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監督、俳優…新しい日本の才能に注目(2018年6月〜2022年12月まで担当)
野村 正昭
映画評論家
日本独立
20/12/18(金)
TOHOシネマズ シャンテ
撮影中の題名は「日本国憲法」だったそうだが、文字通り、現在の日本国憲法成立をめぐるドラマで、地味な物語になるのではという、こちらの危惧を蹴散らす面白さだった。 伊藤俊也監督は、東京裁判を描いた『プライド 運命の瞬間』(98) を撮った後に、本作を構想し、着手しただけあって、長年の宿願を果した執念の一作といえる。のちの首相、吉田茂と白洲次郎の絆を軸に、終戦から憲法制定に至るGHQとの攻防戦が観客の目を釘付けにする。白洲次郎役の浅野忠信の好演もさることながら、吉田茂役の小林薫は特筆もの。共演者をして、現場で“小林薫さんとお会いした記憶がない”と言わしめるほど、メイクの効果もあって、役柄に見事に変身している。宮沢りえ、柄本明、渡辺大、松重豊、伊武雅刀、佐野史郎、石橋蓮司ら、錚々たる演技陣が、映画を見応えのあるものにしている。
20/12/14(月)