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長井 好弘
演芸ジャーナリスト(元読売新聞編集委員)
上野・鈴本演芸場 10月中席
20/10/11(日)~20/10/20(火)
鈴本演芸場
寄席定席に出演する落語家は、観客の反応や年齢層などを見て、出番の直前にネタを決める。「客席に中小企業の経営者がいればマルクスの資本論を、高齢者が多い時はどこそこの墓が安いとか」という先代古今亭志ん五のまくらが懐かしい。それでも時々、“ネタだし”といって、トリの落語家だけが10日間の演目を公表することがある。寄席からの注文か、自らの企画か。どちらにしてもトリの落語家にはそれなりの覚悟がいる。今席は中堅の実力者、三遊亭歌奴が得意ジャンルの「相撲」と「大岡政談」を5席ずつネタ出しした。歌奴の自信と決意が伺え、我ら観客も「それなら聴かせてもらおう」という気になってくる。楽しみな番組である。
20/10/10(土)