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松井周演出「ビビを見た!」、岡山天音「迷子になるような感覚になってもらえたら」

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左から岡山天音、松井周。

7月に神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオで上演される「ビビを見た!」に向けて、上演台本・演出を手がける松井周と、主人公のホタル役を演じる岡山天音の合同取材会が、本日6月12日に同劇場にて行われた。

本作は大海赫による同名の絵本を原作にした新作舞台。盲目の少年ホタルは「7時間だけ見えるようにしてやろう」という声を聞く。しかしホタルの目が見えるようになると、彼の母や猫、町の人は光を失ってしまい……。

岡山は稽古の感触について「松井さんの脳みそから出てくる発想が、僕からすると奇想天外。こういう人と仕事ができてうれしいなと思います」と率直に表現する。そんな岡山の印象を、松井は「天音くんは『どんなふうにも演出してください』という感じで、僕が最終的に目指しているものを共有し、稽古に臨んでくれています」と語り、信頼を寄せた。

自身が演じるホタルについて岡山は「キーワードを挙げると突飛な役に思えるかもしれませんが、根源的には平均的な感覚を持った人物なのかなと。お客さんと一緒にいろいろな事件や衝撃、出来事を目撃しますが、ある意味とてもフラットな役でもあるので、そういうところはシンプルにストレートに共感できます」と分析する。

原作の絵本は、ビビッドな色で描かれた大胆な画が印象的だ。舞台でその作品世界を表現するにあたり、松井は「大海さんの画をそのまま出す、ということではなく、きちんと翻案する。『このシーンのインパクトを、舞台としてどう翻案できるか』を考えていきます」と話す。また「絵本ではページをめくると場面が切り替わるけれど、舞台ではシーンとシーンをどう繋いでいくかが、演出家の“お楽しみ”部分(笑)。そこはどんどん想像を膨らませていきたい」と笑顔を見せ、さらに「絵本で描かれるホタルの成長物語と、『世界がひっくり返ったらどうなってしまうのか』という部分と、その両面を並行して表現したい」と構想を語った。

児童文学を原作とする本作だが、松井は「幅広い方に観ていただきたい」と述べる。続けて松井は「僕基準で考えると、大海さんの作品に影響を受けたのは小学生のとき。世の中ってこんなに不思議でわけがわからないのかと。でも根本的に今は、大人も子供も、明日世界がひっくり返るかもしれないという感覚を持っていると思います。物心ついたときから、『もしかしたら未来はないかもしれない』という感覚を持っている方なら、この作品をビビッドに感じるのではないでしょうか」と言葉に力を込めた。

松井の言葉を受けて岡山も「とても刺激的な作品になるんじゃないかと思います。観る人によってどんな心地になるかわかりませんが、“事故った”みたいな感覚になるのかも(笑)。だから、どこに行き着き、何を頼りにするのかは、観てくださる方それぞれにお任せしつつ、迷子になるような感覚になってもらえたら。僕は舞台上で、そのようにホタル役をまっとうできればいいなと思って、今全力で稽古しています」と真摯に語った。公演は7月4日から15日まで。

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「ビビを見た!」

2019年7月4日(木)~15日(月・祝)
神奈川県 KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ

原作:大海赫
上演台本・演出:松井周
出演:岡山天音、石橋静河、樹里咲穂、久ヶ沢徹、瑛蓮、師岡広明 / 大村わたる、熊野晋也、岩岡修輝、長尾純子、中島妙子、小林風花