弾圧政治下のカブールを描いたアニメーション、フランス人監督が制作の意義語る
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フランス映画祭2019 横浜にて、「カブールのツバメ」で共同監督を務めたザブー・ブライトマン(左)とエレア・ゴべ・メヴェレック(右)。
フランス映画祭2019 横浜で6月21日に上映された「カブールのツバメ」のQ&Aに、共同監督を務めたザブー・ブライトマンとエレア・ゴべ・メヴェレックが登壇した。
ヤスミナ・カドラによる小説「カブールの燕たち」をアニメーション化した本作。タリバン勢力の支配下にあったアフガニスタンの首都カブールで起きていた悲劇がリアルに描き出される。
原作の時代設定は2001年だが、本作では1998年に変更された。ブライトマンはその理由を「自分と関わりのない国の歴史はたいていの人が気に留めないから、フランス人にとって大事な年に変えようと思いました。いつだろうと考えたとき、ワールドカップが開催された1998年がエポックメイキングな年だと思って決めたんです」と説明する。
ブライトマンは女優として活躍し、2001年には「記憶の森」で初メガホンを取った。ゴべ・メヴェレックはアニメーター出身で、今回が初の長編作品となる。そんな2人が共同監督を務めた本作は、第72回カンヌ国際映画祭ある視点部門のコンペティションに出品された。ブライトマンは「当時だけでなく今もカブールの厳しい状況は続いています。その事実を皆さんに思い出してもらうために、登場人物1人ひとりに自分の気持ちを込めて描きました」と本作の意義を熱弁。「アニメーションかはわかりませんが、これからも映画をどんどん作っていきたい」と意気込んだ。
ゴべ・メヴェレックも「弾圧政治のもとでカブールの人々がどんな暮らしをしているか描くことで、美しいメッセージ性の強い作品にできました」と長編監督として成し遂げた心境を語る。また「悲劇を扱う内容なので、距離を取った客観性を持ち、かつ正確にストーリーを伝える必要がありました。なのでデッサンという手法でワンクッション置き、やわらかく正確に厳しい現実を伝えようと思いました」と作画のこだわりにも触れた。
フランス映画祭2019 横浜は6月23日まで神奈川・イオンシネマみなとみらいで開催。