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水先案内人のおすすめ

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時代と向き合う映画を鋭い視点で紹介

佐々木 俊尚

フリージャーナリスト、作家

ある人質 生還までの398日

デンマークの若い写真家がシリアでイスラム国に捕らえられ、身代金を払って解放されるまでの1年余を描いたドラマ。実話がベースになっており、最後は母国に帰ってくることがわかっているため、途中の恐ろしいほどに残虐な拷問や収容生活の描写も耐えられる……はずだったが、中盤になってジェームズ・フォーリーが登場して一気につらくなった。フォーリーは米国のベテランジャーナリストだったが、イスラム国に斬首されその動画が公開され、世界に衝撃を与えた。そのフォーリーがとても好感の持てる人物として描かれており、結末がわかっているだけに、なんともつらい。 テロとの戦いで、テロリストに身代金を支払うのは許容されるべきなのか。デンマーク政府は身代金の拠出を拒み、それに対して主人公の家族は募金活動などに奔走するが、果たしてその行動は善きことなのかどうか。この重いテーマもきっちりと描かれていて、とても重厚で見ごたえのあるドラマになっている。

21/2/18(木)

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