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春日 太一
映画史・時代劇研究家
カムバック・トゥ・ハリウッド!!
21/6/4(金)
新宿バルト9
映画撮影を題材にしたブラックコメディだ。 主人公は映画プロデューサー。新作映画が反対運動により上映できなくなり、出資者から「返済しなければ命はない」と脅される。彼は一計を案じた。それは、主演俳優を撮影中の“事故”によって死なせ、その保険金により借金を返済しようというもの……。プロデューサーは次々と危険な撮影を仕掛けるが、老いぼれたと思われた主演俳優はそれを乗り越えていく。 老プロデューサーを演じるロバート・デ・ニーロのチャーミングさが、物語をコミカルに盛り上げていた。そこはかとなく情けない哀愁を醸し出しつつ、長いこと映画製作に情熱を注ぎ込んできた男の頑固なまでのプライドと矜持を奥底から放つ。 忘れられた老スターを演じるトミー・リー・ジョーンズもだが、老いてなお必死に奮闘する様には可愛らしくもあり、カッコよくもあった。 既に確固たる地位を築いたレジェンド級のベテランが過去の名声に胡座をかくことなく、“現役”として奮闘して新たな魅力を見せてくれる姿に出会うのは至極の喜びだ。
21/5/25(火)