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時代と向き合う映画を鋭い視点で紹介

佐々木 俊尚

フリージャーナリスト、作家

WAVES/ウェイブス

『ムーンライト』『聖なる鹿殺し』『エイス・グレード』『ミッドサマー』など超感度の高い傑作をつぎつぎ送り出している独立系映画会社A24の最新作。しかも「音楽と映像が凄い」と聞いたら、観ないわけにはいかない。そして135分の長尺に、見事にノックアウトされた。 冒頭のカメラが360度ぐるぐると回るロングショットからいきなり惹き込まれ、音楽と映像の美しさに呆然とする。とはいえそういう音楽と映像「だけ」が素晴らしい凡百の作品というのはいっぱいあるが、本作が凄いのは前半の兄と後半の妹、そして二人をとりまく家族や恋人たちの絶望と再生のストーリーが骨太でしっかりしていることだ。観ようによっては救いのない話なんだけど、最後には流れるようなカタルシスが待っている。

20/7/9(木)

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