『なつぞら』岡田将生が投げかけた“大人”としての言葉の重み なつ不合格の本当の理由はいかに?
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「大人はビールより苦いものを、ときにはグッと飲み込んで生きていかなくちゃならないんだ」
咲太郎(岡田将生)は、「東洋動画なんて“ビールの泡”」みたいなものだとして、試験が上手くいかなかったなつ(広瀬すず)を励ましてあげたのだった。確かに、人生をいくらか先に歩んでいる咲太郎からすれば、きっとその通りなのだろう。大人になれば、それだけ辛酸を舐める場面も多い。ましてや、なつとしばらく離れ離れになっている間にも、随分いろいろな経験をしてきたとされる咲太郎なだけに、彼の言葉にもそれなりの重みがある。
『なつぞら』(NHK総合)第50話では、なつを囲む多くの人々が、それぞれに彼女のことを気にかける姿が描かれた。
川村屋のマダム(比嘉愛未)はなつを正式に雇ってもかまわないとし、フロアマネージャーの野上(近藤芳正)も、なつが一層の努力をすれば立派な店員になれるとまで言ってくれた。ただ、なつとしてもマダムの提案をすぐに受け入れるというわけにもいかず、マダムもこれからのことは「なつさんが自分で選ぶべきこと」と言ってくれたのだった。
北海道の柴田家では、いつになったら結果を知ることができるのか心配で仕方がない様子だった。電報でも打ってみようかなんて話も出るくらいみんながなつの命運を気にかけていた。
新宿では雪次郎(山田裕貴)もなつの落ち込む姿を気にしていた。いつもは川村屋で日々厳しい言葉を受けながらも、必死になって修行を続けてきた雪次郎。なつはそんな彼の姿を厨房で目にするたびに、祈るようにエールを送ってきたものだ。とはいえ今回、試験の結果を受けて、普通に働いていながらも、辛そうにしているなつの姿に雪次郎は気づき始めていた。そして雪次郎は自ら咲太郎のもとを訪れて、その旨を伝える。
こうしてなつの状況を知った咲太郎は、なつが住む部屋に足を運び、例のビールのたとえを話して聞かせたのだった。だが、「できる」と言われたばかりに、真に受けていた自分のどうしようもなさにも嫌気がさしていたなつは、“ビールの泡”のような存在だったのはむしろなつの側だと言う。東京でアニメーターとして頑張りたいという思いが膨れ上がっていただけに、そのショックはその分大きなものだったのだろう。
ただ、当時の面接の回想シーンでは一つ気になる場面が。なつが戦災孤児であることを打ち明けると、面接官だった大杉(角野卓造)はその瞬間に、「もう結構です」とはねのけたのだった。どうやら、なつが試験に落ちたのは自分の絵の実力以外の理由があるかのようであったが、本当のところは一体……。(文=國重駿平)