「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『プロメア』
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リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、火事より炎上が怖い・チキンハート安田が『プロメア』をプッシュします。
参考:松山ケンイチ×早乙女太一×中島かずき『プロメア』鼎談 松山「プレッシャーがすごくあった」
初夏から夏にかけて、『海獣の子供』『きみと、波にのれたら』『天気の子』など、注目アニメーションが続々と公開されます。本作『プロメア』はその皮切りとなるような熱さと新しさを兼ね備えた意欲作に仕上がっております。
炎を操る人種・バーニッシュの出現。全世界の半分が焼失したその未曽有の大災害・世界大炎上から30年。攻撃的な一部の面々がマッドバーニッシュを名乗り、再び世界に襲いかかる。対バーニッシュ用の高機動救命消防隊バーニングレスキューの燃える火消し魂を持つ新人隊員・ガロと、マッドバーニッシュのリーダー・リオの熱き魂がぶつかりあう。
『天元突破グレンラガン』を見て心躍らせた少年は多いのではないでしょうか。かくいう私もその中のひとり。あの熱さと感動が、2019年という時代に新たに生まれ変わった形で出会えるのがただただ嬉しいのです。
冒頭、怒りに反応して炎が体から溢れ出すバーニッシュの出現が描かれます。満員電車で足を踏まれたことで車内を消し炭にしてしまう者、長い渋滞にイライラし至る所から炎が吹き出すカリフォルニア。夫が暴力とギャンブルに溺れる姿に堪忍袋の尾が切れた妻など、突然変異でバーニッシュと化してしまう人々の姿が、澤野弘之が手がけたスピード感あふれる音楽とともに映し出されます。
この冒頭を見た瞬間に、「あ、この映画100点満点」と高揚を隠せずにはいられませんでした。スタイリッシュなプロローグから、いきなりの都市火災発生、ガロとリオのタイマンバトルシーンが描かれ、そのまま物語は息つく暇もないまま上映時間を駆け抜けます。
”燃やす”と”消す”という対立構造を作品内の核として取り込んでいますが、単なる二律背反するものとして扱っているのではなく、予告編でガロが言うように「燃えて消すのが俺の流儀だ!」など、テーマに対するアプローチは今石洋之監督×中島かずきタッグらしく一歩先へ踏み込んだものとなっています。
また、主要キャストを演じた松山ケンイチ、早乙女太一、堺雅人の声芝居からも作品が共有している“熱さ”が全面に感じられます。インタビューでも語ってくれていますが、とにかくエネルギーを込めた芝居をされたお三方。鑑賞中、気づかぬうちに拳を握りこんでいる自分がおりました。
キャスト、スタッフの熱量がこれでもかと注ぎ込まれた本作。上映が終わった頃には、その熱に当てられ、なぜか疲れ果てていることでしょう。2019年のアニメシーンにおける重要な一本となっております。ぜひ劇場に足をお運びください。(リアルサウンド編集部)