平井堅、ゆず、小田和正……相次ぐストリーミングサービスでの全曲解禁 改めてメリットを考察
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■平井堅、ゆず、小田和正……全曲解禁で改めて知る名曲
今年4月以降、平井堅、ゆず、小田和正と、人気アーティストの定額制音楽配信サービスでの全曲解禁が続いている。
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平井堅の楽曲は美しい歌声もさることながら、その歌詞にも注目してもらいたい。ここ数年で発表された「告白」「ソレデモシタイ」「ノンフィクション」「知らないんでしょ?」などの人間の深層を描いたような歌詞は聴きごたえがある。一方、Apple Musicのトップソングには「POP STAR」や「瞳をとじて」などのヒット曲が多数ランクインしており、平成のJ-POPシーンを彩ってきたシンガー・平井堅の残した功績を感じることができる。
ゆずといえば「夏色」というリスナーも多いだろうが、「雨と泪」という曲を、歌詞を見ながら一度聴いてもらいたい。挫折を力強く乗り越えていく勇気をもらえる名曲だ。初期作の「てっぺん」はゆずの路上ライブの雰囲気を感じられる楽しい作品。アルバムを昔のものから順に聴けば、当時からゆずが好きだった人にとっては、「嗚呼、青春の日々よ」とばかりに青春が走馬灯のように蘇るはずだ。そして時には、当時とは違う1曲が胸に刺さることもあるだろう。
小田和正は、『あの日 あの時』や『自己ベスト』などのベストアルバムが聴きごたえがありおすすめだ。加えて、耳にしたことのある曲の多さに驚く。Spotifyでは代表曲を集めたプレイリスト「This Is 小田和正」が公開され、公開後3日で20万再生を突破した。初期アルバムまで遡れるのがストリーミングサービスの醍醐味であることを活かせば、ファンの間で名盤と名高い1986年のデビューアルバム『K.ODA』は必聴だ。リリースは30年以上前にもかかわらず、今と変わらぬ透き通った歌声。そして最後を飾る「空が高すぎる」は、それぞれの“あの頃”を思い出させる美しい名曲である。
昨年のMr.Childrenや松任谷由実に続き、“解禁ブーム”の波が来ているが、これまでの日本においてストリーミング配信は、アーティスト側が受け入れに躊躇する場合が多かった。楽曲制作に対する対価として十分なのか、1枚3000円を払って買ってもらっていたアルバムの価値が下がるのではないか。ゆずの北川悠仁も「時代を考えればやるべきだけど、僕らが大事にしてきたアルバムの概念やパッケージというものを、壊しかねないものでもある」(参考:CINRA.NET)と当初は考えていたそうだ。
■全曲解禁のメリットは?
ストリーミングサービスでの音楽配信は、アーティスト側にもメリットがある。一つは、CD売り上げではなく、“今”どの曲が人気なのかを知ることができる点だ。特にアルバムの場合は、売り上げではわからなかった、収録曲それぞれの人気が可視化されるようになった。自分や他者の楽曲を気軽に聴けるだけでなく、意外なアルバム曲が上位に入ったりすることで、曲作りに影響しているというアーティストの意見も聞く。さらに、メディア露出の多いアーティストほど潜在的なファンも多い。ストリーミングで全楽曲を聴けるようになることで、ライブの予習復習を手軽にでき、コアファンに移行するリスナーも増えるに違いない。ストリーミングサービスが日本より普及している海外リスナーにも、届きやすくなるはずだ。
また、好みの楽曲の傾向から、アーティストをおすすめする機能もある。こういった聴き方は、リスナーの中ではごく普通になってきている。アーティスト側もSNSなどでおすすめ曲をSpotifyの画面とともに紹介することも増え、「好きなアーティストの好きなものなら」と聴く音楽の幅が広がりやすくなっている。
今の時代は、音楽という大海にどっぷり浸かれる素晴らしい時代だ。だからこそ1曲1曲を、ぜひ気軽に聴いてみてほしい。(深海アオミ)