“人間狩り”を題材にしたスリラーは決して目新しくはないが、“分断”の現代にそれが作られるとなると意味も違ってくる。エリートが貧民をハントする設定だけでも格差社会の現実が見えてくるが、エリート側の屈折した特権意識や差別意識が見えてくるのもミソ。本作は、そこからくる人と人の間の憎悪を突き詰めてみせる。 とはいえ、全編アップテンポで、命を狙われるヒロインの反撃は痛快。バイオレンスは強烈ではあるもののユーモアを忘れず、唐突な惨殺描写でさえも笑えたりする。豪快なエンタテインメントと痛烈な社会風刺が結びついた快作。それなりに名のある役者を配したキャラがいきなり殺されてしまうなどの、意外性に富んだ展開もイイ！

20/10/29(木)