見逃さないでほしい。

(文=蜂須賀ちなみ/写真=Viola Kam (V’z Twinkle))

■リリース情報
『決闘』
2019年5月22日(水)発売
【初回生産限定盤】
¥1,852+税
<収録内容>
DISC 1
1. 決闘
2. 逆襲
3. boyhood (Live at TSUTAYA O-EAST “Penguin Go a Road 2018-19”)

DISC 2
1. 決闘 (Music Video)
2. 方位磁針
3. songwriter
4. シニバショダンス

【通常盤】¥1,296+税
<収録曲>
1. 決闘
2. 逆襲
3. boyhood (Live at TSUTAYA O-EAST “Penguin Go a Road 2018-19”)

■ツアー情報
PENGUIN RESEARCH LIVE TOUR
『Penguin Go a Road 2019 「なぜ決闘なのか」』
5月3日(金・祝)柏PALOOZA
5月25日(土)宇都宮HEAVEN’S ROCK
5月26日(日)高崎club FLEEZ
6月1日(土)福岡BEAT STATION 
6月2日(日)なんばHATCH
6月21日(金)仙台Darwin
6月23日(日)札幌KRAPS HALL
6月30日(日)名古屋ボトムライン

■ライブ情報
PENGUIN RESEARCH LIVE
『Penguin Go a Road 2019 FINAL 「横浜決闘」』
8月10日(土)横浜文化体育館

PENGUIN RESEARCH オフィシャルHP